オーディオ日記 第32章 夢の通り道(その9) 2013年3月19日


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デジタル入力系を更にパワーアップすべく、いろいろなチャレンジを続けている。先に SFORZATO DST-01を試聴 して非常に好感を持ったが、かなり高価なので、すぐに導入することは難しいため、PC用の音楽再生ソフトウエアで現状を超えるようなものはないか、あれこれ探していた。Phileweb上の情報として、 Bug Head Emperor なるソフトウエアの紹介があり、そのネーミングが斬新でもあったので、早速試してみた。非常に個性的な音楽再生ソフトウエアと思うが、音は一聴しただけで「言葉を失う程」良かった。ただし、音楽再生にしては過酷とも思えるほどにCPUパワーを必要とする。いろいろと理論的なことはあるのかもしれないが、その技術的な内容は当方は理解できていない。PCのリソースをあまり使わず(負荷をかけず)に再生した方が音が良い、という感覚を今までは経験的に持ってきた(既成概念化しているかもしれない)が、それを根本的に覆すようなCPUの使い方とその「音」である。ユニークなのは、音の設定を変えられることにある。これは開発者の説明によれば、過去からの開発経緯(第一世代、第二世代サウンドエンジンと呼んでいる)であり、それを自由に選択できるのである。また、サンプルレートとそのエンジンの組み合わせでCPUパワーに応じ、好みの音をチョイスできる。この辺りの発想はとても面白いと思う。サウンドエンジンはGreen、Red、White、Banana、Blackなどと呼ばれており、Banana以降が第二世代とのこと。また音としてはこの第二世代のものがとても素晴らしい。ただし、順々に処理が重くなっていくので、CPU能力との兼ね合いがミソのようだ。

CPU構成やOS(WASAPIが使えるかどうか)などによって若干の違いがあるようなので、我が家の以下の三通りのPC環境で試してみた。なお、Bug Head Emperorのバージョンは2.04(このところ頻繁にリリースアップが行われているようで、2013年3月20日現在の最新版は2.06)を使用した。USB DDCはJAVS X-DDC(XMOSベース)を使用した。

1.音楽再生専用PC (AMD Athlon 64 5600+ 2.9GHz X 2 : WindowsXP ASIO)
2.メインPC (AMD A3870K 3.0GHz X 4 : WindowsXP ASIO)
3.ノートPC (intel Core2 Duo P8400 2.26GHz X 2 : WindowsVISTA WASAPI)

1.と2.の環境では44.1から88.2KHzへアップサンプリングさせ、Banana、Blackという設定が可能。ただし、1.のBlack設定ではCPUが限界に近く多少ノイズが乗ったりするので、実用的にはBanana止まりかもしれない。3.の環境ではアップサンプリングは無理で、44.1KHzのままのBlack設定までとなる。なお、アップサンプリングさせなくてもこのBlack設定の音はかなり浸透力や瞬発力を感じさせる。ボーカルやギターなどはアップサンプリング無しのBlack設定でもとても好ましいと思う。かと云って決して不自然ではない。なお、全体を通して当方の好みとしては88.2KHzへアップサンプリングさせたBanana設定辺りか。鮮度感がありかつ全体のバランスが良いように思える。
(注)CPU能力の限界から176.4KHzへのアップサンプリングは試していない。

各PC環境下でかなり長時間のテストを行ったが特段の異常は全く発生せず、安定して再生してくれている。なお、一点留意点があり、デフォルトの音量設定はMAXとなっているため、White、Banana、Black等の設定を使用する場合は、若干Bug Head Emperor上の音量を調節しないと音量オーバーとなるので、ここは忘れずに適量位置に。また、LPF(Low Pass Filter)の設定もいろいろと出来るようだが、当方はLPFの処理はDACに任せてしまおうと考えて、設定はバイパスしている。

もちろん、音楽再生ソフトウエアとしての使い勝手や完成度、画面のデザインなど嗜好の問題もあろうかと思うが、やはり決め手は「音」だ。何よりもまず、この音を試しに聴いてみるべきであろう。我が家では気合を入れて聴きこむ場合の音楽再生ソフトウエアがこれに入れ替わってしまった。なお、理論的なことは不明であるが、このサウンドエンジンをハードウエアに移植して、DDCあるいはDACと組み合わせるというような製品化ができたらとても面白いのではないかと思う。

1.デバイス設定画面:ここでオーディオデバイスを選択
(ここではASIOのみ表示されているが、VISTA以降ではWASAPIの選択も可能)
Start Panel

2.初期画面:再生モードやLPFの選択と音量設定
(CPUパワーに応じた若干の試行錯誤が必要となる。音量設定には注意)
Initial Panel

3.基本操作画面:ファイル単位、フォルダー単位に楽曲を追加
(異なるサンプリングレートのファイルは混在できない)
Control Panel

4.タブ操作画面:ONEからFIVEまでに個別に再生リストを作成
(再生中でも他のタブの作成・編集が可能。ONEから順送りに再生される)
Tab Panel


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