オーディオ日記 第32章 夢の通り道(その10) 2013年3月28日


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PCオーディオにおける新たな可能性を示してくれる音楽再生ソフトウエアとして Bug Head Emperor に注目しており、その試用を続けている。3月28日時点での最新バージョンは2.16まで上がっておりいろいろな機能が追加されてきているので、その辺りを含めて若干のTIPSなどまとめてみた。

このソフトウエアは多様な音の設定・選択(Red、White、Banana、Snow、Blackと呼んでいる)が可能であるが、一重に稼動させるPCのCPU能力に依存しているため、このCPUパワーと設定による音のバランスを取るために多少の試行錯誤が必要である。また、従来は使用法についてほとんど説明が無かったが、2.16ではインストール時に作成されるPDFファイルに詳細が記載されるようになった。 ダウンロードサイト からは2.12が入手できるので、2.12をインストールし、ソフトウエアの更新(1.の画面を参照)を行えば、2.16をインストールすることが可能である。(注:インストーラーが起動したところで、BugHeadを一度停止する必要があるので、為念)

CPU能力と設定のバランスをどう取るか、という点は案外と難しい。2倍、4倍のアップサンプリングの音はより好ましいかもしれないが、ぎりぎりの状態で稼動させるとノイズが入ったり、再生音が安定しなくなったりするので、多少余裕のある状態が好ましいと思う。この辺りの目安であるが、PLAYの指示をすると再生開始時に「Processing Time」が表示(2.の画面を参照)されるようになった。この時間ができれば15~20秒以内となるものが安定再生にはベターで30秒以上かかる場合はやはりCPU能力が不足と考えた方が良い。また、再生中はCPUの負荷状態がかなり変動する(3.の画面を参照)が、負荷がかかったところで、CPUが100%となってしまうかどうか確認し、その場合は設定を少し軽いものにした方が良いかもしれない。当方のケースでは、曲の途中でCPUが100%振り切る状態となるタイミングで僅かにノイズが入ることがあったが、CPUが振り切らないようにすれば良いようだ。
(注:CPUの周波数が可変のものは最大で固定するような対応を行っておくことが望ましい)

もう一つ重要な点は「音量設定」である。デフォルトでは音量はMAXとなっているが、これは設定とアップサンプリングの倍数に応じて、音量を「下げる」ことが必須である。目安については、インストール時に作成されるPDFファイルにCPU能力と合わせて記載されているが、楽曲の中には音圧の高いものもあるので、目安よりも1~2コマ程度は下げておいた方が安心のようだ。

その他、新しいバージョンでは細かい改良も行われているようだ。また、従来は気がついていなかったがプレイリストの操作(読み込み、書き出し)も可能である(4.の画面を参照)。 また、NASを使っているなどマイドキュメント上に楽曲ファイルを置いていない場合は、デフォルトのホームフォルダーの位置を選択できる。(5.の画面を参照)

Bug Head Emperorはまだ開発途上にあると思われ、かなりの勢いで機能拡充などが行われているが、使い勝手という意味では他のメジャーな音楽再生ソフトウエアに対しては多少のビハインドが無いとは云えない。しかし、オーディオを愛するものにとっては「音がすべて」である。ここまでの空気感、透明感のある音がPCオーディオでも出る、ということに正直驚きを隠せないし、今後にも大いに期待を感じさせてくれる。もちろん、ビット数の拡大、アップサンプリングの過程において、何らかの補間処理を行っているようなので、その是非はあるかもしれない。ただ、デジタル化する時に音楽が失ってしまった「何か」を再現してくれているように思えてならない。

その一方でインストールするだけ、というような決してお気楽な音楽再生ソフトウエアではない。このソフトウエアの設定をいろいろと試してみて、自分の「好みの音」を探してみる良い機会だとも思っている。また、アップサンプリングに関してもそのメリットと合わせ、課題についてもかなり考え直す機会を与えてくれたことに感謝している。

1.ソフトウエア更新機能:
(Setting画面の上から3分の1ほどにある。2.12以降であればここから最新版に更新する)
ソフトウエア更新画面

2.再生画面:CPU能力の確認と音量設定
(再生開始までのProcessing Timeが表示される。15~20秒以下がベター)
音量調節がミソ

3.タスクマネージャ:CPUの負荷を確認する。
(CPU負荷が立ち上がった時でも100%とならないような設定がベターかと)
プレイリスト操作画面2

4.プレイリスト操作画面:右クリックし、読み込み、書き出しを行える
(名前は固定で自由にネーミングすることはできないようだ)
プレイリスト操作画面1

5.プレイリスト操作画面:楽曲ファイルのホームフォルダーを指定する
(NAS上にある場合は、ネットワークドライブをアサインしておけば良い)
プレイリスト操作画面2

付記:
曲や歌唱は素晴らしいのだが当方のシステムではやや再生が難しかった以下の曲を改めて聴いてみた。不思議なことにボーカルがやや落ち着いた感じに聴こえ、何も考えず「歌」自体に没頭できるように感じた(設定はBlackX1)。ともすればこのソフトウエアは高域側の鮮烈さに耳を奪われ勝ちであるが、実はそれが「声や楽器の自然さ」にも裏付けられているようだ。個別の曲を過大に評価することは誤解を招く恐れもあるが、何とも心に沁みわたる歌が聴けて幸せだったので付記した。
・森山直太郎(さくら)
・平原綾香(Jupiter)


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