アナログ編


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4.アナログレコードの洗浄方法、効果

アナログレコードを楽しもうとする輩にとって、「レコードのクリーニング」は学ばねばならないお作法と云える。当方は昨今、30年以上も前のアナログレコードを せっせと収集 しているので、なおさら重要な事項となっている。

(2012年2月20日追記) 洗浄剤についての記載を変更した。

アナログレコードの大敵は、シビアな順に記せば以下であろうか。

1.音溝自体の傷
2.表面の傷
3.カビ
4.ほこり

音溝自体の傷は、不適切な針圧や重針圧での繰り返しの再生により付いてしまうが、これはもはや如何ともし難く、対応は不可能である。ただし、全体ではなく、再生音圧の高い部分など局所的であれば、我慢もできなくはないと思うが。
表面の傷(特に音溝に対して垂直となるようなひっかき傷、あるいは針がレコード盤上を流れたような傷)はそのままの再生では、一定間隔のノイズになってしまうが、あまりにもひどければ、デジタルファイルとして取り込んでしまい、編集作業によりノイズ除去の手段を取ることも選択肢として考えられる。
しかしながら、アナログレコードはやはりアナログとして楽しみたいもの。このためにはしっかりとクリーニングして快適に聴きたい。 従い、ここでは主としてカビ、ほこりについてのクリーニングについて考察したい。
クリーニングの手段としては、

1.レコードのクリーニング専用機器を使用する。(大変高価である)
2.市販のレコードクリーナー(クリーニング液などとセットになっているもの。一般的な感覚ではかなり割高)
3.洗剤等で洗ってしまう方法
4.ベルベット生地によるクリーナーでの拭き取り

などが考えられる。
1.については、それなりに効果があるのだろうが、ちょっと高額過ぎる、と云うのが当方の庶民的感覚。さらに云えば、一回に数枚程度を処理するために洗浄液を用意するなど大げ過ぎる準備も必要となってしまう。
2.については、効果も含めてバリエーションあるが、良いと思うものはやはりかなり「割高」である。敢えて云えば、たかだか塩化ビニールの盤を掃除するのに、そんなに特殊なものが必要とは思えず、である。
3.の洗浄であるが、中性洗剤等を使用した水洗いレベルでは経験上あまり効果がない。
4.は乾式、湿式などのタイプがあるが、結論から云えば表面のほこりを払えるという程度。

当方は、かなり古いレコードを廉価にて纏めて調達していることもあり、傷がひどければすっぱりと諦め、プッツンノイズレベルであれば、PCに取り込み編集し、 アナログレコードのデジタル化 、と割り切って対応している。


いくつかトライした中で、カビ、ほこりを中心とした当方なりの対応を以下に記す。なお、この手法は経験的にかなりの効果を確認しているが、あまり神経質な方にはお勧めできないかもしれないので、その点は悪しからず。

用意するものは、まずは以下の2点。
1.スプレー式ガラスクリーナー 
2.ベルベット生地 (市販のレコードクリーナー等である必要はない)

まずはスプレーをたっぷりと、レコード面が泡に包まれるように。その後音溝にクリーナー成分がたっぷりと入り込むように軽く塗り拡げ、ちょっと待つ。湿った状態のままベルベット生地にて、音溝に沿ってしっかりと擦る。極意はないが、ベルベット生地には繊維の方向性があるようなので、繊維が音溝に食い込むような意識で、結構ゴシゴシと擦る。明らかにカビ等が付いているところは結構しっかりと擦って問題ない。レコード面が乾燥した状態になるまでこすり、クリーナー成分の拭き取りが終われば完了。
これだけで、表面はかなりすっきりとする。ガラスクリーナーには界面活性剤も入っているので、汚れを落ちるし、表面もつるつるとなり、静電気の発生も抑えられる。
さて、レコード面がしっかりと乾燥するのを待って再生を行うが、カビ、ほこり等でプチプチノイズが出ているレコードはスプレーによる洗浄だけでは一発ではノイズ無しにはならないこともあるが、クリーニング後の最初の一回の再生は我慢する。この際、ノイズが残るレコードの場合は音溝から針先がホコリ、ゴミを掻き出している状態なので、再生後の針先の掃除をしっかりと行われたい。これはかなり重要なポイントである。なお、老婆心ながら、このクリーニング後の初回の再生については、あまり高価なカートリッジで行わないことが肝要である。さて、2回目からの再生では驚くほどノイズが低減されること請け合いである。まだ気になるレベルのノイズが残るようであれば、再度のクリーニングと云う手もあるが。

スプレー式ガラスクリーナーも結構たくさん種類があるが、スプレーが泡となって吐出される缶入りタイプ(お勧めはリンレイ製)が経験上ベターと思う。塩化ビニールをクリーニング可能としている効能書きがあるものであれば、使用上の心配はない。なお、ベルベット生地は擦ってのクリーニングとなるので、結構繊維が傷むようで、適宜水洗いするなど、クリーナーをつけたまま放置はしない方が良い。生地から繊維が落ちるようになってしまっていたら逆効果となるかもしれないので、その点は留意されたい。なお、このスプレー式ガラスクリーナーは缶入りで一本200円ちょっと位だし、相当のレコード枚数を処理できるので、「お徳用」と云えるであろう。

なお、クリーニングに際しては、綿の手袋等をはめないと手が荒れてしまうかもしれないので、その点ご留意あれ。


(2012年2月20日追記) 洗浄剤の変更
洗浄剤をガラスクリーナーから教えていただいた以下の内容に変更したので、追加記載する。
・イソプロピルアルコール(濃度50%であれば5割程度)
・精製水(5割程度)
・ドライウェル(界面活性剤、上記合計500ccに対して10~20cc程度追加する)

使用方法は、一定量を事前に作成しておきクリーニングしたい時に少量を、小さく角切りにしたメラミンフォームに含ませる。このメラミンフォームにてアナログレコードに均一にこの洗浄剤を塗る。汚れがひどい場合にはこのメラミンフォームで多少表面を擦っても差し支えない。その後は上記と同じように、ベルベット生地にて音溝をしっかりとクリーニング。ガラスクリーナーも手間がなくて良いが、こちらの洗浄剤の方がすっきり感が上と思う。


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