奥の細道二人旅・憧れの松島
白石から名取へ・岩沼 宮城県岩沼市
岩沼に宿る。
武隈の松の見事さに、まったく目が覚めるような心地がする。
根は土際から二木に分かれて、昔の姿を失っていないことがわかる。
まず能因法師を思い出す。昔、陸奥守になって下ってきた人が、この松の木を伐って名取川の橋杭にせられたことなどがあったからか、能因法師は「松は、このたび来てみると跡かたもない」と詠んだのだ。代々にわたって、あるいは伐り、あるいは植え継ぎなどをしたと聞いていたのに、今また、千歳の形が整って、めでたい松の様子ではあった。
「武隈の松見せ申せ遅桜」
(遅桜よ、是非とも武隈の松をお見申せよ)」
と、挙白という者が選別の句を贈ってくれたので、これに応えて、

桜より松は二木を三月越し

桜はどうでもいいが、松の二木は、三月かかって見ましたよ。
        
 白石から30分ほど走ったでしょうか。岩沼に到着。竹駒神社に参拝。思ったより大きな神社で、いささか驚きました。日本三大稲荷の一つだったのですね。

竹駒稲荷神社 参拝自由
日本三大稲荷の1つに数えられでいる。祭神は人間の衣・食・住をつかさどる倉稲魂神(うかのみたまのかみ)、保食神(うけもちのかみ)、稚産霊神(わくむすびのかみ)である。
三大稲荷としては、京都市の伏見稲荷大社、この竹駒神社、茨城県笠間市の笠間稲荷神社、愛知県豊川市の豊川稲荷大社などがあげられる。
 社殿は仙台藩五代藩主伊達吉村によって造営されたものであったが、平成2年(1990年)に火災で焼失し、平成6年に現在の社殿が再建された。 
随身門 社殿
芭蕉句碑

神社境内、鳥居をくぐってすぐのところに、二木塚と言われる芭蕉句碑が立っています。(写真左)

桜より松は二木を三月越

芭蕉百年忌にあたる寛政5年(1793年)に建てられたもの。
右は芭蕉句碑を建てた東龍斎謙阿の句碑
朧より松は二夜の月にこそ

武隈の松

竹駒神社の右裏あたりになるのでしょうか。道路沿いに、歌枕「武隈の松」があります。
現在の松は七代目、芭蕉が見たのは五代目の松とか。それでも樹齢150年ほどの見事な松でした。
 松の後ろは、奥の細道300年を記念して史跡公園として整備されており、芭蕉の句碑がありました。

 桜より松は二木を三月越

公園内には八代目の松も育てられています。

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