同性愛になじみのない方のために
〜同性愛についての基礎知識〜
※まだ未完成ですが、とりあえずアップします
1998/1/14作成



 

1. 最初に
 
この「同性愛になじみのない方のために」のページに来られた方は、多くが「同性愛」と聞いて、なにか、どこか、いやあな感じがしたのではないでしょうか。「同性愛」と聞くと、気持ち悪い、キワ者、ヘンタイ、といった表現が、(それほど意識的ではないにしろ)なんとなく一緒に連想されてくるのではないでしょうか。
 「同性愛」なんて自分がふだん暮らしている日常生活とはまったく別の世界の話。同性を好きなヘンタイたちが、自分たちのノーマルな世界とはまったく別に生息し、別の世界をくり広げている、と(多かれ少なかれ)思っているのではないでしょうか。

 まず最初に、そういう方々にわかっておいていただきたいのは、同性愛者は、割合としては100人に2〜3人は必ずいるということ。これは、少なく見積もっての話です。
 欧米では多いかもしれないが日本にはそんなにいないだろう、と思う方もいるかもしれませんが、実は、日本でも、統計的にしっかりとした調査が行なわれたことがあります。
 
 

2. 日本でも10人に1人は同性愛者? 
 
〜日本の五大都市 1,968人の若者を対象にした質問紙・統計調査の結果〜
 
以下、宗像恒次編著「青少年のエイズとセックス」(1996年, 日本評論者)を種本にして述べます。
 

1995年5月、厚生省エイズ対策事業の一環として、筑波大学の宗像恒次らが、日本全国の五大都市(札幌・東京・名古屋・大阪・福岡)の若者(13歳〜24歳)を対象に「思春期のパートナー関係についての調査」という質問紙・統計調査を行なった。 1,968名の有効回答があり、その中に同性愛に関する質問事項も二つ含まれており、全国的な(しかもかなり信頼性の高い)同性愛に関する統計資料を提供することとなった(宗像恒次編著「青少年のエイズとセックス」日本評論社,pp.54-55)。 
その二つの質問を引用すると、

 ■質問6-5. あなたはこれまでに同性に対し、性的にひかれた事はありますか
   はい ---20.2%     いいえ ---78.9%     回答なし ---0.9%
 ■質問6-6.あなたは同性に性的な興奮を感じて身体を触れ合ったりした事がありますか
   はい ---10.1%     いいえ ---89.1%     回答なし ---0.8%

もちろん、この質問項目で、「『はい』と答えた人」=「同性愛者である」とはとうてい言い難いが、欧米で言われる「10人に1人」という数字が、日本にもあてはまるのかもしれない、と推測する、一つの材料を提供してくれたとは言えるかもしれない。

※一般人口に占める同性愛者の割合について、最近の米国の研究をレビューしました。興味のある方は、こちらをご覧下さい。
 
 

3. あなたの知り合いの中に同性愛者は必ずいる
 でもあなたは同性愛者と「出会わ」ない
 同性愛者同士でさえ、同じクラスや同じ職場にいても、お互い、そうとは知らずに過ごしている例が大半です。
 私は、このようなホームページを開いていることもあり、身近に出会うケースが多いです。高校のときの同級生が1例(大分あとになってわかった)、バイト先で会った例が1例、医学部の学生だったときは同学年・下の学年あわせて2例、今の仕事関係でも数例、挙げていくとキリがありません。
 
 

4. あなたが持っている、同性愛に対するネガティブなイメージは、
 どこからきたのですか?
 「同性愛」と聞くと、なんとなく、「キワモノ」みたいなイメージがある。
 一体、それは、どこからきたのでしょうか? 
 はたして、人間には、同性愛に対する「嫌悪」が生得的に備わっているのでしょうか?

 そういう答えるにむずかしい質問はおいておくにしても、同性愛に対する「嫌悪」は、かなりの程度、「慣れ」が解決してくれることはまちがいないと思います。
 私は、何人かの異性愛者(ヘテロセクシュアル)の友人に、自分が同性愛者であることを話しました。
 そのうちの何人かは、最初、世間一般の同性愛に対するイメージそのままの反応で、私が同性愛者である事実にショックを受けたようでした。彼らの言動から察するに、自分の持っている同性愛者のイメージと、良き友人として彼らが「私」という人間に対して抱いているイメージとの、あまりのギャップの大きさに、それをどう自分の内で折り合いをつけたらいいのか、処理不能状態に陥ってしまったらしいのです。
 
 でも、ほんの数人を除いては、自分が、実体のないまま、「同性愛」という言葉と、そこからなんとなく連想されてくる「あやしげ」なイメージに、同性愛に対して誤った先入観を持っていた、ということに、気づきました(これは、私が勝手に解釈した言い方ですが)。同性愛者が、自分たちと等価な人間として、自分たちのふだんの生活の場に、友達として、存在しているのだ、ということに気づいたのです。
 あとは、「慣れ」の問題です。ヘテロセクシュアルが異性を愛するのと同様に、ホモセクシュアルは同性を愛する。その気持ち・思い・感情に、差はない。単に、同性愛者の方が、数が少ないだけ。

 あるヘテロセクシュアルの友人(私が同性愛者であることは知っています)が、ある日私に、私の失恋の話を聞かせてくれ、と言ってきました。失恋した直後でつらくてしかたがない、参考にしたい、と言って。彼は、私が男性との恋愛経験を話すのを、熱心に聞いていました。よっぽど、ハートブロークンだったのでしょうね。
 
 
 
 


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