沖縄ツーリング


2000.05.04.Tue.
 6:00起床。もう体調は絶好調。百歳まで長生きできる!(謎)
 今日こそはカヌーに乗るのだ。朝食の後、山田さんと東荘の前で待っていると昨日と同じガイドさんがバンで迎えに来た。実はこのガイドさんが社長。というかカヌーショップの店長といったところか。
 今日は手違いはなく、川登りもOKという事でバンに乗り込む。
 今日の天気も晴れ。前日に東荘の女将さん聞いたのだが、4月中は雨が多かったのにここ数日で本当に天気が良くなったらしい。丁度オイラが沖縄に来たときに天気が良くなった訳で、本当に運が良い。いや、もはやこれはお天道様がオイラの為に顔を出しているとしか思えない! そんな天気。
 程なく事務所に着く。そこで簡単な書類(万が一の時の連絡先と既往症がないか程度)を書いて待つ。申し込んでいた客全てが来たところで、ライフジャケットを着込んで再びバンに乗ってカヌー置き場へ向かった。
 カヌー置き場は仲間川河口近くで、そこでガイドさんから簡単にパドルと舵の取り方を教わり、早々に出発。カヌーだけレンタルして好きに漕いで行く事もできるのだが、オイラは初心者なのでガイドさんに付き添ってもらうツアーを選んだ。
 初めはの内は当然苦戦。まず上手くパドルが操れない上、カヌーが真っ直ぐ進んでくれない。舵の調整が上手くなかったのか、ちょっと足に力を入れただけで向きが変わってしまいジグザグに進む事になる。カッコつけて船体が短いカヌーを選んだのも、直進安定性を低くして曲がりやすくなってしまう原因だった。パドルの使い方が上手くなくてロスが有る上に、無駄な方向転換で力が使われるので進むのが遅い。その上、朝は引き潮だから海に向かう流れが強くて上流に進むのに力がいる。
 山田さんはというと、流石に慣れたものでスイスイと進んで行く。しかしパドルを駆るその背が、何故だか物凄く嬉々としているように見える。進む速度も速くて、アッという間に姿が小さくなってしまう。オイラがチギれてしまうので、ガイドさんも慌ててちょっと待つように言う。
 また、初心者のオイラは当然気が付かなかったのだが、水深が場所によって違うので気を付けないと座礁する。観光用の遊覧船が座礁しないように、水深の浅いところを示すフラッグが所々に立っていてガイドさんの指示に従ってコースを行く。河口付近は川幅も広くて全てが遠くに見え、本当に上流まで行けるのかと心配になったり。遊覧船が横を通り過ぎるときには波が立って揺らてアレレレレ。汗だくになりながら漕ぐオイラを見て、遊覧船の客が「ガンバレー」と声を掛ける。くそー、強がって笑顔で手ぇ振っちゃうぞ(^^;  しかし、ヒイコラ言いながらも中流まで遡る頃にはコツが掴めてきて、それなりに漕げるようになってきた。疲れて余分な力が抜けた事と、リズムが大事だという事に気がついたからだ。それから、ガイドさんに舵も上げてもらい、方向転換はパドルで行うようにしたので余計な力がいらなくなったのも良かった。後で知ったのだが、本来、河を行くカヌーに舵はい要らなくて、基本的に方向転換はパドルで行う。海のように潮の流れがあって、船の向きを積極的にコントローする必要があるシーカヤックでは、舵の利点が大きいらしい。
 何にしろ、余裕が出来て周りを見られるようになると楽しくなる。河幅も狭くなってマングローブ林を間近に見られるようになる。よく見ると沢山の動植物を見る事が出来る。干潟にはタンチョウの群がいて、マングローブの根の間に小さな魚が沢山居る。マングローブの生態が、テレビでなく生で見られるのが感動だ。水面に近い視点から見られるというのも良い。湿地だから陸から歩いてこのマングローブ林に近づくことは出来ず、川から行くしかない。また、ある程度遡ると水深が浅く、場所によっては十数センチというところもあるので遊覧船は河口付近しか回れない。この景色は、カヌーでしか見られないのだ!


メチャメチャ嬉しそうな山田さん。周りは木々が鬱蒼と生い茂るジャングル。イイ雰囲気よ。

 日差しが暑くなったら川の端の方、マングローブの根元によりマングローブのアーチの中の日陰を行く。仲間川は高低差が小さく、潮の干満の影響を受けやすい。しかし川の流れが緩やかという事でもあり、疲れたらパドルを駆る手を休め惰性でゆっくり流れることもできる。昼頃、上流に来る頃には潮の流れも収まり、流れは更に緩やかになる。ゆったりと流れる河がまた気分をリラックスさっせる。
 初心者のオイラが遅かったので少し時間が掛かったが、お昼ちょっと過ぎぐらいには仲間川源流に着いた。チョロチョロと流れる渓流のような所なのでカヌーは降りて歩いて行く事になる。ある程度沢を登ったところ、仲間川の源流地点で昼食をとった。昼食後、ジャングルの中で川の音を聞きながらのんびりする時間がイイ。川の水は当然の如く綺麗で、うまい。ここより上に人工物はないから天然のままである。混じりものが有るとすれば、西表ヤマネコの小便ぐらいというガイドさんの冗談で皆笑う。
 記念撮影をした後、戻る事にした。


仲間川源流にて。ジャングル遡航でご満悦なオイラ。

 下りは川の流れに任せれば良いので、楽だ。時々手を止めると、森の静寂とゆったりとした川の流れに包まれて、とても心地よい。オイラのパドルさばきが下手でバシャバシャ音を立てるので、静けさが尚更強調される(^^;
 ともかく、カヌーは身も心も自然の流れに身を任せて一つになれる物だと強く実感した。これはイイ。ホントにイイ。カヌーが欲しくなった。バイクだけでも手が一杯なのに、カヌーにも手を出したくなったぞ。む〜ん。
 帰りは途中で、樹齢400年のスオウの大木があるところによる。一昨日見たのに比べて、流石にこちらは立派だった。
 帰りは楽なのだが、あまり遅くなると今度は逆潮で流れが上流に向いてしまう。河口付近まで戻ってきたところでその影響を受けてきた。しかもカヌー置き場の直前が浅くなっていて、かなり大回りしなければならなかった。最後の最後でまたヒイコラ言ってだいぶ疲れてしまったのだが、その後「南風ぱぴよん」の事務所に戻った時に用意されていたオリオンビールがたまらなくウマかった。
 久しぶりにかなりの運動をしたので、東荘での夕食もペロリたいらげてしまう。
 山田さんは数年駐在しないと取れない一時帰国許可を使ってまで来ただけあって、本当に西表でカヌーに乗るのが楽しみだったらしい。念願がかなって夕食の時も興奮さめやらぬ様子の山田さんと、食後に色々とカヌーの話をした。流れが緩やかな上に水底が砂地で岩などの硬い物がなく、マングローブに囲まれた仲間川が如何にカヌーに向いた河なのかという話や、テントを載せて数日掛けてカヌーで川を下る旅とか。理想的なカヌーの形状にまで話が及んだ。オイラは、最初は操船に手こずったし、舵を上げたら楽になったとか、他の人のカヌーの挙動を見て船体の長さ一つとってもカヌーの操船特性に影響を及ぼすという事に気付いたので、理想のカヌーの形態は非常に興味深かった。バイクのフレームの形状やディメンジンによるハンドリングの変化といった事と共通するところであり、その奥の深さに魅了された。
 そう言えば、バイク乗りにはシーカヤックにもハマっている人が多いという。人間が操る等身大の移動手段という事や、常に身をさらして自然の息吹感じながら旅をするというところがバイクと似ており、同じ感性を刺激するのかもしれない。
 これはもう、マイカヌーが欲しくてたまらなくなってしまった。山田さんに神田のカヌーを置いてある店を教えてもらったりまでして。
 いまのところバイクで手一杯なのと、他にももやりたい事があるのでカヌーに手を出せるようになるのは何時になるか判らないが、いつかカヌーやシーカヤックでの旅もしてみたい。
 今日は期待していたカヌーに乗れて西表を満喫できたし、新しい発見もあって大満足。そして素晴らしい出会いに感謝!
戻る 次へ


沖縄ツーリング写真集へ

ツーリングレポートのトップへ戻る