#455 郵便物転送の罠

2022/05/05

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 以前に、転居後に喪中欠礼を挟んだために年賀状が行方不明になってしまったことを書いたが、今回も転居に伴い、ちょっとした郵便物転送に関するトラブルがあったので、ここに記しておくことにする。

 私の息子は公立高校に通っており、授業料は保護者である私の郵貯の口座から振替することにしている。そのための手続きとして、息子と私、それぞれの氏名と住所を書面に記入して、学校を通じ教育委員会に提出している。その書面を出した時には私は既に単身赴任をしていたので、息子と私はそれぞれ別の住所を書いて提出している。

 その授業料引落の通知文書が教育委員会から私のところ(単身赴任先のA市)に届いている。仮に息子の名前を「山田太郎」とするが、通知文書の宛名は「山田太郎様/保護者様」となっている。ちゃんと記憶していないが、昨年はこの宛名で私の単身赴任先であるA市の住所宛に届いていた。

 さて、息子はまだ在学中だが、私自身は今年、単身赴任先のA市から、別の単身赴任先B市に転居することになった。郵便局の方には、私以外に同居人がいないので、私のみA市からB市に転居した旨の転居届を出している。これで、A市に私の宛名で届く郵便物は、1年間はB市の単身赴任先に届けられるはずである。(ちなみにこれが1年以上経過してしまうと、宛先不明で差出人に戻ってしまうので、喪中欠礼などで一年以上空いてしまってから送られた年賀状などは差出人に戻ってしまう、というのが前回お話ししたトラブルである。)

 さて今回、転居して1か月ほどしてから、前の住所であるA市の受け持ちの郵便局から私に電話があった。以下は、郵便局(〒)と私の会話である。

〒「山田太郎さんの保護者の方ですか?」
私「はいそうですが」
〒「山田太郎様/保護者様宛の郵便物がA市宛に届いているのですが」
私「どこからの郵便物ですか」
〒「教育委員会となってますね」
私「それは私宛の郵便物ですね。山田太郎は息子で、C市の○○に住んでいます」
〒「山田太郎さんはB市にお住まいではないのですか?」
私「A市には私しか住んでなくて、転居したのは私だけですから、B市にも私一人で住んでます。そのように転居届も出しました」
〒「あなたは山田太郎さんの保護者なんですよね」
私「はい。なのでその郵便物はB市に転送してもらえますか?」
〒「山田太郎さんはB市への転居届は出されてないのですよね」
私「はい。C市に住んでますから」
〒「そういうことだと、B市には転送できないのですよ」
私「ではどうすれば転送してもらえるのですか?」
〒「山田太郎さんの、A市からB市への転居届を出してもらわないと転送できないんですよね」

 よくわからないが、郵便局のルールでは、明示された宛名(この場合「山田太郎」)について転居届が出されていないと、転送できないということになっているらしい。とはいえ、もともと息子はA市にもB市にも住んでいないし、転居届を出そうにも、最近は郵便物詐取を心配してか、本人確認が厳格になっているようで、たとえばWebで行うe転居であっても、本人のマイナンバーカードがないと手続きできないなど、簡単にはできない。それにしても、わざわざ電話までかけてきて、息子の保護者である私に確認までしておきながら、実際の郵便物は転送することができない、というのはどういうものなのか。

 埒が明かないので、だったらもうその郵便物は宛先不明で返送してもらって結構です、と言ったら、数日たって、教育委員会の方で息子の住所(C市)宛に書き直して例の通知文書を再送して来たようである。

 さて今回の場合、誰が一番いけないのだろう。最初から保護者である私の氏名を宛名にして送ってくれればいいものを「山田太郎様/保護者様」なんてもって回った宛名にして送って来た教育委員会なのか。状況を察して私に確認の電話をしておきながら、それでも転居届に書かれていない宛名の郵便物は頑として転送しませんというルールを貫く郵便局なのか。そのような場合があることに思いを致さず、同居していない息子の名前を一緒に転居届に書いておかなかった私なのか。


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