#445 ますますリモートな日々

2021/07/20

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 COVID-19パンデミックについて書き記してから1年余りが経過したが、日本に関しては総じて見れば相変わらずな状況である。

 COVID-19の流行に伴って東京都を対象に2020年4月7日に出された緊急事態宣言は、当初予定を延長した上で5月25日にようやく解除された。その年の夏に開催予定だった東京オリンピック・パラリンピックは1年延期して2021年に開催されることになり、その年の後半には米国や欧州などで認可され接種が始まったワクチンにより、世界的な流行にも歯止めがかかって、2021年にはCOVID-19パンデミック以前の社会に戻ることが期待されていた。

 しかし日本に関して言えば、年末にかけてCOVID-19の感染者が都市部を中心に急増し、年が明けて1月8日から、東京都は2回目の緊急事態宣言に入った。こちらは延長に次ぐ延長の結果、1回目よりも更に長く2か月以上続き、3月21日ようやく解除された。しかし新年度を迎えたと思う間もなく、4月25日から3度目の緊急事態宣言に入る。こちらは6月20日に解除され、いよいよオリンピックに向けて準備を加速させようとしたところであったが、感染者の減少傾向は続かず、またも増加に転じたことを受けて、7月12日から8月22日まで、ついにオリンピック期間中をすべて含む形で4度目の緊急事態宣言に入るに至り、オリンピックそのものも、東京をはじめ多くの会場で無観客開催となったところである。

 かたやCOVID-19流行抑止の切り札とされるワクチン接種についても、年が明けてからようやく医療従事者や高齢者への接種が始まり、いよいよそれ以外の成人への接種や職域接種が本格化しようというところへきて、実は供給量が足りないことが判明し、多くの自治体などで接種計画にブレーキがかかっているという状況である。

 ともあれ東京都においては、今年8月までの8か月間で言えば、243日中172日、率にして7割以上が緊急事態宣言などという状況となってしまっており、もはや緊急事態宣言が出ている方が「日常」ということになってしまっている。

 もっとも息子の通う学校については、昨年の緊急事態宣言中こそ自宅学習という形で一切登校が許されていなかった状況だったが、今年に入ってからは緊急事態宣言中であっても分散登校(学年ごとに登校日と休校日を分散させる)という措置に緩和され、4回目の緊急事態宣言に至っては、すぐに夏休みに入るということもあったかも知れないが、分散登校も特に行わないことになったようであり、学校生活における制限は徐々に緩和されつつある。

 一方私の職場の方は、緊急事態宣言が出ていない間の「まん延防止等重点措置」の期間も含めて、今年に入ってからずっと7割テレワークということにされている。もちろん、出勤しないと回らない仕事があるときには止む無く出勤する場合もあるわけだが、この1年の間に、テレワークのためのプラットホームを使った業務も様々に工夫され洗練されたものになってきた。

 例えばこれまで対面で行ってきた説明も、込み入ったものでなければ書面で済ませることができるようになってきたほか、会議についても、対面とリモートを併用で行うことがスタンダードになってきた。スペースの関係で参加者数に限りがあった会議でも、リモートを併用することで、より多くの人に参加・傍聴してもらえるようになるなど、メリットも多い。

 リアルなお店での飲み会が憚られるご時世では、懇親会もリモートで行われる。もっともこちらは、人数をある程度しぼらないと話が盛り上がらないので、参加者をいくつかのグループに分けて、時間を区切って「入れ替え制」で部屋を移りながら短時間で行うというスタイルになったりする。そのファシリテータ役などを任されたりすると、時計とにらめっこしながら入れ替えの指示をしないといけないので、お酒を飲みながら寛ぐ場合ではなかったりもするのだが。

 国際会議や研修などもリモートで行うことが当たり前になりつつある。もっとも全世界を対象とする会議の場合は、陸地の少ない太平洋が夜となるように時間設定されることが多く、そうすると極東の日本の場合は夕方から深夜の時間帯にされることが多いようで、対応する職員は昼夜逆転した勤務時間になることもしばしばであったりする。

 ともあれ「新しい日常」での仕事のやり方にも徐々に慣れてきた状況ができてきつつある中、今後COVID-19の流行が収束してきたとしても、リモートの利点を生かした仕事のやり方の一部はそのまま定着していくのではないかとも思う。そうした環境で生産性を上げたり、新たな価値を見出していくことが、これからの社会で求められる資質となっていくのだと思う。


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