#433 マイナポイントへの長い道程

2020/07/03

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 昨年10月の消費税率引上げに伴う需要平準化対策と、キャッシュレス対応による生産性向上や消費者の利便性向上の観点から行われていた「キャッシュレス・消費者還元事業」が、当初の予定通り今年の6月末をもって終了した。私自身も、小欄で嫌味を言いつつ、積極的な消費はしていないものの、キャッシュレス還元が得られる場面では、なるべく電子マネーやクレジットカードを利用した結果、合計で5000円程度ながら還元益を得ることができた。

 そして、この事業の終了後に政府が行おうとしているのが、消費の活性化、マイナンバーカードの普及促進、官民キャッシュレス決済基盤の構築を目的とする「マイナポイント事業」である。具体的には、マイナンバーカードを利用してあらかじめ選んだキャッシュレス決済サービスに申し込みを行うことで、チャージもしくは買い物額の25%(上限5000円)が、その決済サービスのポイントとして付与されるというものである。

 このサービスを受けるためには、マイナンバーカードを持っていることが前提になるので、取得してない場合はそこから始めなければならない。マイナンバーカードの取得申請は、スマホで顔写真を撮ってオンライン申請をするのが、現在のところ最も簡便な方法だと思われる。現在では発行までに1〜2か月くらいかかる上、受け取りのためには自治体が指定した受取先に原則平日に行かなければならない。

 こうしてマイナンバーカードを取得したら、次にマイナポイントを予約するという手続きが必要になる。具体的にはマイキーIDという、Web上で本人を認証するキーを発行してもらう手続きのことなのだが、このためにはマイナンバーカードについたICチップの情報を読み取らなければならない。これに対応しているのは、スマホの場合はiPhone7以降か、Androidの比較的最新の機種のみである。またパソコンで行う場合は、別途対応したカードリーダが必要になる。ついでに言うと、スマホの場合は専用のアプリをインストールし、パソコンの場合は(EdgeやChromeやSafariではなく)Internet Explorer 11を使用しなければならない。なお、手続きにはマイナンバー発行時に定めた4桁の暗証番号が必要になる。

 そもそも対応するスマホやカードリーダが手許に無いか、やり方がわからない人のために、マイナポイント手続きスポットというのがある。6月末までは検索して出てくるのは、各市区町村窓口のみ(しかも一部自治体では開設時期未定)というお寒い状況であったのだが、7月に入って、ようやくコンビニや携帯電話ショップなどが手続きスポットを展開しはじめたようである。

 そうやってマイキーIDを入手したら、次にポイント還元を受けるキャッシュレス事業者を1つ選択しなければならない。選べる決済サービスは1つだけで、変更はできない。決済サービスによって、付与されるポイントの種類や時期が異なるし、中には顧客獲得のためにマイナポイントに加えて独自の還元サービスを行う事業者もあるようなので、今後の各決済サービスからの発表に注意しながら、使い勝手の良いサービスを選ぶことが肝要である。実際にポイント還元の対象になるのは、今年9月から来年3月までに行われたチャージもしくは買い物に対してである。

 ちなみにマイナポイント事業に充てられている予算は約2000億円とのことで、予算が無くなり次第サービスは終了するとのことであるが、最大5000円分の還元ということで言えば、少なくとも4000万人にはポイント還元が可能ということになる。現状、マイナンバーカードの取得者は2000万人余りで、このあとこの事業によりカード取得者は増えるかも知れないが、この複雑な申し込み手続きと条件をクリアしてサービスの恩恵に預かれる人はカード取得者の中の一部と考えられるので、サービスの前倒し終了についてはあまり心配する必要はないかも知れない。


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