#398 神戸出張記

2017/08/12

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 ここ数年はあまり国内出張の機会がないポジションにいるのであるが、久しぶりに神戸に出張する機会を得た。関西には子供の頃に住んでいたり、勤務した時期もあったりして馴染みがあるのだが、ここ最近はご無沙汰しており、実に7年近くぶりの訪問である。

 行きは東海道新幹線の始発電車である「のぞみ1号」に品川から乗り、新神戸にて降りる。ご存知の通り、東海道新幹線は先の東京五輪の直前に開業して50年以上たっており、施設については所々古くなっているところもあるとは言え、最新のN700系による運転最高速度285km/hで、新神戸に2時間半で到着してしまう。

 新神戸からは地下鉄で一駅で三宮駅へ出る。神戸市の中心駅であり、JR・阪急・阪神・地下鉄・ポートライナーが集まり、周辺の商業施設と合わせて上下に複雑な構造をなしている。1995年の兵庫県南部地震では、深刻な被害のあった地域であるが、22年たった今は、その傷跡もほとんどわからないほど見事に再発展している。

 ここからは神戸新交通ポートライナーに乗る。1981年に開業した日本初の実用的な新交通システムで、世界初の自動無人運転方式の交通機関である。実はこれに乗るのは、このポートライナーの開業の年に、ポートアイランドで開催された「ポートピア81」に行った時に乗って以来である。あの時代、日本は博覧会ブームで、個性豊かなパビリオンの印象は子供心にも記憶に残っている。あの時の華やかな博覧会会場は、今では多くの大学や企業、そして住宅が集まる整然とした人工都市へと変わっている。更にはその先に開業した神戸空港にも直結するようになり、朝夕や到着便の集中時には、通勤通学客で相当な乗車率になるとのことである。

 今回の用務は、このポートアイランド内にある国際会議場で開催された国際学会で30分の口頭発表をするというものであった。学会自体は1週間続いていたのであるが、出張を許されたのは、自分の発表する日とその翌日の一泊二日分であった。安くない参加費や投稿料を払っているのに、少々もったいない気もするが、致し方ない。

 参加費や投稿料は事前にクレジットカードで払っており、参加にあたっては、直前にQRコードのついた引換証がPDFでメールにて送られてきた。これを印刷して、当日受付にあるPCに接続されたバーコード読み取り機にかざすと、参加証や領収書などのもろもろが印刷され提供されるという形である。参加証にはこれまたQRコードがついていて、これをかざすと、必要に応じて参加証明証や発表証明証が発行されたりする。大変機能的にできている。

 発表は複数の会場で同時進行で行われており、数えたわけではないが、期間中ざっと数百件は発表があると思われる。それだけの発表数と参加者数を整理し、スムーズに運営してくれる運営委員会の人たちの努力にはつくづく頭が下がる。

 口頭での発表は、自分のパソコンを持って行ってプレゼン資料をプロジェクタに接続して映すか、もしWindowsのPowerPointであれば、備え付けのPCにファイルをコピーして映すこともできる。私は後者を選ぶ。自分のPCだと、接続がうまくいかなかったりPCの調子が悪くなった時にリカバリーが効かない可能性があるからだ。現に発表の途中で、繋いだPCのバッテリが講演途中で切れるというハプニングに遭遇した演者もいたりした。

 無事発表を終えたその夜は、近くに住む旧友との飲み会に参加するため梅田へ。三宮から大阪(梅田)へは、阪急・阪神・JRがそれぞれしのぎを削っている。早いのはJRの新快速の最速21分だが、運賃で言えば阪急や阪神の方がJRより90円安い。今回は、会場へのアクセスの関係から阪急を選択。各地域で使われている非接触式プリペイドカードの相互利用が進み、東京圏のSuicaやPASMOが関西の鉄道でもそのまま使えるのはありがたい。ただし、オートチャージはきかないので、あらかじめ利用する分くらいの金額は前もってチャージしておく必要がある。

 翌日は他の人たちの発表を聞き、適当なところで帰途につく。スマホに入れたYahoo地図が、雨雲の接近を知らせてくれたので、慌てて三宮にとって返す。ほどなくして大雨が降ってきたが、早めの行動で雨にあたらずに済んだ。スマホのありがたみをつくづく感じる。

 帰りの新幹線では、以前購入したGPSドングルで行程を記録。熱海付近で減速していたり、その後小田原−新横浜間で最高速度280kmを記録していたりということが、帰宅後PCでデータを解析したことでわかる。もちろん、出張中はデジタルカメラやボイスレコーダでもろもろ隈なく記録することも忘れない。愛すべき電脳小物と、日本が誇る鉄道インフラのおかげで、安全快適で充実した出張を堪能することができた。ありがたきことかな。


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