#354 小型GPS受信機で遊ぶ

2014/01/31

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 もともとアメリカが軍事的な目的のために開発した衛星測位システムであるGPS(Global Positioning System)は、民生利用が可能になったことで、今やカーナビをはじめとした幅広い分野で活用されるようになっている。

 もちろん車などの交通機関だけでなく、たとえば人間が山歩きする場合などでも、現在の位置を調べたり、あとで行動記録を確認できるのは非常に役に立つものであり、比較的早い時期から、携帯用のGPS受信機は市販されていた。しかしながら、衛星からの微弱な電波を受信できる専用機はそれなりの値段がしていたので、欲しいと思ってもなかなか手が出なかった。

 しかしながら最近では、表示機能などはないものの、データを逐次取得するだけのものであれば、小型軽量かつ安価なものが出てきた。そのうちの一つ、USBでパソコンに接続・充電できるGPS受信機が3000円で売っていたので、スマホによる測位機能に満足しないところもあり、試しに購入してみた。

 購入したGPS受信機は、GT-730LF-Sという台湾製のもので、ちょっと無骨なUSBメモリといった形状をしている。充電およびデータの吸い出しは、USB端子を使って行う。充電した後、上空が開けたところで電源を入れてしばらく待つと、青色LEDが点灯から2秒周期の点滅に変わり、測位が成功していることを示す。一度測位に成功したら、服のポケットや鞄の中に入れておいても受信可能なようである。

 パソコンにデータを吸い出す時は、USBにCOMポートを割り当てるドライバと、データ取得ソフトをインストールしておく必要がある。購入したお店のWebページの製品紹介のページの通りにやってみると、データを吸い出すことができた。ビルの陰などではやや測位が不安定になっているところもあるが、上空が開けた場所なら、道路のどちら側を通っているかまでわかるくらいの精度がある。

 測位したデータはさまざまなフォーマットで出力することができ、たとえばGoogleEarthなどで使われているKML形式で出力させることも可能だ。出力したファイルをGoogleEarthで読み取らせてプロットさせてみると、細かい軌跡が表示されるほか、高度プロファイルといったものも表示できるので、なかなか面白い。

 また、車や鉄道など、交通機関を使っている場合でも、受信機を窓際に置いておけば、連続して測位可能なようである。吸い出して記録を見ると、時々刻々の移動速度などもわかるので面白い。私はまだ試す機会がないが、飛行機などでも測位できたという報告もある。

 なお連続稼働時間は10時間程度のようである。日中の活動をほぼまるごと記録し、移動していない夜のうちに充電というのが基本的な利用スタイルになろうか。

 もともとのマニュアルや吸い出しソフトのヘルプは英語で書かれていたりするので、その辺がやや敷居が高いところだが、その辺をクリアすれば、値段の割にはそこそこの性能で測位と記録をしてくれるようだ。

 ところで昨今では、スマホにもGPSの機能が搭載されており、私がMVNOで使っているスマホにもその機能はついている。Googleのロケーション履歴というサービスなどを使えば、定期的に測位し位置情報を記録してくれる。ただし、スマホによる測位の場合は、GPSが受信できない屋内や地下などの環境の場合、近くの基地局やWifiなどからも位置情報を取得しているらしく、これらが時々とんでもない位置を記録することもある。また測位も1分程度おきくらいなので大まかなルートしか示されない。

 データを吸い出したりする手間などはあるものの、旅行やアウトドアでの活動で、正確・詳細な記録を取りたい時にはGPS受信機で、それほどではない普段の行動記録を大雑把に把握するだけであればスマホでと、適宜使い分けるのが良いのではないかと思われる。


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