#390 NASを導入(設定編)

2016/12/07

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 利用していた無料のクラウドサービスが相次いでサービス終了したのをきっかけに、パーソナルクラウドを実現すべくNASを購入したというのが前回の話

 個人用のNASは、昔はいろいろな設定が必要だったりしたようだが、最近のものは随分洗練されており、ほとんど「挿せば繋がる」くらいのものになっている。そのためか、添付されているマニュアルも簡単なものである。確かに言われたとおり、ルータと有線ケーブルで接続し、電源ケーブルを繋いでONにしただけで、デスクトップパソコンから見えるようにはなったのだが、マニュアルに書かれている「セットアッププログラム」が立ち上がらず、ネットワーク名も、マニュアル上で説明してあるものと違っていたりする。添付されている薄いマニュアルやオンラインマニュアルでは、こうした不測の事態に対する対処方が書かれていない。

 とはいえ、一応認識はしている様子なので、早速、デスクトップパソコンにあるファイルをぼつぼつとコピーしてみる。上位機種になれば、パソコンとUSB接続ができて高速なデータ転送が可能なのであるが、購入した製品はLAN接続のみなので、転送速度はUSBほどは速くはない。従って、パソコン内に保存したテラバイト単位のデータをコピーするのはそれなりに時間がかかる。まあ前回考察したとおり、大体は更新頻度の高くないデータであり、書き込みはほぼ一度きりのことであるから、時間をかけて根気よくコピーを続ければいいだけの話である。昼夜パソコンを動かしっぱなしにして、三日ほどしてようやくメインのパソコンに保存してあるデータを丸ごとバックアップすることができた。

 マニュアルには、スマホからのデータ参照の方法は書かれているが、LANの外にあるパソコンからのリモートアクセスの方法は説明されていない。スマホからのアクセスは、PINコードと呼ばれる32桁もの16進のコードと、ユーザー名とパスワードが必要になるようである。アプリをインストールしたあと、これらの複雑な設定が書かれてあるらしいQRコードをスマホで読み取ればすぐに使える、という説明であったが、自分のスマホではこのQRコードの読み込みがどうしてもうまくいかず、仕方なく泣きながらこの長いPINを入力してアクセスを試みる。

 PINのほかに指定すべきユーザー名とパスワードのデフォルト設定は簡単なものであり、パスワードに至っては「なし」とのことである。実際にはこの桁数の多いPINコードが機器の同定とセキュリティを担っているようであるが、最初のうちは、機器への接続はできてもユーザー名とパスワードが一致しないと言われてなかなかアクセスできなかった。いろいろ試行錯誤した結果、Webによる機器設定ページから、新しいユーザー名とパスワードを設定することで、そのアカウントを使ってどうにか接続することができた。

 なおリモートパソコンからのアクセスは、Webによる設定画面から生成されるJava Archiveファイルを実行することによって実現しているようである。実体はファイルマネージャのようなもので、名前の変更と削除、アップロードとダウンロードができるだけの簡単なものである。スマホのアプリの方は、これに加えて、フォルダ内のファイルの検索や、関連づけたアプリでの参照ができるので、もうちょっと芸が細かい。dマガジンの時も感じたが、最近はなんとなくパソコン用アプリよりもスマホアプリの方がきちんと作りこまれているような気がする。

 そんなわけで、いろいろ紆余曲折はあったものの、これらのツールを使って、自宅に置いたNAS内の任意のファイルをいつでも参照できるようになった。更に、頻繁に参照更新が必要なファイル群(PIMデータやWebサイトのファイル群など、合計してもせいぜい200Mbyte程度)は、OneDrive(マイクロソフト謹製のクラウドサービスで、Windows8以降には標準装備)を使って共有している。いざとなればどこからでも自分の持っているファイルを取り出すことができるというのはなかなか便利なものであるし、NAS自体がPC内のファイルのバックアップにもなっているので、投資対効果に見合った良い買い物だったと思う。


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