#389 NASを導入(購入編)

2016/11/16

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 文書や写真、音楽や動画など、様々なものがデジタル化され、それらの一切合切が目の前のパソコンに入っているという状況は、大変に便利なものである。と同時に、そのパソコンが目の前にない場合でも、それらのデータに場所を選ばずアクセスできると更に便利になるのにと考えるのも素直な欲求である。

 データを共有化し、多数の人が様々な場所からそれらにアクセスできるようにするという「クラウド」という考え方は、ビジネスの世界から始まったものであるが、その後個人向けのサービスもいろいろ出てくるようになり、無料でGbyte単位のディスクスペースを提供してくれるサービスもあちこちから提供されてきた。

 私も、あちこちに置いたパソコンやスマホでデータを共有することを目的として、こうした個人向けクラウドサービスの無料版を使っていたのだが、最初に使っていたSugarSyncというサービスは、2015年5月に無料版サービスを終了し、その後これに代わって利用していたCubbyというサービスも、2016年11月に無料版サービスを終了するとのお知らせがあった。

 多くの個人用クラウドサービスが、Cドライブのユーザーフォルダ内に共有フォルダを決め打ちするのに対し、この2つのクラウドサービスは、任意のフォルダを共有化することができる設定の柔軟性があって、気に入って使っていたのだが、相次いで無料版のサービスを終了されてしまったのは残念である。まあ無料版であるから、いつまでもタダでサービスしてくれると考える方が虫がいいのであって、そこに文句を言っても始まらない。本当にちゃんとしたサポートが欲しいのであれば、それらの有料版サービスに切り替えればいいだけのことである。

 とはいえ、自分の持っているパソコン上の様々なファイルのうち、頻繁に参照や更新が必要で、あちこちの端末で常に最新の状態で同期しておきたい、というものは、実はそれほど多くはない。自分が記録した写真や音声や映像ファイル、Webから拾ってきた音楽や動画ファイルなどは、一度保存すればそれらを更新することはまずないし、数が多くなれば、それだけ特定のファイルを参照する頻度は相対的に低くなる。つまり大抵のデータは「保存して、たまに参照する程度」といった具合のものであることが多い。

 そういうことであれば、自宅にネットワークHDDを導入し、自分の持っているファイル群をその中に保存しておけば、リモートな環境からも自由にアクセスでき、ランニングコストをかけずにクラウドサービスに近い環境が得られるのではないだろうかと考え、このたび1つ購入してみた次第である。

 ネットワークHDDは、Network Attached Storage、あるいは略してNASとも呼ばれているので、ここでも以下NASと称する。通常のHDDはパソコンに直接接続して使うものだが、NASの場合はLANのルータに接続することが多い。ルータに接続することで、LAN内のすべての端末からアクセスできるようになるばかりでなく、LANの外にあるネットワークからも、適切なセキュリティをかけた上でアクセス可能になる。ルータと同様、電源を落とさずに運用していれば、インターネットを介してNAS内の任意のファイルにアクセスが可能になると言ったものである。

 HDDなどの記憶装置の価格は、昔に比べればすこぶる廉価になっている。NASの場合は、単なるHDDに比べればもちろんいくらか値段が高いのであるが、それでもちょっと前のHDDの値段とそれほど変わりなく、今や1万円と少しで2Tbyteのものが入手できたりする。その中の一つをAmazonで購入。

 そんなわけで、いよいよパーソナルクラウド環境の構築を目指すことになるのだが、なかなかすんなりとはいかなかった話は次回に。


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