#357 MVNOで良くね?

2014/04/27

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 中古のスマホをMVNOで運用しはじめたことは以前に話をしたが、おかげさまで、それなりに問題なく使うことができている。今やこうしたMVNOのサービスを提供するプロバイダはそれこそ両手両足にも余るほどあり、競争も激しいため、利用料金を抑えつつサービス内容の拡充(通信速度の向上や、高速通信分の容量の拡大など)が月単位で行われている。

 料金プランは、各プロバイダともさまざまに用意されており、通信速度を数100kbps程度に抑えた低料金のプランをベースに、高額なプランになるほど、高速通信できる容量が増えていくというのが一般的なようである。従って、どれだけネットを使うかに応じて自分にあった料金プランを選べばよいが、最近では高速通信できるプランでも月1000円以下で提供しているプロバイダがいくつもある。

 実際、私も最低料金のプランからわずか100円増しで高速通信プラン(月500Mbyte)に変更したことで、通信速度でほとんど不自由することがなくなった。私の使い方では、月500Mbyteの高速チケットすらも使い切らずに翌月に繰り越すくらいなので、それ以上のプランはとりあえず必要ない。

 一方で、データ通信専用のMVNOのSIMにおける最大の弱点は、通話機能が標準でついていないことと、そのことによって発生するセルスタンバイという問題である。セルスタンバイ問題というのは、簡単に言ってしまうと、データ通信と通話を別々に制御している3G回線において、データ通信だけを許可しようとすると端末側で「異常」と判断されてしまうがために、使えない通話機能を止む無く許可させることで、アンテナピクトが表示されないとか、圏外時間が長くなるとか、それにより電池の減りが早くなるという問題のことである。(どういった症状が出るのかは端末によって違いがある。)

 しかしこれについても、一部のプロバイダで提供されつつある、SMSオプションをつけると、かなりの確率でセルスタンバイの問題が解決するようである。SMSは通話機能を利用しているので、これが使えるSIMであれば、圏外状態にならずに済むというわけである。

 通話機能がないSIMで通話を実現するためには、データ通信網を利用したIP電話のサービスを別に利用するという手段がある。これらは固定費が無料かほとんどかからないもので、通話料金も既存の携帯電話の通話料に比べて比較的安価であったりするのだが、番号が050から始まるものだったり、通話に遅延がかかったり、着呼が不確実だったり、音声品質がいまいちだったりするなどの問題がある。私などは通話はたまにしか利用しないのであまり気にしないのだが、通話の頻度が多い人には見過ごせない部分もあるだろう。

 とは言え、最近ではデータ通信だけではなく、音声通信対応のSIMもいくつか出るようになった。データ通信のみのSIMに比べると利用料金はやや高くなるが、ちゃんと080や090から始まる番号がもらえて、普通の携帯電話と同等の通話品質があるし、何よりセルスタンバイ問題も発生しない。

 ということで、今や大手三大キャリア(docomo、SOFTBANK、au)等が提供するスマホとサービスとほとんど遜色ないサービスが、大手キャリアの標準的なプランの半額以下で提供されるようになりつつある。中古の端末にSIMを挿して設定してというのが、機械に詳しくない人にとってややハードルが高いという部分があったが、これについても、イオンが端末込みでの販売サービスを始めるなどしてきており、これまでアーリーアダプター向けだったMVNOのSIM利用が、それ以外の一般層に浸透する下地ができつつある。

 一部の音声対応のSIMへのMNP(携帯電話ナンバーポータビリティ)サービスも始まったということで、こうなってくると、大手キャリアの横並びの割高な料金プランに不満を持っている層が、MVNOの利用に乗り換えていくような流れができつつあるのではないかと予想している。そうなれば、大手キャリアも料金プランの見直しをはかってくれるようになるのではないかと、密かに期待もしている。


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