#281 ScanSnapでばりばり電子化

2008/02/18

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 前にも書いたが、私は紙資料は可能な限り電子化し、なるべく紙のまま残さないことを旨としている。もちろん、現在進行中の業務で、頻繁に参照し可搬する必要がある資料などは、紙の方が扱いやすいことは認めるが、大多数の資料は、たまに参照する必要があるので捨てるわけにはいかないという程度のものである。そしてそういった資料は、厄介なことに増える一方である。

 紙の資料は紙に書いてある情報が大事なのであって紙に価値があるわけではない。紙から情報だけを取り出してしまえば、情報のみを保存するために必要な物理的スペースとコストは、昨今のメディアの高密度化と低価格化により、紙のそれと比べて格段に小さくなっている。

 そんなわけで、限りあるリソースを有効に使うという観点から見れば、電子化は大いに結構なことだと思うのだが、そうは言っても実際に紙資料を電子化するのはなかなか骨が折れることも事実である。特に1枚1枚紙をセットしてスキャンするようなことをしていては、生産され蓄積されていく紙資料の速度に追いつくことは絶対に無理である。スペースやコストも大事だが、電子化に費やされる時間だって重要な資源である。

 ここで紹介するScanSnapは、こういった紙資料の電子化に特化した機械として、非常に完成された製品である。

 まず設置面積が非常に小さい。幅はA3用紙程度あるのだが、奥行きは15cmほどしかない。このため、手狭な机の上でもなんとか設置する場所を確保することができる。机の上という、手に届く距離に装置があることで、ちょっとした時間に作業を行う気にさせてくれる。

 操作も非常に単純である。基本的には、紙をセットしてボタンを押すだけである。それだけで、自動的に紙を送り、両面同時にスキャンしてくれる。しかも、カラー・白黒の判定を自動的に行ってそれぞれのモードで保存し、横レイアウトの原稿は自動的に向きを横にしたり、また白紙のページがあれば自動で削除してくれるなど、人間がやると面倒な作業を高速に片付けてくれる。こういった面倒な作業を機械がきっちりやってくれることも、電子化という煩わしい作業を手軽に行わせる上で重要な要素である。

 スキャンした資料は、基本的にはPDFファイルとして保存される。ファイル名は、デフォルトでは作業した日時によってユニークな名前をつけているが、ある程度スキャンしてから落ち着いた時に名前をつけかえて整理すればよい。専用の管理ソフトの機能により、ページを削除したり挿入したり、回転したり順序を入れ替えたりすることも可能である。また、日本語をはじめ各言語に対応したOCR機能もあるので、書いてあるテキストを読み取りPDFファイルに埋め込むことも可能である。

 こうして情報を抜き出してしまえば、紙の資料に比べて非常に取扱いやすくなる。基本的に場所はほとんど取らないし、ファイルとしてバックアップを取っておけば、亡失の可能性も低くすることができる。別の場所への送付や共有も楽に行える。また、紙のままだと誰でも参照できるという危険性があるが、電子化して適切に秘匿すればセキュリティ性を高めることも可能である。OCR機能により埋め込んだテキスト情報をもとに、検索ソフトなどで必要なキーワードを含む資料を見つけ出すことも容易である。情報が紙から解放されることで得られるメリットは非常に大きい。

 もちろん、こうやってスキャンした資料はあくまでコピーであるから、オリジナルの情報がある程度損なわれるのは仕方がない。しかし、何も手を打たないで劣化したり亡失したりする危険性を考えれば、電子化によるメリットの方がはるかに大きいと思う。

 そんなわけで、私は職場にはこのScanSnapの上位機種を、自宅には普及版をそれぞれ置き、暇と書類を見つけては、ばりばり電子化している。溜まった資料をすべて電子化するのは一朝一夕にはできないものであるが、やりやすいところからこつこつと進めていけば、整頓され生産性の高い作業環境が得られると思う。


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