#280 翻訳機再び

2008/02/08

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 昨年春に購入した電子辞書ならぬ翻訳機Global Talker(以下Talker)であるが、お陰様で大変に重宝している。特に役に立っているのは、英英辞書(New Oxford American Dictionary)で、やはりこの本格的な英英辞書が胸ポケットに入るサイズで携帯できるというのは相当な強みである。

 一方の、この翻訳機の売りでもあるアジア14言語の基本単語と実用短文のマトリックス相互変換については、実際に役に立つという場面は今のところあまりないのだが、基本的な挨拶や単語を引いてみたりして、こんな具合に言うのかと感心したりする。

 この翻訳機を購入したあと、図書館で、マレーシア語・韓国語・ヒンディー語・アラビア語・タイ語の文法書を立て続けに借りて、案の定どれも身についてはいないのだが、少なくとも文字を読んで辞書を引くことくらいはできるようにはなった、ような気がする。擬似的に発音をアルファベット表記するのでなく、各国語の文字で入力して引くことができるというのはちょっとした驚きである。

 実はこのTalkerシリーズは、私が購入したアジア版のほかに、インターナショナル版と北東ヨーロッパ版がある。前者は仏語・独語・伊語・西語・露語など、英語以外の比較的メジャーな西欧圏言語をカバーしており、後者はチェコ語・スロベニア語・デンマーク語・スウェーデン語などの北欧・東欧系の言語をカバーしている。

 こんな具合にいろいろバリエーションがあると、なんとなく一通り揃えたいという気持ちも働くのだが、実際のところ違いがあるのは相互変換の対象となっている14言語の部分のみ(実際には英語・中国語・韓国語・日本語はどのバージョンにも共通なので、違うのは10言語のみ)であり、よく使う英英辞書はじめ、データバンク・FMラジオ・電卓・世界時計・単位・通貨換算・ゲームなどの機能はすべて共通であるから、わざわざ相違部分だけのために同じ値段で別バージョンを新たに買うのも不経済である。

 そんな「相違部分」だけを機能として取り出したような翻訳機が、同じ会社から出ていたので、このたびそれを購入した。Global Translator 29L(以下29L)という名前のその翻訳機は、その名の通り、29言語の基本単語と実用短文の相互変換の機能を持っている。試みにその29言語を列挙してみよう。

 Arabic(アラビア語)・Bulgarian(ブルガリア語)・Chinese(中国語)・Czech(チェコ語)・Danish(デンマーク語)・Dutch(オランダ語)・English(英語)・Estonian(エストニア語)・Finnish(フィンランド語)・French(フランス語)・German(ドイツ語)・Greek(ギリシャ語)・Hebrew(ヘブライ語)・Hungarian(ハンガリー語)・Indonesian(インドネシア語)・Italian(イタリア語)・Japanese(日本語)・Korean(韓国語)・Norwegian(ノルウェー語)・Polish(ポーランド語)・Portuguese(ポルトガル語)・Romanian(ルーマニア語)・Russian(ロシア語)・Slovakian(スロバキア語)・Spanish(スペイン語)・Swedish(スウェーデン語)・Thai(タイ語)・Turkish(トルコ語)・Ukrainian(ウクライナ語)

 列挙するだけでお腹がいっぱいになりそうで、中にはおそらく一生縁のないような言語もあるだろうが、よくもこれだけの言語について収録したものだと感心させられる。

 実際のところ、どのくらいの語彙数があるのかについては、広告やマニュアルを見てもいろいろ表記があって真相がわからない。先に購入したTalkerの場合、1言語あたり8200単語、2300例文とのことで、それと比較したところ、Global 29Lの方は単語数はやや少なく(5000程度?)、例文数は同じではないかと思われる。また、Talkerには発音機能があるが、29Lの方にはない。アルファベットにアクセント記号がついているものや、ギリシア・ロシア文字までは表示可能だが、アラビア文字やタイ文字やハングルや漢字などのアジア系言語の複雑な文字は表現できないので、これらは発音をアルファベットで表示するのみである。(Talkerのアジア版は文字も原語のまま表示するので、その部分だけ見ても大したものである。)

 というわけで、完全にはTalkerを補完しているわけではないが、ボタン電池(CR2032)を使用しているため、Talkerより更に薄くて軽く、Talker同様、データバンク・電卓・世界時計・単位換算機能も持っている。実際に役に立つかどうかは別にして、これだけの機能があって4100円(Amazonで購入)というのはなかなかすごいことだと思う。例によって「この値段でこんなに高機能」というのに弱い私好みの電脳小物なのであった。


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