#275 超軽量MP3プレーヤに一目惚れ

2007/08/30

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 ここ数年、感覚的にはiPod nanoがリリースされて以降、所謂MP3プレーヤは爆発的と言っていいほど普及したようで、街中でも電車内でも、それらしきものを使っている人を多く見かけるようになった。それにつれ各社とも、より大容量・高機能なプレーヤを次々出すようになった。

 私が2年半ほど前に購入し使用してきたMP3プレーヤである「o'zzio musica」も、普通に音楽を聴くことはもちろん、通勤中に語学の短文を聴いたり、会社で会議の録音をしたりと、毎日大活躍なのだが、毎日使っていると、胸ポケットに入れているとちょっと嵩張るなとか、容量が512Mbyteだっとちょっと物足りなくなってきたなとか、ボイスレコードファイルにタイムスタンプが無いのでほおっておくと何の録音がわからなくなって管理が面倒だなとか、歌詞表示するにしてももう少し表示文字数が多ければなあとか、USBでの転送速度がもうちょっと速ければなあとか、いろいろ不満も出てきていたところであった。

 とは言えまだまだ現役で使っているプレーヤであるから、基本的にはmusicaの持つボイスレコーディングやFMラジオなどの機能を一通り持っており、かつよりコンパクトなものでなければ買い換えないぞと思ってたところであったが、ふと入ったビックカメラでほとんど「一目惚れ」してしまったのが、iriverのS10という機種であった。思わず衝動買いしたくなる気持ちを何とか抑えながらも、結局は翌日のうちにネットで最安店を見つけて、買ってしまったのであった。

 S10の本体は幅40mm、高さ30mm、奥行き10.8mmと非常にコンパクトで、重量は17.5gしかない。付属のネックストラップで首にかけていても、存在を忘れるほどの大きさ・重さである。ストラップと本体はイヤホンケーブルのみで繋がっているので、いくら軽いとは言え抜けやしないかと心配になるところだが、付属のイヤホンは本体の背面にひっかかるような爪がついているので、その心配はない。

 本体が小さいと犠牲になってしまうのが操作性であるが、S10は「iriver D-Click System」という独特なインターフェイスを採用してこれを解決している。これは、本体の画面部分の上下左右を指で挟むようにして動かすスイッチで、小さい本体全体がスイッチになっており非常に操作しやすいインターフェイスになっている。

 この重さなのでバッテリは内蔵で、連続駆動時間は8時間と短めなのであるが、通勤時間での往復2時間弱の使用であれば、数日は持つので、個人的にはあまり気にしていない。

 画面は16bitカラーの1.15インチ高精細有機ELを採用している。先代のmusicaでも暗いところでの視認性がよく気に入っていた有機ELがカラーになって更に見やすくなった。メインメニューはわかりやすいカラーの大きなアイコンで示されるほか、文字も半角12文字8行表示が可能なため、一覧性に優れている。ネックストラップ使用時にも使いやすいよう、画面の上下は設定により反転させることもできる。また、音楽再生中にbmpファイルを表示することもできる。

 付属のコネクタは、イヤホンジャックに挿す形でパソコンのUSB端子と接続でき、充電やファイル転送を行うことができる。マスストレージクラスなので、エクスプローラなどでファイルのコピーや削除が行えるし、USB2.0に対応しているので転送速度も速い。容量も2Gbyteと、musicaの4倍あるので、USBメモリとしても使うことが出来る。

 プリセット可能なFMチューナも搭載。プリセットは20局まで設定可能である。選局やプリセットも非常にやりやすい。また、ボイスレコーディング機能も搭載してはいるが、こちらの方は、musicaと比べると、マイクの感度は今ひとつである。

 musicaになかった機能として、時計機能がついているのが個人的には非常にありがたい。どのメニューを選択していても時計が左上部に表示されているので、時計がわりに使うことができるし、これのおかげで、FM放送をタイマー録音したり、録音したMP3ファイルに正確なタイムスタンプをつけることが可能になっている。

 musica同様、歌詞表示機能も搭載している。マニュアルには詳細が記載されていないが、MP3のタグに埋め込む形で歌詞を記録すると、タイムタグに合わせて歌詞を4行表示してくれる。全角文字で合計24文字一度に表示できるので、musicaの10文字に比べると一覧性が飛躍的に向上している。

 新型のiPod Shuffleと遜色ない大きさ・重さながら、これだけの機能を盛り込んでいるところが、いかにも「こんな小さなものがこんなに高機能」というものに弱い、私好みのMP3プレーヤである。musicaに比べて劣るところも若干あるが、それを補って余りある能力を持っており、大変に気に入っている。

 というわけで、次回はこのS10をサポートするフリーソフトをいくつか紹介する予定である。


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