#276 MP3プレーヤサポートソフトたち

2007/09/19

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 以前使っていたmusicaに替わり、S10という超小型多機能MP3プレーヤを使い始めたところであるが、今回はその機能を十二分に発揮させるためのフリーソフトをいくつか紹介する。

 musica同様、S10には歌詞表示機能がある。とは言え、マニュアルを見ても「歌詞データがある音楽ファイルの再生時に歌詞を表示します」としか書いておらず、その歌詞データのある音楽ファイルをどう作ればいいのかまではわからない。調べたところ、musicaの場合は、歌詞データを記録した同名のテキストファイルを、拡張子txtで保存して同じフォルダに置いておけば、歌詞表示してくれたのであるが、S10の場合は同じ方法ではダメなようで、MP3ファイルそのものに歌詞データを記録しなくてはならないようである。

 この歌詞データの記録をしてくれるのが、K5 Lyrics Editorというソフトである。操作の流れとしては、MP3ファイルと歌詞ファイルをそれぞれ開き、対応するプレーヤを設定してから、MP3ファイルを再生し、あとは歌詞を見ながら「同期」ボタンを押してタイムタグをつけ、最後にMP3ファイルにこのタイムタグつき歌詞を記録する、というものである。詳しくはiriverのサイトのサポーターズコラムの該当ページを参照していただきたい。

 プレーヤにより表示文字数が違うので、このソフトではプルダウンメニューでプレーヤを選択できるようになっているのだが、残念ながら、昨年11月にリリースされたばかりのS10はメニューに入ってはいない。しかし「kle_list.ini」にパラメータを追加することで、S10にも対応させることができる。私は、同じくらいの表示文字数でプロポーショナルフォントに対応している「COWON A2」というプレーヤの設定を参考に、適当に値を設定した。

 また、単語を構成する文字を設定することにより、歌詞が単語の途中で切れないように適切にタイムタグを入れるようになっているのだが、これについても、オリジナルの設定では数字が含まれていないので、数字を含むようにした方がいいようである。

 私の場合は、この歌詞表示は主に外国語のスキットに利用している。流れているスキットにあわせて日本語訳を表示させたりすることで、対訳本がなくても勉強ができるので、なかなか役に立つ。とはいえ、タイムタグをつけるのはどうしても一通り聴く必要があるため、なかなか根気のいる作業なのであるが。

 また、S10の弱点として、内蔵マイクによる録音レベルがmusicaに比べて低いというのがある。実際、同じ環境で並行して録音したところ、12dbくらい低いようである。ものによっては、最大音量で再生してようやく聞き取れるくらいなので、このままだとあまり実用的でない。

 このような、再生レベルが極端に小さい(大きい)MP3ファイルの再生レベルを調整するソフトが、MP3GAINである。MP3ファイル(複数指定・フォルダ指定可)を読み込み、ボタン一つで設定したレベルにゲインを調整することが可能である。

 このソフトのすぐれたところは、デコード・再エンコードを行わず、MP3の再生レベルを既定しているパラメータを変更するだけでなので、基本的に元のMP3ファイルを劣化させることがなく、また必要に応じて元のゲインに戻すことも可能であることである。また、レベルの調整も、ファイルごとに標準レベルにあわせたり、アルバム全体で調整したり、一定の値を増減させたりするなど、いろいろな方法を選ぶことができる。

 そのほか、公開されているフリーソフトではないが、iPod Shuffleみたいな使い方をシミュレートするものとして、手持ちのライブラリからアルバム単位、曲単位でランダムに選択して転送するPerlツールを、musicaの時代から自作して便利に使っている。

 こんな具合に、S10の機能を十分に生かしつつ短所を補うソフトを見つけたり作ったりして、この小さいおもちゃを毎日使い倒しているところである。まったく、カセットテープのヘッドホンステレオで音楽やスキットを聞きながら通学していた頃に比べると、首からぶら下げたペンダントみたいな機械に何百曲も入れて聞きながら通勤している今は、全くもって便利な世の中だと思う。


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