#269 ネットで図書館を利用しまくる

2007/02/23

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 6年ほど前に今の街に引っ越してきた当初は、街の図書館の利用頻度はそれほど多くはなかった。その前に住んでいた街では、歩いて5分ほどのところに図書館があったことを考えると、歩いて20分ほどかかる図書館の場合はなんとなく「ちょっとふらっと」寄るという感じではどうしてもないので、なんとなく足が遠のいてしまっていたのである。

 それが、前にも書いたが「昔聞いたポピュラーをMP3化する」ということを始めてからは、図書館の利用頻度は俄かに高くなった。というのも、街の図書館が数年前から所蔵資料をすべてデータベース化し、インターネットで在庫確認・予約できるサービスを開始してくれたので、欲しい資料を早く確実に借り出せるようになったからである。

 私の街には全部で11の図書館があり、合計150万点ほどの図書・視聴覚資料(CD・ビデオなど)・雑誌があり、そのほとんどすべてがデータベース化されている。図書館のホームページ上で、借りたい資料をタイトルや作者名でもって検索すると、該当する資料が図書館にあるかないか、あれば現在貸し出されているか否かなどが表示されるほか、借り出しの予約までできるようになっている。

 一度に借り出せる資料数(図書は10冊まで、CDは5枚まで)の範囲であれば、複数の予約を入れておくことができる。予約した時点で誰にも借り出されていなければ、数日ほどで最寄の図書館まで資料を移して「取置」してくれるので、1週間以内に最寄の図書館に借りに行けばよい。誰かに借り出されたり前に予約者が入っている場合でも、予約を入れて気長に待っていれば、そのうち自分の順番がめぐってきてくれる。ベストセラーや最近の人気アーティストのアルバムなどは、何百という予約が入っていたりもするので自分の番が回って来るのを待つのは現実的ではないが、数年前のベストセラーなら難なくすぐに借り出せることも珍しくない。

 どういうわけか、2歳の息子は図書館のエレベータや螺旋階段などが好きなので、週末になると息子を図書館へ散歩につれて行く傍ら、予約した資料を受け取りに行っている。2歳の子供は興が乗ると静かな図書館であっても大声ではしゃぐので、時々司書の人に注意されてしまうのが難点であるが。

 貸し出し期間は図書で3週間、CDで2週間で、IDとパスワードを登録しておけば、自分が現在借りている資料の一覧も、貸し出し期限とともに、インターネットで確認することができる。また、貸し出し延長をインターネット経由で申し込むこともできる。貸し出し延長は、後続の予約が無い限りにおいて、貸し出し期間中の任意の時点で申請することができ、認められれば申請時点から更に3週間借りることができる。何かの事情で返却期限までに図書館に行けない時(場合によっては、単に雨が降っていて図書館に行きづらいような時)など、自宅からネットで貸し出し延長を申請して、返却期限を先延ばしすることもできる。大変便利である。

 もちろん、ネットを通して資料を検索するのは、あくまで自分の興味ある分野の資料だけであるが、実際の図書館に出向いて書棚をつらつら眺めてみると、あたり前のことであるが実に様々のジャンルの本が並んでいる。たまにはそれまで興味のなかったジャンルの本を手にとって借りて読んでみるのも悪くない。読み通せなかったとしてももともとタダであるから懐は痛まないし、それがきっかけで自分の興味が広がるのであれば、それはすばらしいことだ。

 その他、蔵書整理の結果、不要になった資料を「ご自由にお持ちください」と提供していることもある。読みたいと思っていた本が思いがけず提供されていることなどがあると、とてもうれしい。本棚が溢れない程度に持って帰ったりする。

 毎年様々な図書やCDが出されているものの、自分が生涯のうちに読んだり聞いたりできるものは限られている。また、それらを全部自分の「コレクション」として持っておいたとしても、数が多くなれば、相対的にそれらを繰り返し読んだり聞いたりする時間はどんどんなくなっていく。そんなわけで最近では、辞書やマニュアルなどリファレンス的に繰り返し開く必要があるもの、あるいはよほど気に入ったものを除いて、自分の本棚からはなるべくモノを減らし、その分図書館を大いに利用して、自分にとっての「新しい」本をどんどん読もうとしている次第である。データベース化された150万点もの資料が収められた「本棚」が無料で利用できるのだから、これを利用しない手はないではないか。


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