#212 続・欧州紀行雑感

2002/12/25

<前目次次>


 1ヵ月ほど前に、再び欧州に旅行に行ってきた。前回はオランダ・ベルギー・フランスと、西欧の海岸沿いを南下する形であったが、今回はチェコ・ドイツ・オーストリア・ハンガリーと、中欧と呼ばれる地域を中心に現地6泊7日の旅行である。

 今やインターネットなどというものがあると、旅行前からいろいろな情報を仕入れることができる。実際にその地域を旅行した人たちのページや掲示板などから、お勧めのお店から危なそうな地域まで、いろいろな情報を前もって得ることができるのはありがたい。すでに相当寒いらしいので、使い捨てカイロなどをしこたま準備する。

 都心から成田空港まではいろいろな行き方があるのだが、飛行機の時間が遅く比較的時間に余裕があったので、成田エクスプレスや京成スカイライナーなど使って高い特急券代を払わなくても、普通電車で安く行く方法を選択することにした。駅前探険倶楽部によれば、東西線経由で船橋から京成に乗り換えるという解が最も安いと出た。しかしいざ実行してみると、船橋での乗り継ぎは駅間が遠く駅前もごちゃごちゃしており、重いスーツケースを転がして乗り換えるにはすこぶる不便で、妻に文句を言われてしまった。成田への乗り継ぎは、時間や料金だけでなく、徒歩移動の時間なども考えて選択するべきであったと反省。

 昨年の米国同時多発テロ事件以来、空港でのセキュリティチェックは軒並み厳しくなっている。特に乗り継ぎで降りたシャルル・ド・ゴール空港は厳しく、一人一人に時間をかけてチェックしており、自分の番が来るまで20分近く待たされた。チェックの際には手持ちの携帯端末やデジカメはもちろん、帽子やコートもすべて剥ぎ取られた。しかし身ぐるみ剥がされてゲートをくぐってもまだブザーが鳴ってしまう。金属探知器でボディチェックを受けたら、腕時計(ボディはプラスティック)とベルトのバックルで引っかかっていたらしい。こんなことでいちいちブザーが鳴るようでは、鳴らない人なんかいないんじゃないか。

 まあそんな軽い洗礼を受けた後、飛行機でチェコ入りし、ようやく観光の始まり。旅のおともは今回もデジカメ。買ってもうすぐ2年になる。最近はメディアも安くなってきたこともあって、今回は新たに64Mbyteのスマートメディアも購入。予備のバッテリ(単3ニッカドまたはニッケル水素電池・携帯端末と兼用)も2セット準備し、240V対応の小型高速充電器も持参し、万全の体勢。美しい街並みなどをあちこち撮りまくる、典型的ニッポン型観光旅行である。もっともチェコなどの東欧諸国は、自由化されてのち、日本に限らず観光客が多いようで、日本人以外にもカメラで撮りまくるツアー客とおぼしき人達が数多く見られた。ただし、治安は西側に比べればいい方とは言えないので、特に撮影の時などはスリに注意せよとガイドさんに強く言われた。

 現地2日目はプラハからドレスデンへ移動。国境を越えるので、バスでの移動でも国境では全員パスポートのチェックを受ける。オランダ・ベルギー・フランスの際は、国境でのチェックもほとんどなかったのだが、非EU加盟国とEU加盟国の間では、まだまだ国境での検問は厳しい。あやしい行動であらぬ疑いを持たれぬよう、国境では写真撮影など絶対禁止と言われた。

 3日目にウィーンへ移動し、4日目にはウィーンで終日自由行動。郊外のシェーンブルン宮殿などへ行くと、林の中からひょっこりリスが出てきたり、日本では見かけない色の鴉(真っ黒ではなく胴体がやや灰色)などがいたりする。日本ではなかなか見かけないこれらの動物を写真に撮るのも楽しい。11月末であったがすでにクリスマス市が立ち並び、市街の店先のディスプレイが美しく飾られているのも絵になる。いろんなものを撮影してホテルに戻ったら、何を撮ったのかを忘れないよう、携帯端末に写真のキャプションを記録しておく。

 5日目以降に滞在したブダペストは、絵になる風景や建物が多い街である。ゲレルトの丘から市街を一望(冬にしては珍しく快晴であった)すると、中央のドナウ川とそこにかかるくさり橋、左岸のブダ側の丘の上に並ぶ王宮、右岸のペスト側にも国会議事堂やイシュトバーン教会などの建物が美しい。もちろん、近くで見ればもっと美しいし、建物の中の装飾も豪奢でこれまた絵になる。ドナウ川のナイトクルーズでは、これらの建物がライトアップされる。船の上からの夜景撮影は難しいが、デジタルカメラで手ブレに気をつけながら撮れば、2枚に1枚程度は綺麗な夜景が撮れる。

 そんなわけで、風景・夜景・建築物・店先・美術品・人物・動物・広告・空港・バスの時刻表に至るまで、旅行中実に600もの様々なものを撮影して帰ってきた。妻からは記録マニアと言われてしまったが、ツアーの中には、デジカメだけでなく一眼レフやビデオカメラを常に携帯し、ジャケットにこれらのためのバッテリやメディアを山ほど詰めて歩いている強者もいたので、それに比べれば私などはマニアの称号をもらうにはまだまだである。(もらいたいとも思わないけど。)


<前目次次>