#187 WindowsXPはいつ使う

2001/12/16

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 相変わらず能がないタイトルで申し訳ない。Windows批判の3回目(1回目2回目)である。しかも今回は気が付けばすでに発売から1ヶ月もたってしまっている。いかに私自身「どうでもいい」と思っているかが見えるようで、重ねて申し訳ない。

 WindowsXPの日本語版が11月16日にリリースされた。今回も例によって、0時の発売開始に合わせた深夜販売を各店で行ったというが、XPそのものよりもイベントに参加したアイドル目当ての客が多かった有楽町某店だとか、半分弱の人がXPではなく関連特売商品を買っていったという渋谷某店だとか、18禁ゲームの体験版無料配布の方がよっぽど人が集まっていた秋葉原だとか、笑えるオチがぼろぼろ出てくる発売初日だったようである。

 そもそも、こんな文章を書いている私自体、XPの何がそんなに魅力なのかが実はよくわかっていない。なんでも売り文句は「ブロードバンド時代のOS」だとのことだが、その中身は、最近とみに攻撃の対象になっているInternetExplorerのアップグレードだとか、WindowsMediaPlayerのアップグレードだとか、ファイアウォール機能だとか、テレビ電話機能だとか、その気になればほとんどタダでも手に入りそうな機能だったりするわけで、お金を払ってまでわざわざアップグレードする必要性があまり見あたらない

 しかし、いくら実体はアプリケーションの追加程度のアップグレードでしかないXPとは言っても、OSのアップグレードには違いないわけだから、おいそれと気軽にやるべきものではなく、もう少し慎重になった方がいいのではという気がする。ご多分に漏れずOS本体は以前のそれよりも高いスペックを要求されることや、ユーザーインターフェイスが変わることによる不便さやリスクや互換性の問題を充分に頭に入れて行うべきだと思うのだが、アップグレードしようという人は、どうやらあまりそういうことは気にされていない様子である。

 まあいかにXPに目玉となる機能がなくても、あるいはアップグレードしていろいろな不都合や問題があとから生じたとしても、新しいOSを入れたんだという満足感が得られればそれでよしという人は好きにすればいい。しかしそれでもなお、XPには「やめた方がいいんでない?」と説得するに足る理由がある。それが、今回のWindowsXPやOffice2002から導入された「Windows Product Activation(アクティベーション機能)」というヤツだ。これは、ソフトをインストールした際にハードウエアの構成をネットや電話で登録し、Microsoftがインストールしたソフトを起動させるためのIDを発行するというものである。これにより、インストールしたOSやソフトは特定のハードウェア構成のシステムでしか機能しなくなるため、ソフトの不正使用を防ぐことができるというものである。

 ソフトの不正使用は著作権の侵害であるという事実は理解できるし、その一方で、不正使用が一向に無くならないという現実もよくわかる。しかし、不正利用を防ぐためのこの技術が、一方で正規の手続きを踏んで使用しているユーザーにも不利益をもたらす例が早くも上がってきているのが現実である。例えば、同じユーザーがシステムを大規模に変更すれば、それはもう「不正使用」であると見なされたり、あるいは再度アクティベーションの手続きを踏まなくてはならなくなる。更に恐いことに、アクティベーション機能そのものが暴走して「何もしていないのに」突然使えなくなってしまったり、アクティベーションしようとしても、サーバーが混雑するなどの理由でうまくアクティベーションできないという事態も起きていると聞く。個人の使用だったらまだしも、これが企業で一斉に導入したシステムが動かなくなってしまったとしたら、訴訟や損害賠償ものになるんではないかと思うのだが、いかがなものだろうか。

 こういう、Microsoftのためにはなるかも知れないがユーザーには全くメリットのない「アクティベーション機能」を積極的に体験したいと言うのでもない限り、XPを導入するのはいかがなものかと考える。結局この機能のために、XPは全く流行らないまま不発に終わってしまうのではないかと踏んでいるのであるが、果たして結果やいかに


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