#105 Windows2000はいつ使う?

2000/02/22

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 Windows2000の発売に伴い、第1回のタイトルもバージョンアップである(苦笑)。

 Windows2000が2月18日に無事発売されたようである。ただ今回はさすがに、近くのパソコンショップでは午前0時からの販売は行われなかったようだ。各マスコミの取り上げ方も、Windows95の頃に比べれば随分小さい。Windows95から数えて5年。あの時のわけもわからないフィーバーぶりも今や昔と言った感がある。たかがOSの発売に熱狂していた当時の状況が異常だったとも言えるのだが。

 Windows2000が発売された今でも、私の家のパソコンは未だにMS-DOSが2台とWindows95が1台である。それで別に困っているというわけでもないし、Windows98や2000にバージョンアップしなくてはならない理由がそもそも思いつかない

 要求スペックにしても、Microsoftの話では「133MHz以上のPentiumプロセッサ、64Mbyteのメモリで充分動く」という話だが、実際にはCPUは最低250MHz、メモリも128Mbyte以上ないと厳しいという見方が大勢である。Windows2000は、それだけのハードウェアへの投資に見合うようなすばらしい環境を提供してくれるのだろうか。私には甚だ疑問である

 実際Windows2000には、発売前から悪い噂が絶えない。例えば先頃スッパ抜かれたMicrosoftの内部文書によると、Windows2000には現在わかっているだけでも63000以上の潜在的な問題があり、それらのバグフィックスのために、すでに「Whistler」と「Blockcomb」というコード名のアップグレード版の開発が進行中だとのことである。また日本語版には西暦以外のカレンダーが正しく表示されなかったり、ディレクトリサービスが濁音・半濁音・拗音・促音を区別できない(これらを同一視してしまう)という基本的で情けないバグが早くも見つかっている。

 こうしたバグをフィックスしたものを「サービスパック」だの「アップグレード」などという名前の商品としてリリースし、ユーザーから再びお金を巻き上げるのが、Microsoftの商売のやりかたである。つまり、製品の出来が悪いほど儲かると言う構造になっているのである。全くユーザーを馬鹿にした商売である。

 そもそもこのWindows2000は、Windows98のバージョンアップではあるが、系統としてはWindowsNTというサーバなどの用途に作られたシリーズにあたる。そのため、アプリケーションによってはWindows95/98のものと互換性がないものもあり、対応アプリケーションが揃うようになるまではしばらく時間がかかりそうだ。従って、今すぐにWindows2000へのアップグレードをすることは控えた方がよさそうだ。いくらOSが新しくなっても、それだけではパソコンは使い物にならない。

 加えて言えば、WindowsNTもサーバとしては決して優秀なものとは言えず、かつてはファイルの単純なリネームでシステムが落ちるなどの信じられないバグもあるなど、安定性や信頼性は極めて低い。「WindowsNTの流れを汲むWindows2000は、Windows98に比べて安定している」などと言うが、仮にそれが真実だとしても、あくまでWindowsどうしでの比較に過ぎない。選択肢を広げてみれば、UNIXやNetWareやOS/2など、Windowsよりも安定したOSはいくらでもある。

 Windows2000の売り文句の一つに「Windows2000を使えば、パソコンやアプリケーションのフリーズから解放されます」なんて言うのがあるそうだが、全くお嗤いである。そもそもパソコンが簡単に動作不安定になるような今の状況になってしまったのは、Windowsが登場してからではないか。

 パソコンの分野でOS・アプリケーションとも独占に近いシェアを占めるMicrosoftだが、その実態は、まずOS市場を独占し、半ば抱き合せに近い形でアプリケーションを普及させることによって、ライバル会社のアプリケーションを骨抜きの状態にし、結果アプリケーション市場をも独占するという方法で成長してきた会社である。決して高い技術力や安定性が評価されて同社の製品がシェアを広げてきたわけでないことは、あなたのパソコンで再三起きる原因不明のフリーズを見れば、自ずと明らかであろう。

 こうしたMicrosoftの反社会的な商売の実態も徐々に公になりつつある。昨年11月にアメリカ連邦地裁は、司法省の訴えを全面的に認め、「Microsoftは独占力を使って競争と革新を阻害した」という判断を下した。また欧州では、今回発売されたWindows2000の機能が、サーバOS及び電子商取引の分野における独占的地位拡大のためのものであるという疑いから、EU独占禁止法に違反している可能性があるとして、欧州委が調査を開始したという話である。

 一方で、オープンソースという古き良きUNIXの伝統を踏襲するLinuxなどの陣営も急速に台頭してきている。クローズドな市場のWindowsに比べ、多くの人がソースを自由に見て改良することのできるオープンソースの文化で育ったソフトウェアの方が、はるかに優秀で信頼性が高いことは明らかである。これらがビジネスやパーソナルの分野にそのシェアを拡大してきた時こそ、Microsoftが市場を席捲した時代は終焉を迎えるのではないだろうか。そして、そうなる日も遠い未来のことではあるまい。


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