#009 HTMLエディタの功罪

1998/08/24

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 ネットワーク環境Windowsパソコンも手に入れ、いよいよ自分の(というか自分の劇団の)ぺージ作りに着手することになった。

 さて、通常WebPageは、HTML(Hypertext Markup Language)というもので記述されている。これは大雑把に言えば、通常のテキストに「見出し」「リンク」などの属性をつけたものである。従って、HTMLそのものもテキストには違いない。違いないのだが、通常のテキストを通常のエディタでもってタグをつけてHTML化するのは、慣れないと結構面倒な作業である。また、よしんばそうやってHTMLを書いたとしても、ブラウザを使って見てみるとなかなか自分の思った通りのデザインになっておらず、結局その結果をもとにまたエディタでHTMLを修正しブラウザで確認、ということの繰り返しとなり、開発環境としては効率が著しく損なわれてしまう。

 そういう不満に答えるべく、巷には、GUIベースのOS上で動く、HTMLエディタというものがいくつか存在する。これらのソフトは、HTMLをブラウザで閲覧したときのイメージほぼそのままの画面が、そのまま編集画面となっている。文字列を選択して「見出し1」などと指定すれば、文字列は見出しとなり、実際のHTMLはH1(Heading 1)エレメントとなってくれるわけである。あるいは文字列を選択して、ダイアログボックスを出して、リンク先を指定すれば、A(Anchor)エレメントとなるわけである。

 これらのソフトを使えば、普通のエディタでタグをしこしこと記述してHTMLを作るよりも、はるかに効率的に、しかもほぼ自分のイメージの通りにHTMLを作ることができる。その気になれば、フレームや多重テーブルなど、およそ自分で一から記述するのはかなり大変なものもかなり容易に作ることができる。

 だがしかし、実はこれらのHTMLエディタは、HTMLの文法に違反したHTMLを平気で吐き出すので、かなり注意が必要である。たとえば私が使っているHTMLエディタの場合、P(Paragraph)エレメントがHR(Horizontal Rule)エレメントを含んでしまったり、インデントにLI(List Item)なしのUL(Unordered List)エレメントを使用したりといったことを平気でやってくれる。

 もっとも文法に違反しているといっても、ちまたのブラウザは結構寛容にできており、多少間違ったHTMLでも適当に表示はしてくれるものである。HTMLは言語とは言っても、プログラム言語などと違い、文法に違反したところで致命的な結果を招くということはほとんどないので、あんまり気にする必要はないといった意見もあることも事実である。要は「見えればいい」と言ったレベルになってしまいがちである。

 自分の作ったページを記述するHTMLが、HTMLの文法にどれだけ即しているかというものをチェックするページとして、Another HTML-lint gatewayというページがある。これは、自分の書いたHTMLをダイアログボックスに直接記述するか、あるいはそのHTMLのあるURLを指定して、チェックボタンを押すと、100点満点からの減点法で そのHTMLを採点してくれるというものである。これを使って巷のページのHTMLをチェックしてみると、見栄えのよいページが必ずしも正しい HTMLで記述されていないことがわかり、結構参考になる

 もちろんこんなことを書く私の作ったページをチェックしても満点にはならないだろう。私のページも最終的なレイアウトは、あるHTMLエディタを使用しており、それが作るHTML(もどき)が多少文法に違反していることが分かっていても、簡便にHTML(もどき)を記述できるという魅力は捨て難いからである。それにしても、効率的にHTMLを書くことと、文法に即したHTMLを記述することは決して背反なことではないはずなのに、どうして巷のHTMLエディタは正しいHTMLを作れないのだろうか。

 どなたか、HTMLの文法にできるだけ即したHTMLを作ることのできるHTMLエディタをご存じないですか?


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