#005 携帯を換えた(後編)

1998/08/03

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 そんな次第で携帯電話交換の話続きである。説明を受けて一度は引き上げて、念のためパソコンに大事な電話番号の控えを取ってから、翌日、再び件の店をたずねた。もう決心は固まっている。今日こそ機種交換だ。「すみません、」と問い掛けると、こちらの用件を聞くまでもなく、受け付け順の名簿に名前を書いて、お呼びするまでしばらくお待ち下さいという。店内はさほど混んではいなかったのだが、それでも4〜5人分待たされるようだった。

 ようやく私の名前が呼ばれたので、窓口に行ってみたら、担当になったのは、昨日逃げ出した件の頼りなさそうなお姉ちゃんであった。「はい、機種交換ね。それじゃ、さっきと同じだから、自分でやってみて」と、傍らの男性店員が指導する。私はこのお姉ちゃんの研修相手とされてしまった。

 まず本人であることの確認のために、電話番号と名前と住所を聞かれた。これだけが合致していれば、身分証明すらいらないらしい。交換機種を告げ、手続きのために長い時間がかかる。たどたどしくパソコンの画面を見て操作する彼女の横から、男性店員の指導の声「そうそう、こっちが旧機種。ここからメニューを選んで、P201ね、で、新しい方がP205のブラックで、電池パックと、アダプタと、」なんてやってるからおそらく通常の3倍くらい時間がかかっているのだろう。少しイライラするが、今更引き下がるわけにもいかず、黙って待っている。

 で、いよいよ、古い機種の登録電話番号のから新しい機種への転送とあいなった。男性店員が指導する、「そう、こっちを古い方につないで、で、こっちが新しい方。逆につないじゃうと前のデータが消えちゃうから気をつけてね」こらこら、間違っても消すなよ。いままでこつこつと打ち込んできた240件のデータだ。消したらあんたが責任もって入力してくれよ、って、この調子でお姉ちゃんにやらせると1週間はかかりかねんな。

 しかも不安なことに男性店員曰く「ああ、これコネクタのところちょっと汚れているみたいだな。接続がうまくいかないなあ」なんて言ってくれる。携帯電話のお尻のところには、通信用のコネクタを保護するための小さなプラスチックの蓋がついているものなのだが、そんなものは買ってすぐになくしてしまっている。そのせいでコネクタ部分が汚れてしまっているのだろうか。ますます不安になる。

 だがどうにかうまくいったらしく、登録電話番号のデータ転送がスタートしたようだ。しかしこれ、ふと思ったのだが、こうやって機種交換するたびに他人の電話番号リストをコピーして販促データとして流用しているのではあるまいな。電話番号のリストを見て携帯電話を持っていない人がいたら加入のご案内を電話でするとかね。実際こっちには確認する手だてがないのだが、だとしたらちょっと嫌だなあ。知人の皆さん。DoCoMoから不審な電話がかかってきたらお知らせ下さい。それは私のせいです。あ、でも同じNTTならもともとそんなことしなくてもそんなデータは入手可能だよね。

 そんな不安をよそに、どうにか無事データ転送も終了し、すべて手続きは終わったようだ。ちなみに古い機種は、回収もしないでそのまま返してくれた。なんだ、それなら元データもあるわけだしひとまずデータを失う心配はないな。早速新しい電話に記録された電話番号の登録件数を見てみる。登録数240で、残り260。どうやら一つも漏らさずきっちり転送もできたようだし、まだ半分以上残っている。そしてもちろん新しい機種は軽い。本当に持っているのを忘れそうである。忘れても困るのだが。

 あとは、それまでカナで入力していたデータを、しこしこと漢字のデータに変換していくことにするか。ところで、最近では携帯電話のデータをパソコンに吸い上げて編集できるキットが存在し、1万円弱で売っているようである。漢字の入力は圧倒的にパソコンの方が楽であるし、データの共有という意味でもバックアップの意味でもこれは確かに有用で便利で魅力的であるのだが、それだけのために1万円近く払うというのもなあ。

 ところでWebページの話の続きはどうなったんでしょう?


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