△ 不等辺ワークショップ第67回 (2009/06/27)


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写真  進行役を務めた林です。梅雨の晴れ間。6月27日はお天気に恵まれました! むしろ暑すぎるほどだ。12時30分から会場前の通路で受付を開始。参加者のみなさんをお待ちします。アシスタントのアイナさんも私もエプロン姿です。これはねー。目印なのです。前回、受付のとき「誰が主催者なのかわかりにくい」という意見がありました。なるほど、それは盲点でした。八幡山の会場のときは受付にテーブルを置いていましたからね。テーブル越しにお迎えしていたので、わかりやすかった。この下高井戸の会場では、この会場だからこその工夫が必要なのだな。ま、ちょっと恥ずかしいですが、わかりやすくエプロンで区別をつけてみました。このワークショップは、毎回毎回こうして少しずつ変えていきます。改善改善。適応適応です。

写真  さて通算で67回目のワークショップです。15名もの方がご参加くださいました。今回は言わば「宝探し」のワークショップでした。探したり見つけたりというゲームが多かったですね。特に終盤の『暗闇リング』がそうでした。宝は見つかったかしら。いま「探したり見つけたり」と書きましたが、整理すると「探す」はプロセスで、「見つける」は結果ですね。大事なのは「探す」のほうです。プロセスです。見つかる見つからないとは別に、探すことそのものを楽しめるといいですね。私自身もワークショップをしながら「いいワークショップ」をいつも探している気がします。見つかるかな。

写真  序盤はウォーキングでこまかなコミュニケーションを積み重ねます。ペアで向かい合ってジャンプする「前後左右とび」。あれ、難しいですよね。いつも見本をうまく見せられない。でもいいんです。みなさんもどんどん失敗してください。お互いたくさん失敗してたくさん笑いましょう。序盤は特にそれが大事。こんど「前後左右とび」を英語でやってみようかな。これはアイナさんのアイデアです。きっともっと難しくなるね。「前」はフロントなのかな。フォワードなのかな。中国語やスペイン語もいいな。毎回変えようかな。失敗してもいいんです。楽しく失敗できる場にしたいですね。

写真  「共通点探し」はこのワークショップでは初めてでした。ペアでお互いの共通点をたくさん見つけます。時間は1分間です。何度かペア替えを繰り返して、最後は身振り手振りだけでやります。言葉を使わない。これは難しい。普通に言葉を使っていたときと比べると、もちろん体はたくさん動くし、伝えようとしたり受け取ろうとしたりする思いも強まったのじゃないかしら。これが3人だったらよりいっそう高度になるだろうなぁ。それもこんどやりましょう。

写真  つい先日、明治大学の公開講座でもこれと同じことをやりました。身振り手振りで共通点を探す。あるペアは共通点をひとつも見つけられませんでした。様子を聞くと、こんな具合だったそうです。「ピアノを弾くかどうかを身振りで相手に尋ねた」→「それがパソコンのことだと思われてしまった」→「足踏みペダルの身振りも付け加えて全身でピアノを表現した」→「ピアノであることはきちんと伝わった」→「相手はピアノは弾かないと答えた」。それで1分間が終わってしまったとのことでした。それ、きちんとやりとりができていますよね。プロセスが豊か。そういうのがいいです。より豊かなやりとりを目指すには、目標が「共通点をたくさん見つける」というものじゃないほうがよかったのかしら。ゲームの進め方をもっと考えます。私の課題だ。

写真  10分間の休憩をはさんで、ワークショップの中盤。10秒スピーチをもとに全員のニックネームを作ります。今回のお題は「自分の意外な一面」です。我ながらこのお題、ひねくれていていいなぁ。初対面の人たちに向かって「自分の意外な一面」を語る。セルフイメージが浮き彫りにされて、ある意味とっても演劇的です。決まったニックネームは「トモカ」「メルシャン」「ハンドソープ」「ハッピ」「シュフ」「チャンツィー」「アタル」「リンゴ」「シンシ」「ポンズ」「ダンベル」「コウキョ」「スタミナ」「ジュウネン」「キアイ」「プリマ」「オシン」です。ざっと見て、いい名前が揃ったなぁ。三浦哲郎の「ユタとふしぎな仲間たち」みたいですね。よく「呼ばれたい名前」を自己申告させるワークショップがあります。そのやり方だとこんなに呼び応えのある名前は出てこないですよ。やっぱり呼び名というのは呼ぶ側が決めるものなのだ。ゼッタイそうだと私は思うのです。少なくとも日本では。

写真  早速このニックネームを使いましょう。2チームに分かれてネームバレー。今回はいきなり対戦するのではなく、まずチーム内でバレーボールの練習をしました。輪になって透明なボールをトスしあう。あれがよかったな。試合後、いつものように勝ったチームは強い生き物を作り、負けたチームは弱い生き物を作ります。もともとは負けたチームへのペナルティゲームとして始めた余興でした。写真 最近はもう私がもともとの意味を忘れてしまっていて、ペナルティでも余興でもない感じですね。チームで頭と身体を使いましょう。今回は人数が多い分、生き物の造形も迫力もひとしお。あれは象と蚊だったのかしら。エレファントとモスキート。蚊を食べた象がパワーアップしてスーパーエレファントになり、造物主であるはずの私をも食べてしまって世界の終わり。全員が一体の生き物に収まると、名前を呼び合う必要がなくなりますね。ワークショップの中盤は名前を作り、名前を使い、最後は名前が不要になる、という流れなんですね。…だからなんなんだ、という気もしますけど。

写真  休憩をはさんで終盤。暗闇リングです。まず目を閉じて手探りでひとつの輪を作る。もういちど目を閉じて手探りで同じ輪を作ります。両隣の人の手を手で覚える。その手を手で見つける。5分間ぐらいかかったのかな。難しいし、大変ですよね。楽しんでいただけたかな。どんな様子だったのかをビデオで観たいという方がいました。たしかにそうですね。私は逆にみなさんひとりひとりがその5分間でどんなことを思ったのかが知りたいです。どうすればもっとじっくり振り返りができるのだろう。これも考えます。

写真  最後はペンキ屋です。車座で2セット。ペンキルールで3部屋。用意したBGMは3曲。ギルバート・オサリバンの「アローン・アゲイン」、ルイ・アームストロングの「この素晴らしい世界」、カーペンターズの「グッバイ・トゥ・ラブ」でした。3部屋目でシュフが窓から星を見つけたのが素敵だったなぁ。ハッピーエンドに持っていこうという前向きさを感じましたよ。ナイス・オファーでした。

写真  ご参加くださったみなさん、お疲れさまでした。ありがとうございました。アシスタントは劇団銅鑼の柴田愛奈さんです。アイナさん、お忙しいなか、一日お付き合いくださってありがとうございます。ぜひまた参加者としても遊びに来てくださいね。次回のワークショップは8月8日(土曜)の予定です。「俳優を目指さない演劇ワークショップ」です。次回は会場を祖師谷大蔵に移します。小田急線です。会場は駅から徒歩3分。祖師谷大蔵は「ウルトラマン商店街」のマチです。おいしいカレー屋さんもあります。8月ですし、夕方はビールがおいしいでしょう。楽しみです。多くの方のお申し込みをお待ちしています。8月の祖師谷大蔵でお会いしましょう。

 不等辺△劇団WS管理部 林成彦(はやしなるひこ)


写真  このワークショップにアシスタントとして参加したのは今回が二度目です。私はワークショップの経験がまだ浅く、ベテランの林さんにコメントするのは畏れ多いのですが、ご本人からの希望もあり、今回は林さんのワークショップについてコメントを記します。
写真  林さんとの振り返りの会で毎回思うのは、林さんのワークショップは実は試行錯誤なのだなということ。プランニングも進行も試行錯誤。だから、試しにやってみたことが思いもよらない効果を生み出すこともあるし、時には期待するような効果が出ないこともある。
 でも、それが非常に演劇的だと思う。
 私が役者だからかもしれないが、演劇なんて試行錯誤の塊だと思う。一つの正解があるわけでなく、むしろ予想外のたくさんのあり方を創り出せるから面白いのだ。どこかの某ファシリテーターはどこでも誰に対しても同じ内容のワークショップをやるという話を先日聞いた。ひどい話である。
 林さんには、迷いながら、時には悩みながらも、これからもぜひ試行錯誤を続けていただきたい。俳優を目指さない人たちといかに向き合い、演劇という遊びを使っていかに豊かな時間を創り出すか。
 今後も期待しています!


★アンケートより

写真 ○初対面なのにわきあいあいとしていて、すごくよい雰囲気でした。
○ほとんど初めての出会いでこれだけ親しくなれるのはすばらしいことです。
○今日はとても大人数でビックリしました。名前覚えられるかなぁ…??と不安でしたが、ネームバレーの効果か、覚えられました☆
○バレーおもしろかったです。
○バレーボール、50音で会話しながら演劇、がおもしろかったです。
写真 ○手を握るゲームでみんなとの一体感を感じました。
○目をつぶって丸くなるゲームがおもしろかったです。
○やはり手つなぎで一輪をつくるワークは素晴らしいと感じました。ビデオで見てみたいです。
○やっぱり目をつぶって輪をつくるゲームは、恐さと不安と安心感が溢れるのでインパクト大でした。
○みんなで円をつくったり、身振りだけでコミュニケーションするのもおもしろかったが、最後のセリフ遊びも楽しかった。
○最後のみんなでセリフを言い合うゲームが興味深かったです。なかなか言葉が出てこなくて、もっと言葉を知りたいと思いました。
○体も心も「動かす」ことが大事だと思いました。体が動くと集中力も増すし、楽しくなるとやる気も出てきます。
○案内状の文章がとても優しく、入りやすいと感じました。
○このアンケートを書くときの台紙、ナイスアイデア!!です。
○友人を連れてまた参加したいです。

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