△ 不等辺ワークショップ第66回 (2009/05/30)


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写真  進行役を務めた林です。今回のハイライトは最後のリーディングです。映画にもなった村上龍の「69」(集英社文庫)をテキストとして使いました。そこから2シーンを抜粋します。「登校時の学校前の坂道」のシーンと「宴会後の帰り道の公園」のシーン。登場人物はヒロインの松井和子と主人公の矢崎剣介。ふたりとももちろん高校生です。「坂道」のシーンではリレー方式の回し読みをして、舌慣らしと耳慣らし。「公園」のシーンでは即興でシーンを演じてみました。この「公園」のシーンが素敵だったなぁ。女性は松井さんっぽく。男性は矢崎くんっぽく。夜の公園でのなんとももどかしく切ない時間を経験しましたね。自分が矢崎くんだったらと想像するに、きっと一瞬一瞬が永遠ですよね。青春っていいですね。演劇っていいなぁ。

写真  今回のワークショップの参加者はタテに50歳もの年齢幅がありました。いつになく幅広く、様々な年齢の方々が集まりました。いままさに高校生である人も、半世紀前に高校生だった人も、全員がひとしく1969年の高校生になる。そして佐世保の夜の公園でぎこちない会話をする。そんな経験、よそじゃなかなかできないですよ。矢崎くん松井さんのペアが5組あって、どのペアも観ていてまぶしかったです。ルール上、会話のどこかで「キスしたことある?」と松井さんに聞かなきゃいけない矢崎くんが、お父さんについての話になった流れで「お父さんと、キスしたことある?」と聞いた。そんなこと女子に聞くか。私たち観客は大爆笑。なんだけど、実際ああいう突拍子もないことを言ってしまうものかもしれないね。ゼッタイ言おうと決めていたことが言えなかったり、言うつもりもないことを口走ってしまったり、しましたものね。写真 青春は切ない。あの矢崎くんのセリフはなかなかよかった。後からじわじわそう思いました。ちなみにBGMはニルソンの「ウィズアウト・ユー」でした。ちょっとベタな選曲ですけどね。

写真  八幡山から下高井戸に会場を移して今回が2回目のワークショップです。前回はやらなかった「おもてなしゲーム」を復活させました。待ち時間を少しでも充実させたい。ワークショップを始める前から早口ことばで遊びます。いつもの「東京特許許可局」です。会場に入れるのが12時45分ですので、時間が15分しかない。イスを並べたりなどの会場設営にご協力くださってありがとうございました。次回以降もそうしよう。12時30分〜45分の間に会場前にお集まりいただき、入室前に受付と着替え(更衣室は別にあります)をすませ、12時45分になったら会場に入る。そしてざざざっと全員で設営をする。そういう段取りにしようと思います。参加者のみなさん、どうぞご協力を願います。『早口ことば』でいまふと思ったのですが、関西でも「東京特許許可局」って言うのかしら。それとも「京都特許許可局」なのかしら。

写真  10秒スピーチでお互いのニックネームを決めます。スピーチのお題は「初めて買ったレコード(CD)」です。持ち時間が10秒しかないので、タイトルは言わない。アーチスト名を言うのはOKです。そのレコードについてのエピソードなりなんなりを語ってください。そのスピーチ内容を元に、曲名を推察したりしつつ、みんなでニックネームを決めます。私たちのニックネームは「だんご」「メランコ」「アップル」「ドラクラ」「パフィー」「ヒガシ」「テネシー」「大工」「元祖」「ファイターズ」「みゆき」になりました。明かされた曲名をぜんぶメモっておけばよかったな。でもわかるのもありますね。

写真  初めて買ったレコード(CD)が「だんご3兄妹」だったり「テネシーワルツ」だったりする。年齢のタテ幅が感じられて素敵だなぁ。もちろん現役の高校生が江利チエミのレコードを買うかもしれませんし、その逆もあるでしょう。それも素敵なことです。アップルはビートルズの「アビーロード」でしたよね。それがどうしてアップルという名前になったのかが思い出せない。大工はカーペンターズでしたね。ベートーベンの「第九」ではなくて。パフィーは「これが私の生きる道」ですよね。もぎたての果実のいいところ。私もカラオケでよく歌いました。ちなみに私が語ったのは中島みゆきの「悪女」でした。あれは小学6年生だったか中学1年生だったか。ジャケット写真の姿が私の目にはものすごく大人に見えました。当時の中島みゆきはいまの私より10歳以上も年下です。信じられん。

写真  前回までは「もういちど観たいテレビドラマ」がスピーチのお題でした。それもよし、これもよし。「初めて買ったレコード(CD)」は個人史の一端に触れるので、伝わってくる情報がより豊かな気がします。スピーチもおもしろいですが、話題が音楽ならやっぱり曲そのものを聴きたいですね。曲をご持参いただいて、その曲を聴きながらそれにまつわるエピソードを語るというのがいちばんいいな。ニックネームを決めるための余興というよりは、見応えのあるパフォーマンスとして。高校の授業でやってみようかしら。

写真  ワークショップの中盤ははさみ将棋鬼。子供の遊びのようなシンプルなゲームですが、これはめっちゃくちゃおもしろい。ただ全員でプレイしたのでゲーム中の写真が1枚もありません。私が撮ればよかったんだ。失敗したなー。このゲームはアタマと身体を両方使います。3チームに分かれ、全員でいっせいに3歩ずつ歩く。3歩先で立ち止まったとき、チームメイトとふたりで他チームのひとりをうまく挟み込めばOK。挟み込まれた人は死にます。ルールはそれだけ。やってみると意外に体力を使いますね。身体を動かすからおもしろみが増すんでしょうね。ここまでが第1ステージです。

写真  ひと通りプレイしたあと、全員でルールの改良案を考えます。やってみて不都合はなかったか。どうしたらゲームがもっとおもしろくなるか。ここでは死んでしまった人を復活させることにして、そのためのルールを考えました。新しいルールでもういちどプレイ。第1ステージはただ殺せばよかった。単に殺すか殺されるか。そこに「復活させるための動き(働き)」が加わって、ゲームがいっそう高度になりました。おもしろいですねー。ここまでが第2ステージです。

写真  さらに全員でルールの改良案を考えます。やってみると、死者が復活するのはおもしろいが、それだとなかなかゲームが終わらないということがわかりました。次々に死者が復活するのでなかなか全滅しない。そこでゲームを終わらせるためのルールを考えました。言わば「女王蜂ルール」。第3ステージはこのルールでプレイ。見ていて、今度は頭脳戦の様相が強まったように感じます。あれはかなりアタマを使うね。その結果たぶん身体の使い方も変わっている。これはすでにスポーツの原型というか。練り込めばきっとチームごとの戦術やらスタイルやらが出てきそうです。もちろんこの段階でもまだまだ改良の余地はあります。特に「女王蜂を守りたくても守る方法がない」というのは大きい。これはどうしたらいいかなぁ。今日はここまででしたが、こうしてゲームを作り込んでいくのっておもしろいですね。とってもクリエイティブな作業だ。集団で作品を作り上げていく。今回作ったこのゲームは私たちの作品ですし、演劇を作る作業もこれと同じです。

写真  ご参加くださったみなさん、ありがとうございました。お疲れさまでした。次回は6月27日(土曜)の予定です。「俳優を目指さない演劇ワークショップ」です。よろしければまたご参加ください。アシスタントは川田未奈さんでした。朝の打ち合わせから夜の振り返りまで、長時間お付き合いくださってありがとうございました。ところで長崎と佐世保って、言葉は同じなのかしら。それともちょっとちがうのかしら。松井和子のセリフを、長崎の言葉でがっつり喋ってもらえばよかったなぁ。こんどぜひ!

写真  次回は通算で67回目のワークショップです。目標は100回到達ですから、ついに3分の2だ。自分で言うのもナンだけど、よく続いているなぁ。今回の『はさみ将棋鬼』のように、アイデアを出して試して振り返って、という作業を1回1回繰り返して66回まで来ました。このワークショップそのものが私にとって作品のようなものです。これからものんびりと楽しみつつ遊びつつ、小さな冒険と小さな失敗とを繰り返しつつ、永遠に完成しない作品を少しずつ前へ前へと進めていこうと思います。鬼ごっこと同じで、一緒に遊んでくれる人たちがいないとワークショップは始まりません。どなたでもどうぞよろしくお付き合いください。

 不等辺△劇団WS管理部 林成彦(はやしなるひこ)


写真  今回初めてアシスタントの大役を務めさせて頂きました川田です。
 学生時代以来久しぶりに、作る側の立場から、というチャンスに巡りあえたのですが、声がかかったときの、私でいいのかな?という不安は全く無くなり、充実した1日でした。

 村上龍の「69」の舞台は長崎は佐世保。私の出身も長崎なので嬉しかったです。まだ、小説/映画どちらも手にしていないので、早く作品に触れてみたいと思います!

 ウォーキングは、すれ違う方が満面の笑みを投げかけてくれたら、こちらもホッとします。ホッとしたら、じゃあこちらもそれ以上の笑顔を投げかけてやろう!て思っちゃってますます笑顔になれます。こういう大きい笑顔の投げかけあいって、会社の中だったり友達の中だったり、ましてや初対面の間柄で出来ている方は、一体どれくらいいるのでしょうか。私の場合、ほっと安心したいから、WSに参加しているんだなぁって感慨深くなりました。今日はアシスタントでしたが、誰よりも一緒に楽しんでしまいました〜。
 一日があっという間でした。参加者の皆さん、林さん、ありがとうございます。

 ここに参加して下さっている方々がどうしたら楽しく過ごせるのか、嫌な思いをせずに良い一日になるのか考え抜く体験は貴重でした!!誰よりも真剣に考えている林さんには、いつもの事ながら圧倒されます。
 受付、会場準備、写真撮影、WS参加、その他諸々、非常に面白かったです。^▼^ノまた何かしらの形で参加を続けたいです。よろしくお願いします♪

 川田未奈


★アンケートより

写真 ○熱中できてたくさん笑いました。
○普段接することが少ない世代の方との交流がよかったです。
○色々な年代、職業の方と遊ぶということは初めての体験だったので、最初は緊張しましたが、楽しかったです。
○今日初めてお会いした人たちばかりの状況でしたが、不思議と「仲間」という雰囲気があって、極度に緊張したりすることなくできました。
写真 ○特に誰かの目を2秒間見つめ合うというゲームは、日頃あまり人の目を見つめられない自分としてはハードル高かったです。でもやってみるとできるものだとわかりました。
○1、2、3でやるはさみ将棋はまだまだ発展しそうでおもしろかったです。
○(興味を感じたゲームは)組んでする鬼ごっこ。3人グループの。
○今日は初めてテキストを使ったゲーム(?)に参加しました。とてもおもしろかったです。青春という題材は世代をこえて共感・共有できるものでよかったです。
○最後の、本のなかの好きな3行を言うというのがおもしろかったです。相手の好きなフレーズがわかっていると互いに助け合える気もしますが、探りながらというところがミソでしょうか?
○高校を卒業してぐらいから、こういった他愛のないゲームをやる機会がほとんどなくなっていたので、全ての内容が新鮮でおもしろかったです。
○何か自分のテリトリーではない別のことをする時は勇気がいります。でも何かやってみると色々な発見があっていいですね。これからも参加していきたいと思いました。
○初顔合わせの老若男女を短時間にまとめあげた力量はご立派!

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