△ 不等辺ワークショップ第63回 (2009/01/11)


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写真  進行役を務めた林です。空気は冷たいながら、快晴の日曜日。いつものように私は自転車で八幡山へ向かいます。アシスタントの宇賀村さんと会場で落ち合って打ち合わせ。12時30分には一番乗りの参加者の方がいらっしゃいました。今回は「おもてなしゲーム」(待ち時間を楽しくすごせるような仕掛け)の予定は特になかったのですが、思いつきで早口ことばをやりました。「東京特許許可局」とかで遊ぶ。このワークショップでやるのは初めてのはず。振り返りの際に宇賀村さんとも話したのですが、『早口ことば』はおもてなしゲームには最適だったかも。後から来た方々もどのタイミングでも合流できるし、黒板に言葉が書いてあるからわかりやすい。声を出すのは素直に楽しい。あれ、思いつきでやったにしてはヒットでした。またやりましょう。

写真  午後1時にワークショップ開始です。いつものようにウォーキング。「ウチのじゃなくてもいいんですけど、演劇ワークショップに行ったことのある方いらっしゃいますか? ありがとうございます。会場をみんなで歩き回るっていうのをやりませんでした? そういうの、よくワークショップではやるんですけど、それをいまからやります」みたいな説明をして歩き始めました。我ながらぐだぐだな説明だなぁ。チェルフィッチュの芝居っぽくもあるね。じつはいつもは最初に会場の観察をするんですが、今回は考えがあってそれを割愛したのです。ま、たいした考えじゃないので、それの説明は割愛。ペアゲームでは「1・2・3」を「ト・マ・ト」でもやってみたり。「あっち向いてホイ」を身振り手振りなしでやってみたり。いろいろアレンジを加えています。

写真  「モテモテ」が楽しかったなぁ。いつも以上です。「1月12日(ワークショップの翌日)のデートの約束」を5件とりつける。アポ取りタイムは90秒。メモなし。で、翌日になって朝から5回デートをします。特におもしろかったのは、大忙しの「1月12日」の夜が更けた後です。全員に今日一日のデート内容を披露してもらいました。何時に誰とどこで待ち合わせて何をしたか。その都度、デート相手の隣まで行ってデート内容を紹介する。これ、すごく楽しい。秘密が明かされるみたいで刺激的ですね。自分ともどこかで接点があったりするし。「モテモテ」でこうやってデート内容を披露してもらうのは、じつは今回が初めてです。しかも全員にそれをお願いしたのは、その場の思いつきでした。あれ、ゼッタイ全員がやって正解でしたね。「参加者の方々にコメントをたくさん求める」というのが今回の私の目標でもありました。この『ウォーキング』では、特にいろいろとコメントを求めたように思います。

写真  ジャグリングではこの場でのニックネームを作りました。「つっぱり」「チャン」「ランチ」「ハミング」「キムタク」「湾岸」「アグネス」「イッポン」「桃井」「大地」「ハゲタカ」「時効」「ウォーター」です。覚えやすく呼びやすい、いい名前が並んだなぁ。これはまず「もう一度見たいテレビドラマ」を各自ひとつ選び、それについてのお勧めコメントを10秒程度で語ってもらい、そのコメント内容を素材にみんなで命名したものです。「湾岸」とか「大地」とか、どんなテレビドラマについて語ったか一目瞭然ですよね。一応ヒントを出すと、主演俳優はそれぞれ織田裕二と上川隆也。「時効」もわかりやすいね。オダギリジョー。その一方で「つっぱり」はわかりますまい。私なんだけど。NHKなんだけど。朝ドラなんだけど。ヒロインは石田ひかりなんだけど。以前は同じルールで「好きなテレビ番組」や「好きな映画」を素材にしました。ただそれだと範囲が広がりすぎて、お互いの趣味があまりピンと来ないという難点もあった。今回の「テレビドラマ」はナイスな素材だなぁ。宇賀村さんのアイデアです。ナイスアシスト!

写真  このニックネームを使っていろいろ遊びます。なにげに私は、あの「直線にしか走れない鬼ごっこ」がおもしろかったなぁ。みんな動き方も動線もユーモラス。鬼とすれちがったりだなんて普通はありえない動線ですよ。2チームに分かれてプレイしたネームバレー。0対3からの同点そして逆転劇は見事でした。3点差を逆転したチームは史上初です。(というのもいままでは「3点先取したら勝ち」というルールだったので…。今回は「5点先取」。写真 理由は私の思いつき)。勝ったチームは「強い生き物」を何かひとつ、負けたチームは「弱い生き物」を何かひとつ、メンバーで相談して全員で身体表現。見たところ、あれは蜘蛛とおたまじゃくしかしら。会場の両端からゆっくりと歩きはじめ、真ん中で遭遇して、そして強い「蜘蛛」が弱い「おたまじゃくし」を捕食する。わぁ、怖いなぁ。おたまじゃくしは屈辱だろうなぁ。おたまじゃくしは蜘蛛の血となり肉となってください。6人だったのが12人になる。蜘蛛パワーアップ。最後は観察者の私を捕食して、人間の世界は終わり。世界が終わる瞬間の写真が私のカメラに残っています。本気で怖かったです。

写真  今回のメインが人の話を聴くです。「聴く」という行為に注目して、いろいろなゲームで遊んでいます。例えば前回もやった「何かについて話す」。車座になって、輪の中心で交わされる会話の「話題が何であるか」を推察します。今回は「ブログ」「プライド」「節約」などを用意。プライドについての話し合いは、なんだか教育テレビの「ETV特集」を見ているようでした。写真 すごく見応えがあった。他にも、聴いている人たちが全員目を閉じているだとか、話の輪をふたつ作るだとか、いままでにはないやり方にもチャレンジ。やってみていかがでしたか。ひとつ大きなポイントとして、今回はイスを使っていないんですよね。いままではいつもイスをぐるっと丸く配置していました。それがないだけで、だいぶ風通しがよくなった気がする。同じ高さだと聞き耳を立てやすいという感想もありました。イスもう要らないな。最後は「話題を推察して話の輪に加わる」というこのルールと、いつもの『ペンキ屋』のルールを合体。出入り自由のペンキ部屋で交わされている話題を部屋の外から推察します。私の用意した話題は「家出」でした。途中から、家出をテーマにした架空のお話にスライドしていく。最後は、棟梁の息子が帰ってきて親父に頭を下げ、言葉少ななモノローグで幕が下りる。なんだかすごく感動的。いい終わり方だったなぁ。こう、みんなで物語を作ったという実感がありました。最高です。

写真  以上で、2009年の1回目のワークショップはおしまい。ご参加くださったみなさん、ありがとうございました。お疲れさまでした。アシスタントは宇賀村康子さんです。宇賀村さんもドラマエデュケーションの活動をなさっています。ご興味のある方はぜひ下記のブログをご参照ください。宇賀村さんとの打ち合わせや振り返りから、私は得るものが多かったです。ありがとうございました。今後もよろしくお願いします。次回のワークショップは2月22日(日曜)です。いつもの「俳優を目指さない演劇ワークショップ」です。ご参加お申し込みお待ちしています。この八幡山の会場でワークショップをおこなうのは次回が最後です。3月以降この会場は「演劇利用禁止」になってしまうためです。悲しいなぁ。ラスト八幡山です。楽しい1日になるといいなぁ。ぜひ賑やかに。多くの方のご参加を願っています。

写真  ワークショップ後、いつもの居酒屋で打ち上げ。飲みながら、今回も「山手線ゲーム」をやりました。自分が最近ぐっと来た「作品」について、時計回りに熱く語っていくというものです。作品のジャンルは問いません。挙がったものを今回はメモしておいた。井上雄彦「SLAM DUNK」(漫画)、青☆組「雨と猫といくつかの嘘」(演劇)、福岡伸一「できそこないの男たち」(光文社新書)、F’s company「ロン通り13番地」(演劇)、吉田秋生「蝉時雨のやむ頃」(漫画)、三浦しをん「風が強く吹いている」(新潮社)、松戸馬橋高校演劇部「赤鬼」(演劇)。みなさん、ぐっと来た作品のご紹介ありがとうございます。チェックできるものは必ずチェックしますね。

 ちなみに「赤鬼」について熱く語ったのはもちろん私@高校演劇LOVEです。野田秀樹の書いた「赤鬼」です。高校演劇の千葉県大会で観た「赤鬼」はすばらしかった。この打ち上げで熱く語った1週間後の1月18日。松戸馬橋高校演劇部の「赤鬼」は関東大会でも最優秀賞になりました。次は7月の全国大会@三重県です。関東大会の会場で、この日の参加者の方の姿をお見かけしました。私が熱く語った作品に興味をもって高校演劇の会場に足を運んでくださったのなら、こんなにうれしいことはないです。高校演劇おもしろいですよ。よければ今後もぜひ! このレポートをお読みのみなさんもぜひ!

 不等辺△劇団WS管理部 林成彦(はやしなるひこ)


写真 アシスタントを務めさせていただきました宇賀村康子です。
林さんの進行と参加者の皆さんの楽しそうな雰囲気に、
アシスタントというより
一参加者になって遊んでしまいました。
すみません…。
体を動かすゲームでスタートして、
ドラマの話とエア・バレーボールからより知り合い、
最後は共同で一つのものを作り上げていく
その過程が、とても心地よいものでした。
参加者の皆さんで築いたものです。
ありがとうございました。
機会がありましたら、ぜひ、次回のWSでも一緒に遊びたいと思います。
また、私も演劇の手法を教育に生かせないかと
IDEというグループで試行錯誤を行っています。
2ヶ月に1回、活動をしていますので、興味のある方はご連絡ください。
年度で活動していますので、2009の具体的な活動は5月以降です。


★アンケートより

写真 ○とても雰囲気がよくて初対面の人たちとも全くうちとけて楽しめるムードでした。
○初めて会う人もたくさんいましたが、あたたかい雰囲気で楽しかったです。
○年齢、男女比などバランスがとれていたと思います。
○舞台で演じられている人のパワーを肌で感じることができました。
○最初はどんな内容なのかもわからないところで、思い切ってとびこんでとても緊張していたのですが、ひとつのゲーム(早口言葉)をしただけですぐに笑い声が聞こえる空間になるということに感動しました。少しのリラックスで人の心をやわらかくできるのだなぁと。
写真 ○自分の名前を一文字ずつ言ったり、グループやペアで文章を作ったりするのは日本語(あ・い・う・え・お)だからできるゲームだと思いました。
○ニックネームをおすすめのドラマからつけるというアイデアがよいと思います。
○ただ単に名前を言って自己紹介、でなく「好きなドラマ」というインパクトをつければ顔と呼び方を記憶しやすいんだなと実感です。
○バレーボールは新鮮でした。
○ニックネームのバレーはやっててとても楽しかった。
○バレーボールがチームの勝敗になるから少しテンパったけど特に面白かったです。
○バレーボールはすごく楽しめました。相手を向いて名前を呼んで自分から他人に動きをつなげるってことが本当に面白く味わえました。
○エアーバレーのゲームの話は前から聞いていたので、あまり難しそうに感じていなかったのですが、実際にやってみるとなかなか上手くできませんでした。人の名前を覚えるのにとっても楽しめながらできるゲームだと思いました!
○バレーボールや強い(弱い)生き物など印象深かったです。
○エアーバレーボールとか、いつもとちがう「ぺんきぬり」がおもしろかったです。
○リーダーが今なにに興味があってこのようなゲームをしたいのか話してくださるのは今までなかったように思います。話してもらえるのは「やらされている感」がなくなる良い方法だと私は思いました。
○アシスタントの方も一緒に楽しんでいる感じが、逆にこちらもリラックスできてよかったです。
○宇賀村サンのナイスアシストぶりもステキでした。
○ぜひまた参加させてください。演劇を使って体を動かすのってすごく楽しいです。
○演劇ワークショップ、正直行く前までは多少の不安もあったんですが、リラックスしてできました。リーダーの力量次第でどうにでもなってしまうものだと思うので、林さんがリーダーでよかったです。

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