△ 不等辺ワークショップ第59回 (2008/07/06)


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写真  進行役を務めた林です。アシスタントは野村優美さん。こまばアゴラ劇場ワークショップ研究会の仲間です。優美さんは劇団の旅公演で岩手県を巡り、帰ってきたばかり。お忙しいところ、一日お付き合いくださいました。念のため、私が進行役なのですが、私が偉いわけではないです。打ち上げ後にファミレスでワークショップの振り返りをします。その際、進行役の私に対してアドバイスをするのがアシスタントのいちばん重要な役目。アシスタントのほうが偉いのだ。これは2001年2月の第1回ワークショップからずっと変わらないスタンスです。そしてこの振り返りこそが私のいちばんの楽しみだったりもします。優美さん、ありがとうございました!

写真  今回も銀一でスタートします。自分にしか思いつけなくて、誰もが納得する回答を求めるゲーム。これを12時45分ぐらいには始めてしまう。まだ全員は揃っていません。でもやる。ワークショップが始まるまでの時間って、緊張するし、居心地が悪いものですよ。それが嫌だから、私が参加者だったら始まるぎりぎりの時間に行く。ただ主催する側は、全員がぎりぎりに来たら困るわけです。バタバタしちゃうから。できれば早めに来てほしい。早めに来た参加者が得をするような仕掛けを作りたい。そんなねらいで、午後1時になるのを待たずに始めちゃいました。まぁ余興です。来た人から随時『銀一』の輪に加わって、どんどん人数が増える。これって「放課後のグラウンドで学年もクラスもちがう子供たちが一緒になって遊んでいる」という、このワークショップの理想イメージにどこか通じている。小学校のころ、私は軟式テニスボールの手打ちをよくやったものですわ。子供たちは全員が揃うまで待ったりしないものね。

写真  もちろんその一方で、午後1時には間に合うように来たのに、遅刻したみたいな気にさせられた方もいたはずです。来たら、すでに遊びの輪ができていてね。余興とはいえ、本気でやってる感がありましたしね。申し訳ないと思います。どうぞご理解ください。来るのが早ければ早いほど得するワークショップにしたいものです。『銀一』以外にもアイデアを考えます。

写真  ウォーキングには今回もいろいろなゲームを詰め込む。「あっち向いてホイ!」をやって、負けたらスクワット2回。これ、やる予定はなかったのに勢いで言っちゃいました。高校の授業でやってるルールです。ペナルティのゆるさ加減が気に入っています。でもわずか2回とはいえ、ワークショップでスクワットなんてやらされたくないですよね…。オリジナルルールのウィンクキラー。次々とキラーが変わり、正体を明かさないままスルー。誰がキラーだったのか気になるなぁ。殺された人だけがキラーを知っている。誰が「西日本出身の人」なのか。誰が「ゆうべ呑んだ人」なのか。等々。全員ではシェアしないけど、部分的には情報が明かされています。このワークショップでは自己紹介の時間を特に設けません。その分こういうところで人となりに踏み込めたらいいですね。軽くね。

写真  そして「モテモテ」。1日に5人の相手とデートしちゃおうという大人のゲーム(?)です。まぁ7月7日は七夕ですからね。織姫と彦星の気分(?)で。朝の9時、お昼の12時、午後3時、夕方の6時、夜の9時。どこで待ち合わせて何をするのかを決めてください。約束よ。もちろん同じ相手と1日に2回デートするのは野暮。ヨーイドンで、ものすごいアポとり合戦が始まりました。押しの一手というか、積極策あるのみ。メモもなし。明けて当日。モテモテのみなさんに充実した1日を過ごしてもらった後。これはねー。振り返りをちゃんとやったほうがよかったですね。聞けば、渋谷と大宮を往復した方もいたとか。そういう、1日の流れを明かしてもらうべきでした。どなたかひとりかふたりでいいから。聞きたいですよね。次はそうしよう。優美さん、ありがとう。

写真  最後のグループワーク。初めにセリフが1行あり、これにツッコミを入れていきます。なので、これをツッコミと呼んでいます。以前は私が最初のセリフを用意していました。今回は最初のセリフを作ることから始めます。写真を3枚用意。これをじっくりご覧いただき、イメージを膨らませ、ここにキャッチコピーを付ける。あたかもその写真が映画の宣伝ポスターであるかのような、そんなコピーを考えます。ファンタジックだったりユーモラスだったりノスタルジックだったり。どのコピーも捨てがたい。言葉の奥に素敵な物語が広がっています。でもごめんなさい。ベスト回答以外は容赦なく敗退する。この辺りの厳しさは、初っ端の『銀一』と同じですね。選ばれたコピーにツッコミを入れて、2行の会話にする。これもベスト回答以外は容赦なく敗退し、次はその会話を含む4行の会話を考えます。

 A:食べてる場合じゃないわ。宇宙人が私を呼んでる。
 B:食い逃げかよ。
 A:とにかく呼んでるの。I’m coming! I’m coming!
 B:英語かよ。

写真  最初の1行がベストコピー。2行目がベストツッコミです。そしてこの4行の会話が生まれました。ベスト4行。多くの力作の屍を越えて、ゆらゆらと立ち上がる熱気のなかに、この4行は屹立しているのですよ。私たち全員による知恵の結晶です。もちろん選ぶに当たっては、文字による発表だけじゃなく、言い方や演じ方も加味されています。ちなみに用意した写真は梅佳代さんの作品。写真集「うめめ」に収録されているものです。図書館で見つけ、私は梅佳代さんの作品に一目ぼれ。ぜひワークショップに絡めたいと思ったんですよ。

写真  そしてようやくグループワーク。「みかんキリン」グループ。「パイナップル象」グループ。「スイカうさぎ」グループ。3グループに分かれ、上記の4行のセリフを含む短いシーンを創作します。グループ名は、フルーツとアニマルが分子レベルで合体した架空の動物。この動物が舞台に板付きの状態で開演します。『ウォーキング』の最後にやった「シェイプアップ」の要領で身体表現。この始まり方、予想していた以上にかっこいい! サイモン・マクバーニーの作品を連想しました。「象の消滅」ならぬ、パイナップル象の消滅(?)。吉野家とはいいところに目を付けましたねー。立ち位置とセリフだけで、そこが吉野家だとわかる。そういや「食い逃げされてもバイトは雇うな」って本がありましたね。店員がゼンゼン動じていなかったのは会計的にも正しい態度なんだなー。

写真  ご参加くださった16名のみなさん。お疲れさまでした。ありがとうございました。人数が多いと、場にパワーが生まれますね。私は張り切りすぎて、ねぇねぇで咽喉を潰してしまいました。あんなのは初めてで、内心かなり狼狽しました。せっかく人数が多いので、今回はバラエティに富んだコミュニケーション機会を設けました。課題に対して個人で向き合う時間。ペアで向き合う時間。グループで向き合う時間。全員で取り組む時間。これらが網羅されているようにと。いつもはもうちょっと適当です。個人的には、相変わらず私はグループワークが苦手ですけどねー。そして関係ないけど、この「個人的には」という発言が私は多いです。言われてみれば、たしかによく言う。「個人的には《おニャン子クラブ》にぐっと来ます」とかそういう発言。これが、私の思っている以上に場全体に影響を与えてしまうのですね。迂闊だったな。いやぁ、勉強になったわー。優美さん、改めてありがとう。ぜひまた力を貸してくださいね!

写真  次回は8月17日(日曜)を予定しています。「俳優を目指さない演劇ワークショップ」です。ついに通算で60回目です。だからって、特別なことはなにもないです。そのとき私が興味を持っていることを内容に反映させて、いつものように明るく楽しくのんびりとやります。ぜひまた多くの方とお会いしたいです。お申し込みをお待ちしています。

写真  ところで。ワークショップ後の打ち上げで今回は「山手線ゲーム」をやっています。自分が最近ぐっと来た作品について、山手線ゲーム方式で順に語っていく。映画でも演劇でもテレビ番組でも本でも、ぐっと来たものならなんでもOKです。これが私、個人的に(← あ!)すごく楽しみ。挙がったものを今回は覚えておいた。「ザ・マジックアワー(映画)」「篤姫(TVドラマ)」「セリーヌ・ディオンのコンサート」「監査法人(TVドラマ)」「地域の物語ワークショップ発表会(演劇)」「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス(ブログ)」「TheM(TV番組)」「劇団やったるDAY!(演劇)」「RAINBOW 二舎六房の七人(漫画)」「ROOKIES(TVドラマ)」「あゆみ(演劇)」「ぼくの大切なともだち(映画)」「夏祭り(演劇)」です。おー。いろいろだなぁ! 思い入れを語っているときのみなさんの顔がいいんだなぁ。実は飲み会があまり得意ではない私にとって、こういう時間はとっても居心地がいいです。いろいろ教えていただいてありがとうございます。可能なかぎりチェックします。楽しみ楽しみ!

 不等辺△劇団WS管理部 林成彦(はやしなるひこ)


写真  今回初めてアシスタントとして参加させていただきました。アシスタントとして役に立てていたかは??ですが、個人的にはとってもとっても楽しかったです。
 普段私は俳優を目指している高校生なんかを指導しているのですが、俳優を目指さない演劇ワークショップっていうのはいったいどんなものなんだろう?と興味津々で臨んだワークショップでしたが、俳優であるとかそうでないとか、もう関係なくみんなが楽しめて、そしてみんなが日々の生活のどこかでほんの少しでも役に立てるなにかを受け取ったり、時には日頃のうっぷんを晴らしたり、普段使ってない脳細胞を呼び覚ましたり、そこにいる時間は現実のことを忘れていられたり……ほんとに素敵な遊び場でした。大の大人がみんなで花いちもんめを真剣に遊んでいる姿を見たときは「ここは魔法の国だ!」とさえ思いました。あらためて演劇ワークショップの意味みたいなものを考えさせられました。
 そしてこの会を59回も続けてこられた林ガキ大将にタダタダ脱帽です。すごい人だとは思ってたけどホントにすごい人だったんですね!
 梅佳代に触発されて写真撮りに夢中になりすぎてゲームにあまり参加できなかったのが心残りです(その割にいい写真が無かったらゴメンナサイ)。今度は参加者として思う存分遊ばせていただきますのでよろしくお願いします! そして機会がありましたらまたアシスタントをやらせてください。今度は梅佳代を越える写真を撮りますぞ!!(野村優美)


★アンケートより

写真 ○アットホームな感じで居心地がよかったです。
○久しぶりに参加しましたが、以前と変わらないで楽しい雰囲気でした。
○とってもあったかい雰囲気で楽しく過ごさせていただきました。
○生まれて初めてのワークショップでしたが、ほんとに楽しかったです。ありがとうございました。
○演劇を食わず嫌いしていたのですが、難しく考えず入れたのがうれしかった。
○すっごい楽しかった。チラシで興味を持って、ホームページできっと面白いと確信して来て、その通りだった。
○知らない方たちと一緒に遊べるのが非常に楽しいです。
○「銀一」、考える時間がみな同じなのに、書き始める早さも案も全員違う。発想力の銀河を知りました。
○「ウィンクキラー」「銀一」おもしろかったです。またそれぞれのゲームの狙いがよくわかるのでよかったです。
○「ウィンクキラー」おもしろかったです。今日の方が中学生とかでもやりやすいかも…。
○デートの約束とか「ねぇねぇ」は初めてやったのですが面白かったです!
写真 ○「モテモテ」、約束しすぎて相手を忘れたり…。自分はモテモテにはなれないなぁ…と感じました。
○「ねぇねぇ」、久々に走り回りました。気持ちよかったー♪
○「ねぇねぇ」は大好きなので、今日も皆さんと一緒にできてうれしかったです。
○「ねぇねぇ」おもしろかったです。ホームページで振り返ってもらえると私自身もあとで整理できてうれしいです。いろんな体験をさせていただきました。
○「フルーツバスケット」をやりながらストーリーを考えるゲームがおもしろかった。
○「フルーツバスケット」がとても難しかったです。話を作っている本人がキーワードを忘れていたり気付けなかったり…。個人的にとても難しい苦手なゲームだと思います。
○「フルーツバスケット」普通のやつやりたかった。「今日メガネの人!」とか言って立つあれ、しゃべりやすくて楽しいんです。
○キャッチコピーを作る際に挙げていただいた参考がジブリだったので、どうしてもそちらの方向に行ってしまったのですが、ねらいは会話だったのですね。
○自分のキャッチコピーをいいと言ってくれた人が何人もいたのはうれしかった。
写真 ○「銀一」から始まるテーマ(?)が今日のワークショップの時間中いたるところに感じられてよかったです。
○人見知りをする方なので、私もグループワークは苦手なのですが、林さんも苦手だと聞き、安心しました。ただグループワークは他人の柔軟な発想に触れられるので大切だとは思っています。
○私もグループワークとか苦手です。
○自分も二人ペア苦手です。できれば一度なしでやってほしい。割とグループワークはOKです。
○大学でお芝居をやっていて今秋からは後輩を指導する立場になるのですが、今日初めてやったゲームなど稽古に取り入れていけたらと思います。
○45になっていろんな人と年齢を気にせずいろんなこと同じことをさせていただき、ありがとうございました。
○自己紹介で年齢を言わされないのがよかった。全員が「君づけ」というのも同じ意味でよかった。
○なかなか人によってはワークショップに参加したはいいけれど、恥ずかしい…とか、そんな感情を持っている人もいて大変ではないですか。林先生の導入などがとてもよいので、みんなその気になってしまうのでしょうね。
○やっぱり参加者としているのと進行としているのとでは林さんの雰囲気が違いますね。
○うちのグループ(市民演劇の)でもこういうことやりたい、講師に来てほしいな〜と思いました。

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