△ 不等辺ワークショップ第57回 (2008/03/23)


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写真  進行役を務めた林です。今回は私にとってささやかな冒険。これまで毎月やってきて、ワークショップの道順みたいなものが決まってきていました。4時間の使い方というかな。メニュー内容は毎回ちがうけど、全体の流れは毎回共通している。それはこのワークショップの無形財産です。それがあるから私はメニューを考えやすいし、参加者の方々も安心できるんだろうと思います。でもそれをあえて変えてみるというか、ちょっと自由にもなってみたいと思ったのでした。殻を破る。たまたま今回の参加者は、すでに一度はご参加くださったことのある方ばかりでした。人数もそれほど多くない。冒険する絶好のチャンスです。今回は流れが悪いかもしれないけどごめんなさい。試し試しおそるおそる進める旨をみなさんに最初に断って、午後1時にスタートです。よろしくお願いします。

写真  最初は『世界のナベアツ』。輪になって時計回りに40までカウントします。3と3の倍数と3の付く数字のときは○○○○になる、というアレ。前回はクラップを打ちましたが、今回は自分の苗字を言いました。「1!」「2!」「ハヤシです!」「4!」「5!」「アベです!」「7!」…という具合。のっけからゲーム性と自己紹介の一石二鳥をねらった。30から39まで10人連続で名乗るのは、すごい壮観。そして「40!」まで行った達成感。すばらしいですね。ただ単に「輪になって苗字を言いましょう」というのじゃ、こんなに楽しい思いはできないものね。ナベアツルールは偉大だ。

写真  『ウォーキング』は中身を全とっかえ。主にオノマトペ(擬態語や擬音語)を使った遊びの3本立て。会場内を隈なく観察し、ゴワゴワしたものや、フワフワしたものを探した「オノマトペ探し」。誰かが見つけたら、全員でそれを鑑賞(?)します。この、全員で観に行ったり触りに行ったりするっていうのは、実はその場の思いつき。つい最近、上野の美術館にヴィーナスを観に行ったんです。だからか一瞬、この会場が美術館の一室のように感じられました。のっしのっしと歩いたり、セカセカ歩いたりした「オノマトペ歩き」。会場に大きな鏡がありますからね。自分たちの歩き方が見えるのはいいねー。恥ずかしいけどね。プリンプリン歩いている人たちとグツグツ歩いている人たちが混ざり合って挨拶しているのは強烈でした。ものすごい異文化交流だ。プリンプリン星人とグツグツ星人の接近遭遇を目撃してしまったみたいな気分。最後は「オノマトペ山手線ゲーム」。動物や食べ物をお題に、なぞなぞみたいにオノマトペを答えていきます。なぞなぞとちがって正解はないけどね。はっきり言ってこのゲームは難しい。サラダと言われ、瞬時に「サラサラ」と答えてしまった私だ。サラサラはないよなぁ。打ち上げのとき、居酒屋のメニューに「パリパリサラダ」というのを見つけて、おおおお!と叫びました。

写真  様々な国の国旗を床に12枚並べて『国のゲーム』を始めます。架空の国とそこに暮らす人を想像するゲーム。実際はレバノンの国旗だったりウガンダの国旗だったりします。しかしこれも正解を言い当てることが目的ではありません。国旗を1枚選び、そのデザインから自分なりに自由に架空の国を想像します。国名も架空。人名も架空。お互いのインタビューを経て、架空の人物ひとりひとりが豊かな物語を持ちます。生活感に満ちたエピソードが続出。ちなみに私はキリリンガ共和国から来たキーリッヒ1世です。キーリと呼んでください。今回は8ヵ国(国名をメモしなかった。キーリのばか)から、ハディ、モラージ、ウホ、リー、シャル、アジャ、カッチャン、キーリの8人がこの場に集いました。この呼び名で「名前オニ」を試した後、その設定を抱えたままで、いつもの『ねぇねぇ』に突入です。これ、おもしろかったなぁ! ウホとアジャの下宿(?)にぞろぞろとお邪魔することになり、エスニック感あふれるご馳走に舌鼓を打ったのでした。箪笥と同じ匂いのする「桐焼酎」をぐびりと飲み干したり。

写真  下宿探訪ツアーを経て私たち留学生に一体感が芽生えたころです。実はこのなかに一人、宇宙人が紛れ込んでいることが発覚するのです。侵略者です。宇宙人の名前はウハウハ。ウハウハは地球人になりすまし、虎視眈々と「その時」を伺っていたのだ。この宇宙人ウハウハによる殺人事件をめぐり、私たちのなかの誰が宇宙人ウハウハなのか、そして宇宙人ウハウハによって殺され、新たに宇宙人となって再生したのは誰なのか、『宇宙人』はそれを探り当てる推理ドラマです。「このなかの誰が一体…?」と疑いの目で見つつ見られつつ、車座でディスカッションした5分間は圧巻のドラマ。ちなみに宇宙人によって殺された方は、誰が自分を殺したのかを知りません。自分が新たに宇宙人となってしまったことをひた隠しつつ、同時に誰が宇宙人ウハウハなのかを推理するのだ。なんと得がたい経験でしょうか。さて。ディスカッションを経て、この人が宇宙人だと目星を付けた人物をいっせのせ!で指さします。そして衝撃の展開。ここでいったん別のゲームをはさむのだ! 真相は『オノマトペ会話』の後! なんと宙ぶらりんなことよ!

写真  『オノマトペ会話』は、オノマトペ遊びの第4弾です。「ぼそぼそ」「はきはき」など、話し方の様子が書かれたカードを引いて、その通りの話し方でまずは1対1の会話練習。さらに2チームに分かれてのシーン作りにも挑みます。シーンのテーマも「どきどき」「じわじわ」などのオノマトペです。登場人物ひとりひとりの話し方と、シーンのテーマと、ダブルでオノマトペを表現します。さらにみなさんはきっと「もやもや」した思いもどっかであったでしょうねー。まだ宇宙人が誰なのか明かされていないからね。10分の創作タイム後、チームの発表を見合います。お互いの感想も「ぼそぼそ」だったり「はきはき」だったりの口調で述べました。これはこれでなかなか愉快。そして『宇宙人』の真相がいま明らかになるのだ。あの再現シーン、なかなかスリリングでしたねー。宇宙人ウハウハの犯行が大胆だったし。ちなみに私は神の立場で全てを見ていました。事情聴取の際に、私は中立さを保とうとする余り、却って不自然な進行をしたんでした。私のあの不自然さにもし気付けば、それも手掛かりになったはず。おもしろいね。

写真  以上。ご参加くださったみなさん、お疲れさまでした。書くのを端折ったんですが、途中にまったりと『体ほぐし』の時間があったり、「幸せなら手を叩こう」で走り回ったりもしています。休憩が短かったし、休憩を入れるタイミングもよくなかったな。参加者表のコピーをとりに行くのもすっかり忘れていました。いろいろばたばたしまして恐縮です。ただいつもとちがった組み立てで4時間を構成できて、私はうれしかったです。ありがとうございました。

写真  こまばアゴラ劇場の主催する「ワークショップ研究会」に私は参加しています。今回試したゲームは、そのWS研で作っているプログラムから拝借してきたものです。オノマトペに関するゲームは「言葉チーム」の倉迫康史さんのプログラムから、『国のゲーム』は「プロセスチーム」の大倉マヤさんのプログラムから、それぞれ拝借しました。ありがとうございました。WS研のプログラムは、まず達成したい目標が先にあり、それに向かう最適のルートを模索して、ゲームやエクササイズを配列しています。ひとつひとつのゲーム内容はもちろん、その繋がりにも意味があります。そこから断片として、私はゲームをいくつか持ってきました。なので、それぞれのゲームの本当の意味合い(あるいは役割り)はお伝えできていないと思います。それが残念。いずれや「言葉チーム」のものも「プロセスチーム」のものも、どうぞ完成品のプログラムをご体験くださいませ。

写真  アシスタントは阿部直樹くんです。阿部くんは俳優として、すでに数々のテレビ番組で活躍しています。俳優なのに、この「俳優を目指さない演劇ワークショップ」に興味を持ってくれて、しかも周囲のお知り合いの方々にお誘いまでかけてくれています。今回はなんとセルフ編集で、BGM用のCDまで焼いて持って来てくれました。BGMは前回、私が失敗しちゃったからねー(不用意に使ったジョン・レノンのCDが、参加者をドン引きさせてしまった。ジョンのばか)。本当にありがとう。参加者としてもアシスタントとしても、今後もぜひ! 次回のワークショップは4月26日(土曜)です。多くの方からのお申し込みをお待ちしています。初めての方も、何度も来てくださっている方も、どうぞ遠慮なさらず。土曜の午後を楽しく演劇で遊びましょう。

 不等辺△劇団WS管理部 林成彦(はやしなるひこ)


 はじめまして!!
写真  ワークショップのアシスタントの阿部直樹です。
 自分は前回と前々回は一参加者だったのですが、リーダー林さんの進行や雰囲気作りに感動して、今回はその極意を学ぶ(盗む?!)ために今回はアシスタントに立候補しました。ちなみに聞くところによるとアシスタントを自分から名乗り出たのは長いワークショップの歴史の中で初めての出来事だったみたいです。

 今回は参加人数が6人!! しかも初参加0人?! リーダーとアシスタントを入れても8人という少人数でのワークショップでした。実際自分もアシスタントと名乗りながら人数の関係もあり大半のゲームには一参加者として加わっていました。

 まぁ今回の参加者は演劇経験者もしくはワークショップ経験者なので、「濃い内容のワークショップになるだろうな」と予想してました。が、予想を遥かに超える濃〜〜〜い内容のワークショップでした(^-^;

写真  初めてやるゲームが大半でしたが、皆さん経験者ということもあり瞬時に理解して楽しんでくれたみたいで良かったです。特にオノマトペ歩きにて「キラキラ歩く」「グツグツ歩く」は経験者ならではの濃さを発揮してくれて面白かったです。いやぁ〜キラキラ歩いてましたね〜(笑) 自分も「やわやわ歩く」ではカメラを片手に負けじとやわやわ歩きましたよ(笑) 課題としては次回以降は初参加の人もいるのでこの雰囲気にいかに馴染めるか?といったところでしょうか?

写真  『国のゲーム』も濃かったですね〜(笑) ルールは紙に書かれた国の人になりきるゲームでいわゆる「むちゃ振り」だったのですが、そのむちゃ振りを楽しめるか?という課題も皆さん見事にクリアしてました。そしてその流れで『ねぇねぇ』のゲームへ…。『ねぇねぇ』とは誰が「ねぇねぇ」と言うと周りが「なぁに?」と聞いて「○×しようよ」と言い、周りが「いいねぇ」と言ってその行動を実行するゲームです。超わかりやすく説明すると「誰もみんな王様ゲーム」かな? いつもはテンポ良く小刻みにお題が出てそれを実行するのですが、今回は『国のゲーム』を踏まえての『ねぇねぇ』だったので、なぜかそのむちゃ振りでの国の文化に触れ合う小芝居に発展したのです。前回と前々回にはない摩訶不思議な『ねぇねぇ』でした。バナナが名産の国では「ありがとう」の挨拶も「バナナ」という設定は個人的にツボにハマりました。

写真  そして『宇宙人』。これはいろんな意味で衝撃的でした!! このゲームは一人宇宙人を決めて、その宇宙人に決まった人は一人倒す相手を決めてその相手は宇宙人に肩を叩かれたら倒れる。倒れた人はその後は動いてもよい。それを全員目をつぶり動きまわる(宇宙人のみ目を開けて動いてよい)。その後一人ずつ証言していき誰が宇宙人で誰が宇宙人に倒されたかを当てるゲームです。もちろん宇宙人と宇宙人に倒された人は嘘の証言をしなくてはいけません。

 結果から言うと宇宙人役になった方は嘘が全くつけない方だったため一発でバレてしまいました(笑) 問題は宇宙人に倒された人役でした。一人あやふやな証言をしてる怪しい人が…が、実はただそーいう素振りをしてるだけの人で正解は自分が最初に怪しいと目をつけてた人でした。全く紛らわしいぞ!!

写真  あっという間の四時間でした。人数が少ない分どうなることかと思いましたが、皆さんが協力的で何よりワークショップを楽しんでくれたことが今回の成功の鍵だったと思います。また何らかの形でワークショップに参加したいと思いました。参加者の皆さんそしてアシスタントに採用してくれた林さんありがとうございました。

 追伸
 今回のワークショップBGMは私阿部セレクトによるギターとピアノによるインストナンバーでした(一部歌あり) そして全曲ヴィジュアル系(笑) 林さん勝手にBGM持ってきてしまい、すみませんでした。いつもとはちょっと違う雰囲気だったかな?


★アンケートより

○マッサージいい!
○国旗・ナントカ人ごっこ。言ってるうちにだんだんそのウソがホントに思えてくる。またやりたい!
○宇宙人を当てるやつ、「神様」とはまた違った趣がありました。
○宇宙人! 証言をつなぎあわせていく作業がおもしろかったし、犯人を当てられてうれしかった!
○オノマトペで演じるゲームがおもしろかった。
○アシスタントのアジャさんのナイスアシストがたくさんあってヨカッタです。

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