△ 不等辺ワークショップ第56回 (2008/02/09)


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写真  進行役を務めた林です。2008年の1回目。前回から1ヶ月半ほど間隔が空きました。ひさしぶりに会場に来ましたら、なんとまぁ。壁に大きな鏡が設置されているじゃないの! びっくりです。せっかくだからうまく使いたいなぁ。全身鏡ってなかなか照れるよねぇ。『ねぇねぇ』のなかで「鏡に向かってボックスステップを踏もうよ!」という提案があって、みんなでステップを踏んだんでした。あれは本気で恥ずかしかったですよ。楽しかったけど。今日はほとんどカーテンを閉めたままでした。次回からはゲームのなかでうまく鏡が活きるようなアイデアを考えますね。

写真  今回のハイライトは『KY』です。「空気読めない」。これを題材にして短いシーンを作りました。卒業式とファミレスと病院の3つの場面でケーススタディ。まずは「KY」だと思われる行動やセリフをグループでたくさん出してみます。登場人物のうち、ひとりを「KYキャラ」にして、シーンのなかにKY的なふるまいを4つ入れる。観客は彼らの人間関係(?)を観察するというもの。誰がKYキャラかというのは、観ていればわかる。と思うでしょ? 必ずしもそうじゃない。たぶんシーンをリアルに作るほど、KYキャラは見えにくくなると思うのです。なぜなら作り手の意図せぬKYというか、KYキャラ以外の人のふるまいにもKY的なものが見つかると思うから。そこがこの『KY』の醍醐味です。

写真  シーンを作る際にしっかりと「K」を意識することが大事。「K(空気)」があってこその「Y(読めない)」ですものね。今回の3つのケースのうち、卒業式と病院の2つはその場で求められる「K」が比較的わかりやすそう。人間関係というよりは環境的な要因が強く作用しそうです。ということはファミレスが、課題としては最もやりがいのあるケースだったのかなぁ。人間関係によるデリケートな空気作り。というかな。写真 私が思うに「常識はずれ」と「KY」は違いますよね。「常識」は数え切れないくらい多くの人々によって共有されるもの。それに対して「KY」というとき、そのKを共有しているのは、もっともっと人数が少ない気がします。数えられる程度。その場にいる人。単にそのグループのなかで共有されているにすぎないものだと思うんです。なのでそのグループ内のKが、むしろ一般的に見れば「常識はずれ」だったりすることもありうる。そのKを読めない人のほうがむしろ傍からは好もしく見えることもありうる。ありえますよね。そういうグロテスクさや皮肉な感じみたいなものも、シーンから感じ取れたらおもしろいですね。極端なものじゃなくね。

写真  私はこまばアゴラ劇場の主催する「ワークショップ研究会」に参加していまして、この『KY』は研究会メンバーの野村優美さんのアイデアです。着眼点がひじょうにおもしろかったので、私も野村さんのアイデアに相乗りすることにしました。「KY」はもっと詰めてみたい。この言葉が流行遅れになってもね。ワークショップでもたぶんまたやると思います。おもしろいから。

写真  2月9日は大雪の予報が出ていて、お天気が心配でした。朝からすごく寒かったですし。キャンセルが出るかなー。遅刻があるかなー。などと懸念していましたが、それは私の取り越し苦労。お足元の悪いなか、お集まりくださってありがとうございます。予定通り午後1時ちょうどにスタート。最初は『世界のナベアツ』です。1から40まで数えるゲーム。3の倍数と3の付く数字のときだけ○○○○になります。お笑い芸人の「世界のナベアツ」はアホになりますよね。あれはすごい芸だなぁ。写真 全く同じことはここではやりません(やればできそうな気もしてきたけど)。今回はオーソドックスに手を叩きました。ハンドクラップ。今後は他にもアイデアがほしいところ。なにがいいだろうね。猫語でカウントするとか。「1」「2」「にゃん」「4」「5」「にゃん」みたいな。「29」のあと「にゃん」が10回続くのがかわいいにゃん。

写真  次の『ウォーキング』にはいつもより時間をかけています。いつになく人数が多かったですし、寒かったですし、序盤にケッコウ動き回りたい。色々なゲームをやっています。なにやりましたっけ? じつは思い出せない。というのも、流れを見ながら小まめにゲームを提案していったところ、当初の予定とはゼンゼン違う内容になってしまったからです。いつも進行計画はルーズなんです。でもこれほど予定と違ったのは初めて。そんなじゃ打ち合わせの意味があまりないね。アシスタントの古木さん、ごめんなさい。

写真  『紙の塔』は初めてのゲーム。バベルの塔ならぬ「パペルの塔」ですな(「paper」をローマ字読みしてみた)。各チームにA4サイズの紙を5枚ずつ配布。ハサミや糊など、道具は一切使いません。いちばん高い塔を作ったチームの勝ち。高さを競う。作戦(設計?)タイム5分。実行(建設?)タイム5分。バベルの塔には、辞書によると「実現の可能性のない架空的な計画」という意味もあるそうです。でもバベルじゃなくて、これはパペルだからね。実現しましょう。力を合わせて。知恵を絞って。で。結果です。4チームのうち自立した塔を建てたのは1チームのみでした。文句なしの優勝です。他の3チームの塔はあえなく崩れ落ちる。なかには初めから天井にまで届く塔を目指したチームもありました。志が高い! ドラマの主人公のようだなー。天井しか見ていなかったのねー。

写真  演劇とは直接の関係はないですが、『紙の塔』はこれだけでもおもしろいゲームですね。これをシーン作りに発展させたりというような工夫を、今後はするかもしれないししないかもしれない。どうしようかな。今回は最後に『KY』をやりたかったので、グループでひとつの目的に向かう経験をさらっと事前に入れてはおきたかったんですね。『いい話』でも、今回はふたりで空気を共有する点に重きを置きました。進行計画はルーズながら、まぁ一応「空気」をテーマにワークショップの方向付けはできていたと言えるのかな。一応ね。

写真  アシスタントは古木友香理さんです。最近の常連さん。今回も本当は参加をご希望だったところ、無理にお願いしてアシスタントをやっていただきました。ありがとうございました。またぜひ参加者としても、よければアシスタントとしても、おいでくださいね。今後もよろしくお願いします。ご参加くださったみなさん、お疲れさまでした。ありがとうございました。ぜひまた遊びにいらしてください。次回のワークショップは3月23日(日曜)を予定しています。「俳優を目指さない演劇ワークショップ」です。2001年2月のスタート以来、8年目に突入しています。次回で通算57回目です。ますます精進します。ますますパワーアップします。どうぞお楽しみに!

写真  居酒屋でうちあげをしている最中に雪が降り始めました。予報通りでした。ファミレスで古木さんとの反省ミーティングを終えるころには、もうケッコウ足元が危険な感じ。私は自転車です。慎重に自転車を走らせる。でも気持ちはすっごく充実しています。会場から家まで30分ほどかけて自転車で帰る、このときの気分は何物にも変えがたいです。まして今夜は雪ですしね。幸せだなぁ。今年も一年、この「帰り道」を味わうのが楽しみです。私だけじゃなく、参加者のみなさんにも素敵な帰り道を味わっていただけますように。2008年もよろしくお願いします。多くの方のおいでを願っています。どうぞ一日お付き合いください。

 不等辺△劇団WS管理部 林成彦(はやしなるひこ)


写真  アシスタントを務めさせていただきました古木です。
 私は、昨年4回ほど参加させていただいたのですが、アシスタントのお話をいただいたときには何だかすごく(私でいいのかなって)驚き、(少しでもお手伝いができるなら、と)嬉しかったです。
 同じ場所、同じリーダー、いくつかの同じ活動でも、参加者やその「とき」によって、毎回がらりと雰囲気が変わるこのワークショップが私は大好き。
 まさに「一期一会」だと思っています。

写真  今回の個人的ヒットは、紙のタワーを建てるってやつ。演劇とは直接関係ないのかもしれないけど、人と人との繋がりっていう意味では何となく通じるところがある気がするし、今度どこかでやってみよう!って思いました。
 それと、「いい話」。あれは個人のキャラが出て、観客としては面白い♪
 自分がやるときはいつもドキドキなのに、今回はアシスタントの特権で観る方に回っちゃったのでゆっくり観劇気分。今度自分がやるときの課題も見つけられた気がしました。
 そして圧巻は「KY」ですよね。この言葉の難しさを改めて思い知らされました。

 今回は、若い初めての人達とベテランで常連の方々とのバランスがよくて、アシスタントの私はほとんど写真を撮りながら楽しんだだけって感じだったですけど、良い経験になりました。
 こういう機会を与えてくださった林サン、助けてくださった参加者の皆様、ありがとうございました。
 また、参加させてくださいね。
                             ☆古木 友香理☆


★アンケートより

写真 ○始め方がとても素敵でした。
○塔を作るのは楽しかった。
○KY。この言葉自体いろいろ論議のある言葉であるが、それを笑えるゲームにしてしまうとは新鮮な驚きであった。
○演技をするために大切なことをたくさん学んだ気がします。
○皆さんが活き活きしていたと思う。
○爽やかで空気が軽くなるような林さんが素敵でした!
○とても親切で、知らない人たちばかりだった会場を一気になごませてくれたことに感動しました。
○こういった形で知らない方々と接することが滅多にないので楽しかったです!
○素晴らしい企画で、また機会があったら参加したいと思います。

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