△ 不等辺ワークショップ第51回 (2007/07/28)


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写真  進行役を務めた林です。主なゲームを振り返りましょう。今回のハイライトは『ねぇねぇ』だったのではないかしら。これは初めて試したゲームです。「ねぇねぇ!」「なぁに!」「××××しようよ!」「いいねぇ!」という具合に、どんどん提案していく。インプロヴィゼーションで言うところの「オファー」ですね。発言の順番も、発言のタイミングも、決まっていません。誰でも、思いついたら即発言。全員に向かって、堂々とオファーする。そして必ず、周囲はそれを快く受け入れる。全員で取り組む。その積み重ねです。

写真  これはすごかったねー! 全員で取り組むのっていいねぇ。エア・ビール(!)で乾杯したり、ハンガーを武器に闘ったり、出身中学校の校歌を思い思いに歌ったり、寝転がって天井のポツポツを数えたり、スッチーの真似をした後、飛行機が墜落して、無人島に漂着したりしたんでした。ぜんぶ全員で。ひとつひとつは他愛もないものだったりします。繋がりや脈絡も特になかったりする。でもそれを20分間もやってると、全体として演劇っぽい「熱」を帯びてきますねぇ。全員参加でやったんで、写真が1枚もないのが残念! こういう全員参加系の、スジなしのゲームってこのワークショップでは久しぶりです。以前よくやった『世界遺産の旅』を思い出した。懐かしいな。

 このゲーム、実はある高校の演劇部でおこなわれていたものです。稽古場にお邪魔する機会があって、私も混ぜてもらいました。これがねー。難しくて、私はなかなか「ねぇねぇ!」って言えなかったんだな。ためらいや気負いがあった。演劇部員たちのなかに私が混じる。当然彼ら同士はすでに馴染んでいて、私一人だけストレンジャー・ザン・パラダイスな状態です。となると堂々とオファーするってのが、心理的に結構ハードルが高いのだ。その「易々とは言えない」ということ自体が、私にはおもしろい発見でした。

写真  今回は20分間、ノン・ストップで続けました。「このゲーム、どうやって終わるんだ?」と、途中で不安を感じた方もいたかもね。「易々とは言えない」状態から「堂々とオファーする」状態まで、全員が達するには時間が必要だろうなと思うんです。あれぐらいやってよかったんじゃないかな。最後なんて感動的でしたもんね。全員でイカダに乗って漂流しながら、なぜか快く「イチローの応援」をしたんですよね。イカダの上で「イチロー・コール」を熱唱する私たち。自分が究極に困っているのに、それでも人に声援を送るってすごい。不条理なんだけど、なにか感動的なシーンだ。あえて意味づけすると、みんなイチローを信じているんだ、イチローなら奇跡を起こしてくれるんだ、みたいなね。イチローがベーブ・ルースを超えた瞬間でしたね。20分でそんなところまで来たね。すごいね。イチローに見せたいぐらい。

写真  いつもやっている『ジャグリング』を今回はやっていません。なのでニックネームを作っていないんだ。このワークショップでニックネームを作らなかったのは初めてだなぁ。相手の名前を呼ぶゲームとして、代わりに『殺人鬼』をやっています。初めて試すゲーム。これは楽しいし、楽でもあるね。「ニックネームを覚える」という作業が今回はないんだもんね。そうかそうか。

写真  『ZOO』では、最初にクイズに取り組みます。マッチ棒クイズのようなもの。『ZOO』をやるときはいつもそう。まずは四角いアタマを丸くする(?)。対話を積み重ねて自分の正体を探るというのが本編。あのクイズはその予告編のようなものですね。もちろん本編だけでもゲームは成立します。でもあのクイズがあるからいいんだ。ワークショップ後の振り返りで、アシスタントの塚原にそう言われて私は安心しました。そうだよねー。全員で一所に集まって、ひとつのことを考える。そういう時間も重要だ。バラバラになって「独り立ち」する前に。

写真  『リーディング』は、村上龍の「69」を使います。回し読みをした後は即興。このワークショップではおなじみのシーンです。主人公矢崎とヒロイン松井が夜の公園で2人きりになる。セリフに制約を付けた上で、男女のペアで即興的に演じます。今回は6組の矢崎と松井がデート。どれもねー、いいんだなぁ。ぐっと来ました。それにしても、決められたセリフを言おうとする時って、どうしてあんなにおもしろいんでしょうね。観ていて、たびたび爆笑。デートのBGMはニルソンの「ウィズアウト・ユー」、森山直太朗の「夏の終わり」、ベット・ミドラーの「ローズ」、ギルバート・オサリバンの「アローン・アゲイン」、サラ・ヴォーンの「ラバーズ・コンチェルト」でした。いずれ劣らぬ名曲ばかり。6人の矢崎くんと6人の松井さん、お疲れさまでした。いずれ劣らぬ素敵なひと時でした。

写真  そう、今回は打ち上げも楽しかったねー。山手線ゲームの方式で「最近、自分が観て感動した映画や演劇などの作品」を語る。あれねー、後で思ったけど、ちゃんと紙に書いておけばよかったな。気持ちよく酔ってたからね。挙がった作品名を思い出せん。「紙屋悦子の青春」は覚えていますよ。きっと観ますよ。私は例によって青森中央高校演劇部の「最終試験場の9人」について熱く語ったのでしたよ。

 今回のアシスタントは塚原美穂さんです。塚原さんは tea for two という劇団のメンバーで、はずかしながら私は客演したことがあったのでした。いまでも公演をよく観に行きます。つい先月の公演では下北沢「劇」小劇場が毎回満席。秋以降も公演の予定が続きます。ぜひ塚原さんの舞台に足をお運びくださいませ。塚原、どうもありがとう。劇団のみなさんによろしく!

写真 写真  今回が通算で51回目のワークショップでした。「51」。イチローの背番号と同じなのだ。私はイチローにあやかりたいです。もう10年以上も前、イチローはテレビCMで「変わらなきゃ!」と、視聴者に語りかけていました。覚えてる? その後、イチローは本当に変わり続けたもんね。フォームが、当時は「振り子打法」だったよね。『ねぇねぇ』のなかで、全員でイチローの真似をしたりもしましたが、いまのイチローはもう右足を振らないんです。ワークショップも少しずつ変わっていこう。これまで50回やって、でもそのやり方に満足しないし、安住もしない。今回もいろいろと新しいことを試しました。同時に、いつも当たり前のようにやっていたことをあえてやらなかったりもした。試行錯誤しつつ、そうやって一歩ずつ「イチローの境地」に近づいていきたいですねー。「ねぇねぇ!」「なぁに!」「変わろうよ!」「いいねぇ!」と、まぁ、そんな易々と変われるものでもないが…。次回は9月1日(土曜)です。「俳優を目指さない演劇ワークショップ」です。多くの方のご参加をお待ちしています。

 不等辺△劇団WS管理部 林成彦(はやしなるひこ)


写真 お疲れ様です。
今回アシスタントをやらせて頂きました塚原美穂です♪

このワークショップへは今まで何度か参加しましたが、アシスタントとしての参加は初めてでちょっとドキドキでした(笑)

ただアシスタントとはいっても普通に一参加者として楽しみ過ぎて、力不足だった感があり、そこは反省。
今回は初ゲームありと、試みがあったようですね。
上手く流れがとれ、最後までみなさんも楽しんでいたように思います。

個人的にはZOO、とエチュードが好きでした。

わたしも自分の所属している劇団でワークショップを行う予定でして、勉強させて貰い、林さんには感謝してます!

また是非機会ありましたら、お付き合い願いま〜す。


写真  今回は暑かったですね〜。暑いとダラダラしてしまいがちなのに全くそんなことなかったですね! 今回のワークショップは人数がいつもより少なめだったせいか、主催者の気分かはわかりませんが、やった事のないゲームが多くて新鮮でした。今までにやったことのあったゲームも、今回は違うゲームに感じるのがありました。

写真  八人九脚はあまりにも上手にできて、「これがあのゲームか!」とさえ思いました。リーダーシップを取ってくれた方がとても上手だったおかげです。八人九脚でも走れることを知りました。今回は参加していらっしゃったみなさんのリードに何回も助けられました。村上龍もそうですし、しようよゲームに巨人ゲームもそうですね。私はへそが変わったらあんまりよくわからなくなってしまい、みなさんが居る方に行ってました! しようよゲームも楽しいお誘いが多々あり、20分間もやっていたとは思いませんでした。最後のほうは疲れてきたのか、あまりお誘いがなくなっていったりしたのもおかしかったですね。

 動物当てゲームは、一回じゃなくてせめてもう一回位やりたかったです。私は一番で解ったからすごい気持ち良かったけど、解らなかった人はきっと悔しいだろうなぁ。特にメジャーな動物だったらなおさらですよ!! あ!でもボールペンの逃げだした動物が解ったらまぁフェアですよね〜。私はあれ全く解らなかったものでして…。

 とにもかくにも、楽しんでしまいました。みなさんのおかげです。とても今回はお腹いっぱいになりました。お疲れ様でした。ありがとうございました。

 山田 歩


★アンケートより

◆雰囲気&内容について

写真 ◇初めて参加したのですが、超楽しかったです。
◇今回は人数が少なく、ひとつひとつのゲームが濃厚だったと思います。
◇雰囲気はとてもいい。「俳優を目指さない」というテーマにぴったり。
◇毎回楽しくて心がウキウキします。
◇「演劇ワークショップ」なんだけど、多分「自分をもっと知る」ワークショップだったり、「自己表現」「自己開放」ワークショップだったりします。自分の仕事(教職)にも即使えそうなところもたくさんあってうれしかったです。
◇いつのまにかみんなとフレンドリーになれる雰囲気になっていたのは、ゲームの順番や内容がよかったからだと思います。
◇二人三脚をしたときは声を出して笑いっぱなしでした。
◇大勢で協力して見えないロープで足を結んだときにはすごく一体感がありました。
写真 ◇しようよゲームは、あれはおもしろい! 疲れてしまってだんだん話題が出て来なくなる感じもなんかおかしい。
◇みんなLoveを呼びかけるときよりも殺しに行くときのほうが足速かったねぇ。
◇動物を当てるのがおもしろかった。当てるにもルートが必要で、とても勉強になりました。
◇動物当てゲームは1回じゃ足りない。せめてもう1回はやりたかった。
◇句読点で区切って読むっていうのは以前やったことがあって、そこから任意に3文節選ぶというのもやったことがあって、「あれ、これやったことあるぞ〜」と思ったら、そこから即興に持ってくのはなんとも新鮮でした。(よく考えたなぁ)
◇同じセリフを選ぶ人が多くて、結構印象に残るものはみんな同じなんだなぁと感じました。
◇村上龍は、他人のを見ているときは色々と思いつくのに、自分のときはダメダメだった!
◇最後の即興、みなさんとても活き活きとしていて自然だったのでいいなぁと思いました。

◆リーダーについて

写真 ◇口調がおだやかで「素直に聞こう」と思う姿勢を自然に作ってくれる。
◇わかりにくいこともよく説明していただけるので、新しいことをやるときに不安なく取り組めます。
◇林サンは、ソフトで、とても常識的なオトナっていう感じで、ついていくことにためらいはなく、信頼できる感じがしました。
◇スムーズに進めていってくださったので、こちらが疑問・不安を感じずにすみました。林さんの人柄もあるのでしょうね。
◇同封されていた手描きの地図、迫力あって笑った。

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