△ 不等辺ワークショップ第35回 (2006/01/28)


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写真  先週とは打って変わっての好天。私は自転車で会場に向かいます。八幡山まで40分ほどのサイクリング。1週間前はここで「演劇倶楽部」をやりました。あの大雪の日です。おなじ会場なのに、先週と今週とではまるで別世界だ。私はかなり早めに会場に着きました。ら、すぐにアシスタントの横野さんも現れます。彼も自転車です。お互い自転車ツーキニスト。今日はよろしくお願いします。そそっと打ち合わせをすませ、ささっと会場を設営し、みなさんを待ちます。インフルエンザが流行っていて、そのためか3名の方が欠席なさったのは残念。たまたま何本もの電話がおなじタイミングで集中。電話応対はいつもアシスタントにお任せしています。横野さん、大活躍でした。お疲れさまでした。来てくださった方、私のワークショップへようこそ。今日も楽しく「演劇」で遊びましょう。

写真  主なゲームを振り返ります。『テマリ』はワークショップでははじめてです。輪になって立ち、ひとつのボールをみんなで手で打ちます。「蹴鞠」の手バージョンですね。ケマリじゃなくてテマリ。2回つづけておなじ人が打ってはだめ。ボールが床に落ちたらリセット。何回連続で打てるか、みんなで回数をカウントしながらプレイします。これ、おもしろいです。簡単そうに見えてむずかしい。ラクそうに見えてけっこう身体を使う。熱くなりますね。

写真  慣れてきたら、2チームに分かれて対抗戦。負けたチームには罰ゲームがあります。ますます熱くなりますよね。各チーム3回ずつのプレイ。3回のうちの「最高ポイント」を比較します。試合は白熱。まるでサッカーのPK戦のような緊張感。3回目のプレイは追い込まれるわけですよ。負けている側はね。結果、練習の様子を見て「こっちのチームの方がまとまりがありそうだなぁ」と私には感じられたチームが(まさかの?)敗戦。もし仮にルールが「3回の合計ポイントの比較」だったら結果は逆になっていました。残念ねぇ。

写真  お楽しみの罰ゲーム。負けたチームは全員で声をそろえてウタを歌う。何を歌うかはチームで相談して決める。彼らは「メリーさんの羊」をとっても楽しそうに歌ってくれました。拍手。勝ったチームもこれに応え、エールとして「カエルの歌」を歌ってくれました。拍手拍手。めでたしめでたし。じつは先週の「演劇倶楽部」でもおなじ罰ゲームを試しています。そのときは「森の熊さん」と「赤鼻のトナカイ」が歌われました。羊。カエル。熊。トナカイ。なぜ、こうも動物のウタが選ばれる? あとの『ZOO』を意識したわけでもなかろうに。不思議っちゃ不思議。

写真  その『ZOO』。「はい/いいえ」で答えられる質問を積み重ねて自分の正体を探り当てます。本当の私。自分探しのゲーム。11月の松陰コモンズでも試しました。あのときは1回しかできなかったのを反省。このゲームはぜひ2回くりかえしたい。1回目の経験をふまえて、第2の人生を充実させましょう。1回目はかな表記で2文字の動物(ホ乳類、ハ虫類、鳥類、昆虫そのほか、動物園にいない生き物でも、誰でも知っているようなものならOK)、2回目は3文字の動物でトライです。

写真  私の正体は1回目は「ツル」。2回目は「ラッコ」でした。これがゼンゼンわからない…。むずかしいなぁ。でも苦戦しているのは私だけじゃない。さびしいのはお前だけじゃない。体長およそ10センチで凶暴だけど肉食じゃない、とかね。ワケわかんないよね(正体は「モグラ」)。いろいろな質問のしかたがあるもので、「私のなまえは英語ですか?」という質問を受けたときは「へぇ」と思ったな。そのときの相手は「ラクダ」で、パッと即答できなかった自分がくやしい。ラクダは英語だとキャメルですよね。おやつに用意した「丸ボーロ」をタバコだと勘違いした方がいて(おもしろいよね)、それの流れでキャメルを思い出しました。それにラクダは漢字で書けるし。「駱駝」。麿赤児の「大駱駝鑑」だ。ラクダって日本語ってことなのかな。

写真  私はいつも話が長い。気分よくあれやこれや語っているうちに時間はどんどん経過します。気がつくと午後4時すぎだ。あと1時間。残ったメニューは『ごみ問題』『ペンキ屋』です。どっちをやるか迷いました。今日は『ごみ問題』を選択。このワークショップの目玉は『ペンキ屋』です、みたいなことを冒頭に語っていながらの肩透かし。どうもごめんなさい。来月のワークショップでは『ペンキ屋』をたぶんやるでしょう。よければまた遊びにいらしてくださいね。

写真  五味太郎の絵本を問題集として使う、この『ごみ問題』。今回は比較的早い段階で五味太郎を離れ、フリー課題にチャレンジです。出題者は自由にシチュエーションを想定していい。回答者はそのシチュエーションに沿ったセリフを考える。そのセリフに「愛」をこめて出題者に語りかけます。最後の課題は「私は病気で1年後には死んでしまうことがわかっています。今日は昔の友だちに久しぶりに会いに来ました。そして病気のことを打ち明けました。そこで私に向かってなにかひとこと」みたいなものでした。重いなぁ。むずかしいなぁ。この課題のときは、セリフに「愛」を感じた回答者を3名、出題者に選んでもらいました。いつもはひとりしか選ばないのにね。3名選ぶのは、きっと選ぶ側はたいへんです。出題者は3名を、それぞれちがった観点で選んでくれました。いちばん最後に丁寧なやりとりができて、ワークショップが締まりましたね。ありがとうございました。

写真  そうそう。いつもの『ジャグリング』。これのなかで今回もニックネームを決めています。先日の「演劇倶楽部」で試して、おもしろかったルールをここでも試す。小中学生のころ仲のよかった友達のことを自分はなんと呼んでいたか。それを自分のニックネームとします。『ごみ問題』の最後の課題は、これとちょっとリンクしましたね。うまくまとまりました。ご参加くださったオールド・フレンズ。チャル(は私だけど)、コージ、イシコ、マイちゃん、リエちゃん、メグマ、タイマイ、ゴエモンのみなさん。今日はお疲れさまでした。

写真  2006年の1回目のワークショップも無事に終了しました。通算でこれで35回目です。もう私の年齢を超えてしまう。よく続いたものだなぁ。自分で感心。毎月1回ずつ、今年は12回実施しますよ。それが目標です。今回のアシスタント、横野さんはこのワークショップの常連さんです。スタッフの立場から、はじめてこのワークショップを眺めていただきました。ひょっとするとスタッフではなく、やはり参加者として関わりたかったと横野さんは思っていらっしゃるかもしれません。思っていても、横野さんはそういうことを決して口にしません。アシスタントとしていろいろとお気遣いをいただき、ありがとうございました。今後もよろしくお願いします。

写真  これは「演劇倶楽部」のブログにもおなじことを書いています。個人的な話で恐縮です。ずいぶん以前にいちどおなじ公演に参加した方が、今回のワークショップに来てくださいました。こういうのはとってもうれしいです。お互い長く続いているものだなぁ。頼もしい。

写真  あのときの自分のセリフを、私はいまでも暗唱できます。稽古初日の前日まで私はネパールを旅行していました。当たり前のように、私はお腹をこわしてしまう。食中毒。カトマンズの安いゲストハウスで、タオルケットにくるまって私はガタガタ震えていました。一日中です。「オレ、コレラとちがうか? 日本に帰れるんか? このまま死ぬんか?」と。不安と心細さがさらに私の体力を奪う。これが命綱だと思って、ベッドで私は「地球の歩き方」のネパール編を熟読しました。二読。三読。四読。五読。これの、カトマンズを紹介する文章がなかなかよかった。読み返しているうちに覚えてしまった。どうにか日本には帰ることができました。稽古場でその文章を自分なりにアレンジしてしゃべってみたら、それがセリフに採用されてしまったのでした。あのセリフはそんなんだったんだよ。話したっけ。家畜の糞尿。腐っていく果物。乾いた血のにおい。バザールに波立つ眠気を誘うようなざわめきのなか…、云々。著作権をいっさい考慮していませんが、まぁ時効(だよな。私の民法の知識では)ということでお許しを。

写真  人に歴史あり。あなたに歴史あり。みんなにそれぞれの歴史あり。そういうのが、差し支えのない範囲で、垣間見えるような機会。このワークショップにそんな一面があってもいいと思います。表現されるべき自己。さまざまなやり方で、遊びながらそれが伝わるようなワークショップを今後も目指します。改めて確認すると、このワークショップはなにかのオーディションではありません。ある特別なメソッドを参加者の方にお伝えするための演劇教室でもない。リーダーの私は、アドバイスをしたりいさめたりすることはあるかもしれませんが、ダメを出したりなにかを教えたりは特にしません。あくまで「演劇」で遊ぶための遊び場。表現することを楽しむための場です。

写真  そう、表現って楽しいですよね。その楽しみを「俳優」に独占させてしまう手はない。当面、私は「俳優を目指さない演劇ワークショップ」を標榜したいと思います。俳優を目指す方々のための、真剣勝負の場はたくさんあります。このワークショップは、もっとラク〜にね。俳優になりたいだなんて(大それたことは)思ってはいないけど、「演劇」ってものにちょっと興味はある。という多くの方々にも開かれた「演劇プレイパーク」でありたいです。どうぞ多くの方のお越しを。それでは。来月また。

 不等辺△劇団WS管理部 林成彦(はやしなるひこ)


写真  この度は、「つたないアシスタント」で申し訳ございませんでした。ご気分を害した参加者は、いらっしゃいませんでしたでしょうか。(とても、心配しております。)参加者としては、何度も参加させて頂いてて、林さんからは「常連’S(ジョウレンズ)」の称号も頂いておりました。しかし、「アシスタント」として入らせて頂くと、分かっているはずなのに全然「段取り良く」できず、とっても反省しております。(とても、お恥ずかしい限りです。)いつか、「バージョンアップ」した「アシスタント振り」をお見せ出来る日を期待しておいて下さい。(もう少し修行を積んで、「リベンジ」できればと思っております。)また「参加者」でお会いすると思いますが、その時はよろしくお願い致します。(みなさまに会えるのを楽しみにしております。)この度は、皆様ありがとうございました。
 横野雅俊


★アンケートより

○楽しい空間でたくさん遊んだなぁという感じです。
○時間がすぎるのがあっという間でした。もっとやりたいです。
○「テマリ」がくやしかった!30行きたかった!またやりたい!
○「ZOO」。自分を探していくゲームがなんだか探偵になったみたいでものすごく面白かった。
○「ごみ問題」はオリジナルのゲームなんですね。感動的に楽しかったです。
○楽しかったです。特に「ZOO」と「ごみ問題」が、コミュニケーションと表現ということに通じていて面白かったです。
○他の参加者とちがう切り口でいく「ごみ問題」の林さんがよかった

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