△ 不等辺ワークショップ第19回 (2003/10/12)


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 リーダーのはやしなるひこです。ワークショップの様子をレポートします。ゲームごとに今回とくに工夫したところをご案内しますね。また今回は「新ネタおろし」のゲームを3つも行なっています。それについてはルールやねらいもご説明します。参加者のみなさんに書いていただいたアンケートの回答をご紹介もしつつ。ではでは。どうぞご笑覧ください。

「ジャグリング」

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○ボールを使う奴はやっぱり好きだなぁ。
○はじめは見知らぬ人たちの中…とすこし不安でしたが、ジャグリングの途中からもう楽しくなりました。

 いつもは3種類のボールをそれぞれ1個ずつ使ってキャッチボール。今日はおなじ種類のボールを2個以上用意しました。どんどんボールを増やしていって最後は12人で7個のボールを投げ合います。12人で7個って普通ムリじゃない? それをやっちゃうのがジャグリング。写真でもわかるかしら、稽古場はかつてないカオス状態に。
 写真 課題としてはむずかしくなっていたはずですが、いつもよりもむしろ流れはスムーズでした。ボールが多くなった分だけ多くのアイコンタクトが生まれて、それでゲームの効果が高まったのかな。おなじボールをそろえるために世田谷区内のダ○ソーをハシゴした甲斐があったというものですよ。
 フードボールによる呼び名は、マンゴー、アメ、ミズアメ、イチゴ、塩ラーメン、ワタアメ、マスクメロン、フガシ、ハム、ナスビ、コウナゴ、サトウ、オクラ、ハヤシライスに決まりました。
 大人になると普段なにかを「投げる」ことってなくなりますよね。子供のころ私は毎日なにかを投げていましたよ。ぞうきんとか丸めた紙くずとか。壁に向かってボールを投げたりとかもしましたね。たぶん人間には「投げたい欲求」があると思うんですよ。投げ欲。ジャグリングが楽しいのはそのせいもあると思います。運動会でやった「玉入れ」なんて、最上のエンタメですよ。きっと。

「赤い鳥逃げた」

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 初めてのゲーム。中森明菜ではありません。鳥カゴから鳥たちが逃げ出して、稽古場の向かいにあるような大きな木の枝に止まっている。それをペット屋が一羽ずつ捕まえるというもの。捕まえる方法はアイコンタクトをとることです。
 写真 写真では幽霊みたいにも見えますが、これは鳥のポーズ。木に止まっている姿です。ペット屋と目が合ったと思った鳥はしゃがんでいき、全員がしゃがんだらペット屋を交替します。
 ちなみに「赤い鳥」が逃げるのは最初だけ。つぎからどんどんちがう色の鳥が逃げ出します。たとえば「白い鳥逃げた、白い鳥逃げた、…」などと。ペット屋はワンブレスでそれを叫びつづけること。色の名前を考えていくのもちょっとおもしろいですよね。
 前のゲームを受けてアイコンタクトを強調し、同時にこのあとのボキャブラリー系のゲームへの橋渡しとして、ここにこのゲームを置いてみました。
 アシスタントの小野千草が言うには、鳥になって逃げているとき、みなさんがいい表情をしていたそうです。考えてみたらこれもそう、大人は鳥のマネなんてなかなかしないですし。子供のころは空飛び系の「ごっこ遊び」をよくやった気がします。アトムごっことか。私だけ?

「ごみ問題」

○ごみ問題はいろいろいじるとおもしろいかな? 今のだとちょっとシンプルすぎる気がする。

 写真 これも初めてのゲーム。五味太郎の絵本を問題集として使います。だからごみ問題。今日は「言葉図鑑シリーズ」のなかから「くらしのことば」編を。ちなみにこのシリーズの絵本はいくら眺めていても飽きないです。よければぜひ。おすすめです。
 写真 ルールは山の手線ゲームに似ています。ひとり(オニ)が輪の真ん中に立ち、だれかひとりを選んで(ここでもアイコンタクトが重要です)問題を出します。絵本の目次から、たとえば「あいさつことば!」などと。
 出題された者はオニに向かって「やあ!」「こんにちは」などと自分なりのあいさつことばをオニに返していきます。おなじことばを言ってはダメ。それを時計回りに一周。ぐるっと戻ってきたらオニと交替です。
 書きながら気づきましたが、だれかが言えなくなるまで回し続けるというルールのほうがよかったかな。速めのテンポに固定してね。どうでしょう。
 慣れてきたら絵本を卒業です(ごみ先生ありがとう!)。これからはオニが自分で考えたセリフを言います。「昨日の朝さあ…」とかね。それに対するリアクションを時計回りに一周。シンプルなセリフほど難題でしたね。応じる側にとって。
 アイコンタクトからはじまって、このゲームではことばのやりとり(会話)にまで進みました。会話といってもまだ「ワンポイント英会話」みたいな、ひとことずつのものですが。

「会話スキル講座」

○会話スキル講座で、スタートの場所によって重なる人と全くできない人が出ていた気がしました。
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 これも初めてのゲームです。前のゲームを受けて、内容を一歩進めたものです。タイトルだけ見るとラーメンズのコントのようですが、関係はありません。けど影響はありあり。ファンなもので…。(反対に「影響はない。けど関係はありあり」な立場に私はなりたい…)。
 写真 ゲームの進め方は「ごみ問題」と同じです。ただオニとの会話を、私がお配りしたマニュアルに沿ったものにします。第1回である今日のテーマは「上手な断わり方」です。
 三森ゆりか著の「論理的に考える力を引き出す」を参考に、どうすれば誘ってくれた相手の気持ちをそこなわずに上手に誘いを断わることができるか、を整理してマニュアルにしました。(詳しくは三森先生の著作をご覧いただくか、ウチのワークショップにご参加ください)。
 オニはやはりだれかひとりを選んで、自分で考えた「誘い」のセリフをかけます。その誘いをマニュアルにしたがって、オニを傷つけないように上手に断わりましょう、というゲームでした。
 ひとりで応じるのではなく、時計回りに4人でひとりの人格になるという工夫も入れてみました。効果はいかがでしたかしら。でもたしかに「私は1回もまわって来なかった」ということも起こりえますよね。目配りが足りなかったです…。反省。

「ペットバトル」

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○ペットバトルはやっぱゴール審判が必要ですね。倒れたときに「倒れました!」と宣言する人。

 おなじみのゲーム。今日はエプロンを新調。茶色と紺色と、2種類のエプロンでチームの区別を。チーム名は各チームのキャプテンの出身地。オール群馬、オール東京、オール愛知、オール兵庫の4チームが決勝トーナメントを闘いました。
 唯一男性ばかりで編成されたオール東京チーム。見かけは強そうだったのに…。どうやらチーム内に「決め事」がなかったらしいのが敗因か。ジーコジャパンは大丈夫なのか。群馬の点取り屋サトウ、ファインゴール連発の愛知のフガシ、トリッキーなゴールを決めた群馬のアメなど、熱戦つづき好プレーつづきでしたね。そうそう兵庫のナスビ。堂に入った主審ぶりがナイスでした。あの口調はなんなの、プロレス? ピンサロ?

「ペンキ屋」

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○ペンキ屋がむずかしかったけど楽しかったです。
○ペンキ屋がとくにむずかしかったです。
○ペンキぬり、楽しかったです。(上手くはできなかったけど…)
○ペンキ屋おもしろかった。雰囲気もよかった。使わせてもらいます。
○やっぱりペンキ屋は好きです。色んな会話が飛び出して楽しいですよね。

 これもおなじみ、定番中の定番ゲームです。今日はここまでアイコンタクトとボキャブラリー系のゲームに重点を置いています。それが功を奏したのか、あるいはもともと参加者のポテンシャルが高いのか、その両方か、のっけからいい会話いいセリフ自然なセリフが連発。いつもはまず私が会話の見本を披露するのですが、今日はそれを完全にわすれていました。ごめんなさい。にもかかわらずのあの会話ですよ。すばらしい。
 写真写真 まずは車座で50音の会話。そして部屋を作って、いつもは2部屋ペンキを塗ります。今日はなんと6部屋(!)も塗りました。どの部屋も個性的なペンキ屋による個性的な会話がはずみまして。時間があればもっとやりたかったですね。名セリフも頻発。マスクメロンの「立派になりたい!」には感動。ピカイチ。そのすこし前にもマスクメロンには「やっぱり私たちダメなんですかね…」という切ないセリフがありました。それが伏線となって効果倍増でしたね。「手土産はないのか?」を受けてアメは「豆腐。手づかみだけど」と即答。さすが。即興の王様です。飛んでいるハチに向かって「ルールを守れ!」とかも言ってませんでした?
 抱腹絶倒で、覚えきれないほど名フレーズ満載。和田誠の「お楽しみはこれからだ!」を思い出しましたよ。

「世界遺産の旅」

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○世界遺産の旅はおもしろかった。イマジネーションが広がってよい。
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 これも定番ゲーム。書いて演出して演じて受けて、と多面的なアタマの使い方が求められる「総まとめ」のゲームです。今日は順不同で、空の宮殿、裏ゴルフ博物館、奥村家、東京都世田谷区、時計盤の世界、幅5ミリの黄金宮殿、平和の橋、味わいの谷、俺の稽古場、永遠のスタジオ、トーフ神殿、跳び石段を約30分間でツアーしました。
 もうね、最高ですね。「いまから下北沢に行きます。電車の切符を買ってください」には大笑いでした。たしかに優香の本名は知りたくなかった。「タイム・イズ・ゴニノン!」は恥ずかしくて言えなかった。山田康夫の「カリオストロの城」をもっとゆっくり見たかった。新宿の夜景を見下ろしながら稽古してみたかった。奥村家の家の中が気になった。石段を100段かけあがって、私は大事な「年賀状」を捨ててしまった。そういえば石段でなんでマンゴーが転んでいたのか見逃した。
 写真 いやぁ、今日もステキだったです。演劇の稽古場は「自由自在」ですね。中になんでも入る不思議な入れ物です。使い方次第。イマジネーションは無限のチカラ、というかタカラですね。この稽古場こそが世界遺産のてっぺん。

「アフタートーク」

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 今日は新ネタも多くあり、ぜひともご感想を。「ペンキ屋」で会話がネガティブなものになりがちだという指摘は新鮮でした。「疲れたね」とか。たしかにそうですね。その傾向には気づきませんでした。「ペンキ屋」というタイトルから、仕事としてペンキ塗りをやらされているという印象を持つからではないかとの意見が出ました。そうですよね。芝居なんてやってるとだれだって一度くらいはペンキ塗らされますよね。パネルとか立て看板とか。あれ、やらされてるんだもんね。なるほど。
 MVPには随所に個性が光ったアメが、特別賞には「俺の稽古場」のリッチさ(リッチ条件?)が決め手、コウナゴが選ばれました。おめでとうございます。
 今日はさいごに全員写真を撮るのをわすれてしまいました…。痛恨。私は人数分のレモンを用意して、「ザ・テレビジョン」の表紙のような写真を撮ろうと考えてもいたのに…。
 このあとうちあげの席では、芸術とはなんぞや、演劇論、演技論、イッセー尾形論、ディズニーランド論、などなどいつになく硬軟おりまぜ、アイコンタクトを利かせまくりのトークに花が咲いたのでした。
 写真 みなさんワークショップのご参加ありがとうございました。お疲れさまでした。今後も精進いたします。次回はおかげさまで通算20回目に当たります。記念として賞品をいつもの倍ご用意いたします(賞品総額420円)。ぜひまた稽古場でお会いしましょう。
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○やっぱり新しくはじめたゲームはもう少し練る必要があるかなと。
○赤い鳥逃げた、ごみ問題、ペットバトルは改良した方がよい。もうちょい楽しいものにできるはず。
○楽しいことはあっという間。めっちゃおもしろかったです。また来ます!!
○和やかな雰囲気で、遊びに自然に入っていけました。
○Tooシャイな私でも楽しむことができました。
○4時間半があっという間でした。本当です。
○このようなワークショップは初体験でしたので、何もかもが新鮮でいい勉強ができました。
○みなさん勘のいい方々で、中にいるだけでおもしろかった。
○おやつの時間がもうすこしほしい!
○林さんのリーダーを初めて見ましたが、ブレないので安心しました。
○成彦氏がりりしく、ハキハキとしていて新しい一面(!!)でした。
○黄色いバンダナから毛がちくちく出ているのが気になりました。

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