△ 不等辺ワークショップ第12回 (2002/12/01)


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小雨降る師走のついたち、今年最後のワークショップが開催されました。
リーダーは毎度お馴染み林成彦、アシスタントは私越後が務めました。
大好評だった為3回連続使われた前回までのメニューに劣らぬものを考えん!と、打ち合わせにも力が入り、その結果生まれた完全オリジナルメニューの『カンペ』と『世界遺産の旅』。
さて、皆さんに楽しんでもらえますでしょうか…。


『ジャグリング』

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ワークショップの冒頭で行われることが多い、アイコンタクトをとって言葉をパスしていく類のメニューです。今回はボールを使うことで言葉の所在を視覚化させました。まず選んだ相手とアイコンタクトをとり(「いくぜ」「おう」と目で会話)次に言葉とともにボールを投げます。ボールは3種類。相手の苗字を言いながら投げる球形の「ネームボール」、相手の苗字に因んだ食べ物の名を言いながら投げるウニ型の「フードボール」、そしてアイコンタクトのみで投げるドーナツ型の「サイレントボール」。声に頼れない分「サイレントボール」は難しく、アイコンタクト不十分でボールを取り落とす場面もありました。輪になって一つのボールだけを回すところから始めて、最後には自由に動き回りながら3つのボールを回しました。

『神様』

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神の救いを求めて暗闇を彷徨するという、リーダーお気に入りのメニューです。(詳しくは第5回のレポートをご参照下さい)目を閉じて動くと耳や指先に神経が集中していくのがわかります。そこから入ってくる限られた情報により想像力を働かせて神様を捜すのですが、やはり積極的に動いていく人のほうが早く救われるようです。何かにぶつかることを恐れて動けずにいる人は、わずか5センチ先にいる神様にも触れることができずにいました。ゲームの後で「幸せもこんな風につかみ損ねているのかも」と溜息をついていた方、がんばってあと一歩を踏み出してどうぞ幸せをわしづかみしてください。私は子どもの頃に昼間から雨戸をしめて真っ暗にした部屋で遊んだ時のことを思い出してワクワクしました。後でリーダーに「ワクワクするようなゲームじゃないはずなのに」と嘆かれましたが…。 

『カンペ』

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優雅なクラッシック音楽が流れる中、男女で向かい合ってお見合いをします。相手の背後には天使(というより悪魔か?)がいて、カードによって指令を出してきます。カードは4枚ずつ。何が書いてあるかは出されるまでわからないし、自分の背後の天使が相手にどんなカードを出しているのかもわかりません。時にはせっかくのいい雰囲気をぶちこわすような言葉や、その場にそぐわない動作を要求してくることもありますが、もちろん即実行せねばなりません。

写真 写真 とりあえずカードに従った後で、つじつまを合わせるべく、そしてこのお見合いを成功させるべく必死でフォローするのです。その様がなんともおかしく、今回の人気No.1メニューとなりました。咄嗟の機転やユーモア、相手との連携などが必要とされ難易度もそれなりに高いメニューだと思うのですが、楽しさが勝って皆さんとても積極的にお見合いに臨んでいました。お見合いを終えた二人が次のペアの仲人役に早変わりし、天使がカードを選んでいる間に「若いおふたり」を和ませる夫婦漫才コーナーも見所の一つ。また、天使役のカードの選び方や出すタイミングのセンスで場が大きく変わるため、天使同士の腕比べにもなっていました。

『ペンキ屋』

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ワークショップ登場四回目の定番メニューです。(詳しくは第8回9回のレポートをご参照下さい)このメニューの一番の面白味は、ただ車座になって行った時とペンキを塗りながら行った時とで出てくる言葉の質が全く違うことを体感できる点でしょう。ペンキを塗る動作をするだけでそこに場が生じ、生きた会話が生まれる妙。また、今回は新しい試みとして前後の話題に関係なく「ネ」は「ねずみだ!」という言葉にあらかじめ決めておきました。ペンキ職人達が突然現れたねずみに右往左往。しかし会話はちゃんと「ノ」「ハ」「マ」…と、五十音順に続いているのです。「メ」の「メッ…雌?」には一同大うけでした。

『世界遺産の旅』

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まず「私の世界遺産レポート」なる用紙が配られます。自分が世界遺産にしたいと思う場所を考え、そこがどんなところなのかを具体的かつ詳細に用紙に記してもらいます。写真あっという間に皆さんそれぞれの姿勢で自分の世界に入って行きました。30分後、いよいよ旅に出発です。各自自分が考えた遺産のツアーガイドを務めます。他の人はツアーに参加した観光客役です。シャボン玉気球に乗ったり火の海を渡ったりしながら全員で部屋に広がる架空の土地を旅していきます。CDラジカセの内部のような「CDラジカセ遺跡」、シュールな赤いお椀の宿「夢想庵」、最近調査が進んでいる「人面池の鼻島」、まるで地獄?の「赤い教室」など、1カ所2〜4分で10カ所を続けて観光しました。楽しかったけど、さすがにちょっとばてましたね…。次は二人一組になって世界遺産地のどこかを舞台にした芝居作り。簡単なシナリオと割り当てられた地の世界遺産レポートを手に相談タイム。どこもたった今旅してきた場所なので、イメージも膨らみやすかったようです。15分後に発表。それぞれの世界遺産でペンキを塗ってねずみを追いかける、不思議な芝居ができました。

『アフタートーク』

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6時間以上にも及んだワークショップもこれで終了。恒例のMVPは『カンペ』でのお見合いっぷりを評価されたまつたけさんに、アシスタント賞は同じく『カンペ』での仲人っぷりを評価されたうなぎさんに贈られました。

【終了後のアンケートより】


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 私にとって今回いちばんの収穫は「世界遺産の旅」です。これほどに楽しい旅を経験できるとは予想していませんでした。めくるめくパノラマの世界。私は興奮しましたが、みなさんはどうだったでしょう。前回までの「就職ガイダンス」も愉快でした。でも単純に「就職」よりも私は旅に惹かれる…。

 写真ワークショップをスタートして2年、これまでに私は管理人(いわば仕掛人)として12回のワークショップを仕掛けてきました。ご参加ご協力くださったみなさん、ありがとうございました。この「仕掛る」というコトバが私はちょっと気に入っています。これを「しかかる」と読むと、簿記の用語で「作っている途中の」とか「まだ出来上がっていない」という意味になります。固ゆでのたまごにたとえると、半熟なのではなくて、いま鍋でぐつぐつ茹でている状態のたまごです。まだ鍋から出していないもの。ぐつぐつと茹でられながら、早くできねぇかなぁ、と腹を空かせた者たちに楽しみに待たれているような、そんなワークショップを仕掛けていきたいものです。

ちょっとした思いつきをその都度書きとめている私のノートは、この2年間で4冊目がもうすぐ終わりそうです。来年以降も新しい企画を用意し、その一部にはすでに着手しています。ぜひ楽しみにお待ちください。新しいたまごを鍋につぎつぎ入れていく。もわんとした湯気が立って、鍋のなかでゴトゴトとたえずたまごが踊っている。そんなのが理想ですね。茹であがったものから召し上がれ。ご馳走さまでした。いえいえお粗末さまでした。火加減を調節しながら、いつも茹でている途中。

 一年間ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。(

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