△ 不等辺ワークショップ第6回 (2001/09/02)


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 早くも6回目となる不等辺ワークショップ。リーダーは、アシスタントははらでぃが担当します(暑苦しいコンビですみません)。いつもはリーダーがレポートを書くのですが、今回はアシスタントのはらでぃのレポートでお送りします。
 ワークショップの前には、リーダーとアシスタントで2回ほど打ち合わせながら、当日のメニューを決めて行きます。参加人数や所用時間や運動量のバランスを考えながら、いろいろ案を出しながら選んでいくのですが、今回は(も?)最後の最後までメニューの選択に悩みました。初めて試すメニューは、うまく行くのかどうかとても不安なものです。いつもは一参加者として楽しんでやっているのですが、催す側になるととても緊張するものだということを知りました。当日会場に行き、準備を整え、参加者を迎えると、緊張はピークに達します。でもここまできたら、あとはやるしかない。舞台の幕が開く直前に似た心地好い緊張感を胸に、13人の参加者と4人の見学者を迎え、第6回ワークショップ、スタートです。


『どびん・ちゃびん・はげちゃびん』

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 まずは参加者どうしの親睦をはかる簡単なゲーム。輪になって、時計回りに「どびん」「ちゃびん」「はげちゃびん」の順に言葉を回して行きます。慣れて来たら「はげちゃびん」のあとに「1」「2」「3」を加えたり、または「いぬ」「さる」「きじ」など任意の動物の名前を3つ入れたりしてみます。
 次に「どびん」の人が次の「ちゃびん」の人をランダムに指名するようにします。順序がジャンプするわけですので、とっさの反応が要求されるようになります。
 更に、適当に歩き回ったり走り回ったりしながら、次の人を指名して「どびん」「ちゃびん」「はげちゃびん」を続けて行きます。慣れてきたら、手を使わずにアイコンタクトだけで次の相手に伝えるようにしていきます。誰が言葉を持っているのか、意志の疎通がきちんとできるかどうかが鍵になってきます。いつ自分が指名されるかわからないという緊張感が、ひしひしと伝わって来ますね。でも役者たるもの、常に回りの状況を把握しつつ、とっさの事にも反応できなくてはなりません。
 更に馴れてきたら二人同時に言葉を回しはじめるなど、どんどん難易度が上がるのですが、結構時間がかかったので、今日はこのくらいにしておきましょう。

『世界ウルルン滞在記』

世界ウルルン滞在記」ゲーム

※芸能人が「ある目的を実行するために」世界中の国ぐにへ跳びまわり、民家にホームステイする、ヒューマンドキュメンタリークイズ番組。TBS系、日曜22:00。

あなたは売り出し中の若手タレントです(公称21歳)。
今日はあなたにいい知らせがあります。
「ウルルン滞在記」のレポーターの仕事が決まったのです。
5泊6日のホームステイ。すてきだ。
他の仕事は速攻でキャンセルだ。
プロデューサーはあなたの希望を予算の範囲内でなんでもきいてくれるそうです。
さて、あなたの希望は?
「A」に行って、
「B」をしたい/学びたい/なりたい。
例:ポリネシアに行って、ヤシ酒の作り方を学びたい。
  築地市場に行って、競り人になりたい。

※この仕事はまだあなたと私だけのひみつです。
決して誰にもしゃべってはいけません。(というルールのゲームです。)

 ワークショップが始まる前に、参加者にあらかじめ右のような紙を渡しました
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 で、ゲームというのは、「B」の「したい/学びたい/なりたい」ことを、1分間の演技で表現するというもの。言葉は言ってもいいですが、「B」そのものを口に出してはいけません。見ている人は、演技している人が何をしたい/学びたい/なりたいのかを当てます。難しければ、ヒントとして「A」はどこかを言ってもらいます。最終的に「B」をもとに、その人のニックネームを決めました。今までは好きな食べ物などからニックネームを作ってもらったのですが、こういうゲームを通してニックネームを決めると、本人の演技が頭に残って、ニックネームを覚えやすいということがわかりました。
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 ちなみに今回の参加者のニックネームは「戦場カメラマン」「カツオ」「仙人」「紅茶」「体重計」「チーズ」「イタコ」「ベッカー」「晩餐会」「クジラに乗った少年」「宇宙飛行士」「塩」「審判」「太極拳」「ダイアモンド」でした。みんなそれぞれユニークな希望(?)があって、面白いですね。

『あいうえお』

写真 初めて試みるゲームです。輪になって順に言葉を言って行くのですが、条件として、言葉の頭文字が「あいうえお…」の順になっていなければならないというもの。例えば「暑いねえ」「いやそうでもないよ」「うーん、どうかな」「炎天下だしね」「お腹すいたね」などという感じで、次々に言葉をつないでいきます。うまくいけば「らりるれろわ」まで続けます。そういえば、銀色夏生の詩の一つにそんなのがありました。結構難しいかと思いきや、2回目くらいでどうにか「わ」までつなぐ事ができました。拍手拍手。
 慣れて来たので、今度は2チームに分けて、「あいうえお〜たちつてと」までの時間を競います。結果は67秒と60秒。状況が限定される言葉だと、つなぐのが難しくなるので、最初の人の話題の選び方がコツかも知れません。このゲーム、一人でも遊べるので、頭の体操としてやってみるのもいかがでしょう。

『神様』

写真 これも初めてやるゲームです。まず全員に目を閉じてもらい、その中から「神様」を一人選びます。神様が誰であるかは他の人には明かされません。指名された神様は、目を開ることが出来ます。その他の人は、目を開ける事が出来ません。
 その状態で一人の「神様」とその他の「人間」たちが動き回ります。目が見えない「人間」たちは「神様」を求めて手探りで歩き回ります。誰かに触れたら、触れた相手に「神様ですか?」と訪ねます。触れられた人は「いいえ、私は○○です」と自分のニックネームを答えます。触れられた人がもし「神様」だったら、返事をするかわりに黙ってその人の手を取ってあげてください。そうするとその人は目を開けることが許され、「神様」の一人となって、手を繋ぎ一緒に歩き回ります。一種の「手つなぎ鬼」みたいなものでしょうか。
 「神様」をもとめてうろうろする間、「人間」には焦り・不安・恐怖など様々な感情が生まれます。運よく「神様」巡り会えた時、安堵・喜び・満足感など、また別の感情が生まれます。また「神様」を探し求める様子もそれぞれ個性が出るようです。終わった後、それらをコメントしあうことで、自分と他人の心の違いというものが見えてくるのではないでしょうか。

『ラッコと煙突』

写真 あるポーズから始まり、あるポーズで終わるという一人芝居を作ってもらいます。あるポーズとは

 A:ラッコ…あおむけのポーズ
 B:煙突…両手を伸ばして立っているポーズ
 C:ダルマ…かがみこんだポーズ

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の3種から2種つを選びます(例えばC→B)。もちろんラッコや煙突というのは例えであって、実際にラッコや煙突でなくても構いません。プロットを立てて、途中のストーリーを考え、それを1分の芝居にして発表します。簡単に作ってしまえば結構簡単にできてしまうのですが、そこにいかに独創的な要素を盛り込むかというのがポイントのような気がしますね。
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 それが終わったら、今度はペアを作って、他の人が作ったプロットをもとに、それを2分間の二人芝居にします。もともと一人芝居だったものを二人にするのですから、場合によっては作りにくかったりするのですが、それをうまくアレンジすると、一人でやった時よりもアイデアが大きく膨らんで、とても面白い話になったりします。二人の役割分担や、設定の意外性がポイントでしょうか。
 印象に残ったところでは「フンコロガシとフン」「波平さんの髪の毛」など。この二つを演じた「イタコ」さんと「仙人」さんが、それぞれ今日のMVPとアシスタント特別賞を授賞しました。


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 今回は時間も少し長めに取ったのですが、それでも最後の方は少し時間をオーバーしてしまいました。音楽をかけたり資料を配ったり写真を撮ったり模範演技を見せたり、いろいろ忙しかったアシスタントでしたが、一参加者とはまた違った楽しさがありました。今回は参加者の発想力を試すゲームが多かったようで、参加者のみなさんは体よりも頭の方が疲れてしまったかも知れませんが、同じゲームでもアイデアはまさに十人十色。こういう切り口もあるんだなあと、勉強させられること頻りでした。

写真 今回はレポートをアシスタントに丸投げしてしまったので、リーダーは別のことを書きます。「手のうち」みたいなものでしょうかね。たとえばゲームのルールを紹介するときなど。リーダーは全員に向かって喋っているようでいて、実のところそのうちの2、3人に対象をしぼりこんで話をしていることが多いようです。「ようです」というのは、今までその自覚がなかったからで、今回はじめて「おや?」と自分で気づきました。特定の人の反応を見て、うなずいたから説明はもう充分だなとか。笑っているからこの調子でとか。知らず知らずそれを全体のバロメーターにしている(バロメーターという言葉はカタいですね。「バロム・ワン」にします。超人)。問題はバロム・ワンは誰なのかということですね。誰でもいいのか。そんなことはないだろう。

写真 午後1時にワークショップが始まると、しばらくの間はいつも気持ちがオタオタしています。それは誰に向かって話せばいいのかをリーダーがまだつかんでいないせいでしょうね。バロム・ワンさえ見つかれば気持ちは落ち着く。人選を誤まってしまったときはどうするか。あまりその心配はないですね。それというのも「今回はこの人にしよう!」と決め打ちをするものではなく、「あなただったのね!」と発見するものだと思うからです。間違えることはたぶんない。バロム・ワンを探す作業と今回の「神様」のゲームとは、やっていることがよく似ています。それならバロム・ワンは他の人と何がちがうのか。これがむずかしいところです。きっとコミュニケーションのキモがここにあります。

写真 今回のワークショップではバロム・ワンをふたり見つけました。現場に居合わせた方は誰と誰がそうだったかおわかりでしょうか。本人たちは自分がそうだとわかるものでしょうかね。ひょっとしたら気づいていたかもしれないですね。思うに、以上のことは第3回のワークショップでやった「@(アットマーク)」のゲームともきっと関係が深いです。ここら一帯に集団コミュニケーションの重要なカギが隠されているとリーダーはにらんでいます。きっととんでもない宝箱を開くカギが。

 なおバロム・ワン以外の方たちを「ドルゲ」だと思って切り捨てているつもりは全くありませんので、念のため。これは大勢の人たちを相手にするときのコツなのでしょうね。格段に声が出やすくなりますからね。今回はそんなことを考えました。(林)

 参加して下さった皆様、ありがとうございました。

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