△ 不等辺ワークショップ第4回 (2001/06/17)


トップページ > ワークショップ > 第4回

<前一覧次>

写真写真
 私(林成彦)と池田景が、自主活動としてワークショップを企画しました。その模様をお伝えします。10名の俳優にご参加をお願いし、私がリーダーを、池田がアシスタントを務めました。内容は以下のようなものでした。


『ニックネーム』  …自己紹介にかわるゲーム(15分)

写真写真
 各自のファースト・ネームと頭文字が共通することばをひとつ決めてもらい、それをこの場の呼び名にします。ニックネームに関係するアクションやポーズをつけて、ひとりずつ発表してもらいました。

この日の参加者は「リンボリンボ」「クラヤクラヤ」「キミドキミド」「ターバターバ」「アサガアサガ」「カニカニ」「サルサル」「コガラコガラ」「ヒタチヒタチ」「カミフカミフ」のみなさんです。

ニックネームが繰り返しのことばになっているのは、考えてもらったことばを一度アレンジした結果です。ニックネームとアクションを使って簡単なゲームを行ないましたが、やりながらリーダーもアタマが混乱してしまいました。スミマセン。名前を覚えるための工夫がかえって逆効果だったかなと反省しています。
 

『スリリング・ウォーク』  …ウォーミング・アップ(15分)

写真写真
 部屋を走りまわったり歩きまわったりするもの。その途中リーダーがいくつかの指示を与え、バリエーションを加えていきます。

1. リーダーの指示したものにさわって止まる。

カーテン、四角いもの、他のひとのアタマ、両手で別々のひとのアタマ、など。
「紙でできたもの!」と言ったとき。ポケット・ティッシュを取り出したあと、ちょっと考えて封を切り、中のティッシュにさわったひとがいました。リーダーはこれを高く評価したいです。

2. 雨が降ってきたと考え、カサをさして歩く。
3. カミナリに撃たれる。

 雨のケースでは全体を見て動く必要があります。視野の広さ、動き出しの速さなど、個人差が現れやすいゲームだったかなと思います。カミナリのケースでは自発性に任せるのがいいか、ルールを決めて均等に犠牲になるのがいいか、まだ手探りの状態です。これについてはぜひ参加者の意見を聞いてみたいと思っています。
 

『伝書鳩』  …ことばを使わないコミュニケーション(30分)

2チームに分かれ、与えられたお題(四文字熟語)を身体の動きだけで次のハトへと伝えていくゲーム。いわゆる伝言ゲームです。まず相手チームに与えるお題をチームごとに相談して決めます(これを「鳩首する」と言います)。お題は「一日一善」と「容姿端麗」に決まりました。各チームで1羽につき30秒ずつの時間でそれを伝言していきます。

ハトがどうして四文字熟語を知っているのかという鳥類学的な疑問はさておいて…。このゲームはルールの整理が必要なのかもしれません。注意深く観察してそれを再現するというのも意味のある課題ですが、ここではことばを使わずにいかにコミュニケーションを図るかという点に重きを置きたいところでした。次の機会までには、ねらいをはっきりさせたゲームに作りなおします。

『目的と障害1』  …ひとりで行なう表現(ストーリーを作るレッスン)(45分)

写真
 行動の目的とそれを妨げる障害をあらかじめ準備して、60秒間のひとり芝居を上演するというもの。どのように表現するかについては即興に頼る部分が大きくなりますが、なにを表現するかについては10分間で考えをまとめた上で臨んでもらいます。

 上演された「目的」は次のようなものでした。

 このゲームでは「なにを」「どのように」表現するのか、それぞれについてひとりひとりの個性が現れ、それが見どころでした。話の組み立て方では、目的をどの時点で明らかにするのかについて「うまいな」と感じさせる作品がありました。自分の行動をことばでどんどん説明していくタイプの作品が少なかったのが、個人的には意外でした。ストーリーの運びに重点を感じる作品から、丁寧で正確な演技に重点を感じる作品まで振り幅が広く、バラエティに富んでいたという印象があります。
 

『目的と障害2』  …ひとりで行なう表現(シナリオを使った演技)(45分)

写真
 上記の目的のなかから、他のひとが演じたものを割り当てます。どのようにそれを演じるのか、10分ほどで構想をまとめて、改めてひとり芝居を上演するというもの。障害については新しく作りなおすのもOKです。目的は同じでも、自分は「なにを」「どのように」表現するのか、ひとりひとりの趣味や特性がさらに浮き彫りになりました。率直に言って、とにかくおもしろかったです。

 このゲームでは、ひとつの作品ごとに見ていたひとに感想を求めました。このとききちんと(リーダーにではなく)演技者に向かって感想を語ってくれたのも、健全でいいことだったと思います(当たり前のことですけどね)。誰に対してもどんなことでも言える環境が理想だとは言いませんが、ワークショップは風通しがいいほど楽しいものになるような気がします。

 ここで10分ほどの休憩をとりました。

『対話ゲーム』  …ことばによるコミュニケーション(20分)

写真写真
 2人で向かい合ってイスに座り、互いに相手に向かってことばをかけるというもの。相手のことばとは全くつながりのないことばを返すというのがルールです。ことばの内容にどうしても注意が向くため、一対一で向かい合って相手と話をしているんだ、というプレッシャーをあまり感じずにすんだのではないでしょうか。

 このゲームで使ったことばは、相手に向かって語りかけることばだけでした。この他にも、誰にも向かわないことばや複数の相手に向かうことばがあるはずです。これをふまえて、次のゲームではふたり芝居に取り組んでもらいました。

『目的と障害3』  …ふたりで行なう協同的表現(40分)

写真写真
 ペアを作り、先ほどの目的のひとつが割り当てられ、それをふたりの人物が登場する作品に作り変えます。登場人物が無言であってもいいのですが、できればセリフをしゃべり、それがどの種類のことばに当たるのかを意識してみるというのが課題です。

 一連のゲームの中で、次のような特性が浮き彫りになったような気がします。

写真写真
 この段階から先は個々の特性を考慮した上でペアを作ったり、3人以上のグループを組んだり、いろいろと発展の可能性もありそうです。ここが芝居作りのスタート・ラインなのかもしれません。しかしワークショップはこれで終了です。もっと日数に余裕があればなぁ…。これで解散なのが残念です。


 お忙しい中、ご参加くださったみなさん。ありがとうございました。意欲が伝わり、手応えを感じる4時間でした。アンケートを拝見しましたが、みなさんそれぞれやっぱり観察していますね。リーダーについても「観察されていたんだな」と改めて気をひきしめました。手際の悪いところや失礼もあったかと思います。どうぞお許しください。打ち上げの際、すべての方とはお話できませんでした。それはリーダーのテレであると思ってください。もっと修行します(実はあまりお酒に強くないという事情もありました。もっと修行します)。今日はお疲れ様でした。

写真
ご参加ありがとうございました。(池田景)

<前一覧次>


トップページ > ワークショップ > 第4回