△ 「よそびと診療所」シーン15


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照明上手灯り。休憩室。里桜は立ち止まり呆然。椅子に座る。里桜、いぶかしげな表情。

ロッサ 「なんだかいぶかしげな表情ね。」写真
里桜 「ええ…こんなにとんでもない事ばっかり起きてるのに、なんか、すぐに理解できちゃうんです。」
ロッサ 「あぁ、それは治療の副作用ね。輸血した特殊な血液の影響。」
里桜 「副作用?なんか気味が悪いな…」
ロッサ 「やっぱりそう?地球人の医者はみんな似た様な反応になるわねぇ。」
里桜 「私以外にも地球人の医者が?」
ロッサ 「そりゃ千年いますからね、最近で言えば…杉田玄白くんとか緒方洪庵くんとか。」
里桜 「す、杉田玄白ぅ〜?!って全然最近じゃないけど凄過ぎですよそれ!しかもくん付け?!」
ロッサ 「江戸時代末期なんて我々には最近よ。あ、その頃なら松本良順くんとか…」
里桜 「松本良順?!!じゃ、じゃ、もしかして新選組とも?!」
ロッサ 「ああ、あのやんちゃなお兄ちゃんたちね。割と仲良かったけど。」
里桜 「凄い凄い!!まじ凄い!他には?」
ロッサ 「その後は、野口英世くんとか、森林太郎くんとか?」
里桜 「え、森林太郎って…森鴎外?」
ロッサ 「そうそう。そのつながりで夏目金之助くんとか。」
里桜 「金之介?漱石だ!凄すぎる〜!」
ロッサ 「まあ、皆さん同じ様にたまたま事故にあって治療しただけですけどね。記憶も消しちゃったし。」
里桜 「そっか、私のも消されるんだった…」
ロッサ 「でも地球人の記憶を完全消去するのは無理だから、ほんの少し残るみたいだけど。」
里桜 「くそお、全部覚えていたい…」
ロッサ 「医者以外も色んな人を治療したわ。そうそう、あの〇ピルバーグくんや〇ーカスくんもね。」
里桜 「なんですとぉ?!!」
ロッサ 「あ、ちなみにノノ先生もメルさんも彼らの映画の大ファンでね。」
里桜 「え?異星人なのにSF映画とか好きなんですか?!」
ロッサ 「超好き。アニメとかも好きだし、結構あなたと話会うんじゃない?ま、その記憶も消されちゃうけど。」
里桜 「あの…記憶って絶対消さなきゃならないんでしょうか?」
ロッサ 「ええ。規則ですから。もし記憶を消さなかったら…」
里桜 「地球人の科学や医学の進歩に影響する。」
ロッサ 「そう。地球人は自分達の力だけで我々と渡り合える位まで進歩すべき。理解はできるわよね?」
里桜 「はい…。でもそこをなんとか!絶対ヒミツにしますから!」

ロッサ、黙って里桜を見つめる。

里桜 「…あの…じゃ、半分だけでも…」
ロッサ 「フッ、アハハハハハ!血は争えないわねぇ〜。」
里桜 「え?」
ロッサ 「実はね、以前あなたと血のつながりのある医者と何人か関わった事があってね。」
里桜 「私の親戚に?」
ロッサ 「ええ。例えば大正時代の名医、瀬名周作。」
里桜 「え?!それ私のひいひいお爺ちゃんだ!」
ロッサ 「もっとさかのぼれば瀬名貞親。」
里桜 「貞親?…それは聞いたことないな…」
ロッサ 「平安時代の薬師でね、私たちが最初に出会った地球人なの。」
里桜 「え〜っ?!!!」
ロッサ 「他の人も皆さん同じく「半分だけでも記憶を残して欲しいっ」て。」
里桜 「そ、そうなんだ…」
ロッサ 「さ、そろそろ病室に戻りましょうか。」
里桜 「病室?…あ、そうか、私患者だった。」写真
ロッサ 「元気でよろしい。」

ロッサのモバイルのアラームが鳴る。

ロッサ 「あら?監視センサーね。ドアロックが故障?404号室…あ、これ里桜さんのお友達の部屋よ!」
里桜 「ゆっこの部屋?」
ロッサ 「行きましょう!」

里桜、ロッサ足早にハケる。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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