トップページ > ページシアター > よそびと診療所 > シーン14 【公演データ】
明転すると全体灯り。手術室。ノノ、ソルト、メル、里桜、ロッサ、アトラ、モント、ミオ、ハナ、
手術台にはカンナが。
里桜 「確かに見た感じは我々の手術っぽいですね。」
ロッサ 「ガット星人の体は特殊でね、かなり原始的な手術をしないといけないの。」
里桜 「地球人の手術が原始的って事ね。」
ノノ 「バイタルは?」
ソルト 「体温35・8度、血圧110の90正常、脈拍140。高目です。」
里桜 「そう言えばマスクはいつするんですか?」
ロッサ 「しないわよ。」
里桜 「は?」
ノノ 「空気清浄と殺菌、お願いします。」
ミオ・ハナ 「はい。」
ミオ・ハナ、カプセルをかかげる。
ミオ・ハナ 「きよめルンルン!!」
妙なマスクの白ずくめのチームが入って来る。深呼吸やら、たまに手で何か取って口に入れるような動作。
里桜 「うわ、なに?!なに?」
メル 「きよめルンルン。」
ミオ 「空気清浄と殺菌の薬です。」
ハナ 「私たちが作りました。」
里桜 「薬?人間じゃないの?」
ミオ 「人型の薬です。」
ハナ 「私たちが操ります。」
ロッサ 「ってことでマスクは不要。」
里桜 「え〜っ、この時点で地球人の手術とだいぶ違いますけど…」
ノノ 「これより、ガット星人、脚部腫瘍摘出手術を始めます。メスを下さい。」
ロッサ、メスを渡す。ノノ、素早く切る。すぐにメスを返す。
アトラ 「速い!」
モント 「鮮やかだ!」
ノノ 「コッヘルを下さい。」
ロッサ、コッヘルを渡す。ノノ、コッヘルで腫瘍の周りを切る。
ノノ 「見えました、腫瘍です。」
ソルト 「朝より大きくなってますね。」
メル 「もぞもぞしだしたぞ。」
里桜 「え?腫瘍が動いてる?」
ノノ 「怒ってる怒ってる。ソルト先生、上部の固定お願いします。」
ソルト 「はい。」
ソルト、腫瘍を押さえる。
ノノ 「ミオさん麻酔0・5下さい。」
ミオ 「はい。」
里桜 「これ腫瘍ですか?」
ソルト 「そう。体内を移動するやつ。」
里桜 「腫瘍が体内を移動?寄生虫みたい…」
ミオ、ノノに麻酔を渡す。
ミオ 「麻酔0・5です。」
ノノ 「ありがとう。」
ノノ、腫瘍に麻酔の注射を打つ。ミオ、麻酔の注射器を受け取る。
ソルト 「麻酔の効果は?」
ノノ 「約70秒後です。」
腫瘍が急に暴れ出す。
ソルト 「うわっ!暴れ出しました!」
ノノ 「こいつは生きが良すぎる!」
ソルト 「先生、出血です!」
ノノ 「ペアンを下さい!」
ロッサ 「はい。」
ロッサ、ペアンを渡す。ノノ、血管を挟んで止血。
ミオ 「血圧99まで低下です!」
ハナ 「心拍数も200を超えました!」
メル 「脳波も乱れて来たぞ!」
ソルト 「残り45秒。これ、持ちませんよ。」
ノノ 「仕方ありません、ビートを使いましょう!」
メル 「おおっ!ビートだな!」
里桜 「ビートって?」
ノノ 「ロッサ、ステイン・アライブを!」
ロッサ 「承知!」
ロッサが後部の機械を操作。
里桜 「え?ステイン?何?」
音楽がかかる。「ステイン・アライブ」に似た曲。ノノ、ソルト、メル、リズムに乗りながらオペを進める。里桜、唖然。続けて、ロッサ、ミオ、ハナ、アトラ、モント、更にきよめルンルンたちも踊りだす。
里桜 「ちょっと皆さん?!」
ソルト 「腫瘍、ノッって来ました。」
ノノ 「カンシを下さい。」
ノノ、ロッサからカンシを受け取り、腫瘍を押さえる。
ソルト 「麻酔の効果出ました。」
ノノ 「今です!メスを下さい!」
ノノ、ロッサからメスを受け取り腫瘍を切除。
ノノ 「摘出しました!」
ノノ、摘出した腫瘍を掲げ、踊っていたみんなとポーズを決める。仕舞にはカンナも起き上がってポーズ。
里桜 「え〜〜っ?!!麻酔は?!麻酔は?!」
ソルト 「バイタル全て正常。」
曲が消える。ハナ、ミオ、カプセルを掲げる。
ハナ・ミオ 「きよめルンルン、戻れ!」
きよめルンルン、帰って行く。
ノノ 「手術終了。」
みんな喜ぶ。里桜は呆然。
カンナ・ミオ・ハナ 「先生ありがとうございます!」
里桜 「ありえない…こんな手術ありえない…」
通信が入る。ノノが反応し、ソルトと目を合わせ互いに頷く。
ノノ 「では皆さん、私たちはここで失敬。お疲れさまでした!」
みんな 「お疲れさまでした!」
ノノ、ソルト、メル、下手にハケながら
メル 「チョ〜ゴックヒ〜!」
ノノ・ソルト 「し〜〜っ!」
3人ハケる。他のメンバーはゾロゾロと上手にハケるが、里桜だけトボトボと進み、ロッサがついて行く。
(作:松本じんや/写真:はらでぃ)