△ 「背中のイジン(再演)」シーン18


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照明が変わると潤のアパート。花音、典子、周作が入口の前にやって来る。

花音 「ここよ。」

チャイムを鳴らす。

花音 「潤?潤、いるんでしょ?花音よ、開けて。」

潤がフラフラと出て来てドアを開ける。後ろにはレイもいる。

「やあ、花音ちゃん久しぶり。あれ?典子さんも?どうかしたの?」写真
花音 「潤が心配で来たんだよ。」
「心配って?」
レイ 「潤君、誰この人たち?」
「幼馴染の花音ちゃんと、友達のお姉さんの典子さん。」
典子 「え?何?」
周作 「そうか、お二人は見えないんですね?」
花音 「え?じゃやっぱりいるの?」
「いるって?」
花音 「潤、今あなたのそばに女性がいるわよね?」
「(レイを見てデレっとして)いますとも。」
花音 「いい?落ち着いて聞いてね。その女性はね…霊なの。」
「うん、そうだよ。ねぇ、レイちゃん。」
レイ 「ねぇ〜。」
典子 「名前じゃなくて、幽霊だってこと!」
「はぁ?幽霊?なに言っちゃってんですか?」
周作 「本当なんです。」
「え?あなたどなた?」
周作 「周人君の曾祖々父の瀬名周作と申します。初めまして。」
「初めまして…え?瀬名周作って…ホンモノの?」
周作 「はい。」
「それじゃあ…幽霊ってこと?!」
レイ 「きゃ〜〜っ!!」
周作 「いや、あなたが驚くのはどうかな?」

潤、突然倒れる。

レイ 「潤君!」
花音 「潤!」
レイ 「触らないで!」
周作 「しかし…」
レイ 「潤君に触らないでって言ってるの!」
周作 「どうして彼を?」
レイ 「私たちは前世で結ばれなかった恋人同士なの。やっと見つけ出したのよ。絶対離さない!」
周作 「しかしこのままじゃ潤さんは…」
典子 「ねえ、何だって?」
花音 「全然見えないんだけど。」
周作 「つまりその…牡丹灯篭ですよ。」
典子 「牡丹灯篭?」
周作 「知りませんか?怪談話です。亡霊の女が夜な夜な男の家に通って命を…」
花音 「ああ、あの話か…え?…って事は…やっぱりこのままじゃ潤は…」
周作 「レイさん、あなたの気持ちはお察しします。ですがいけません。彼の命を奪っては。」
レイ 「大丈夫よ!潤君、天星会に行って助けてもらいましょう。」
「そうだね、レイちゃん。」
周作 「天星会?」

潤、起き上がって出かけようとする。

花音 「ちょっと待って、どこに行く気?」
レイ 「邪魔をしないで!」

レイが手かざしするとキーンという音が鳴り、3人とも金縛りにあう。

花音 「う…何これ…」
典子 「体が…動かない…」
周作 「金縛り?…」

その隙に潤とレイが部屋を出る。

花音 「あ、ちょっと…潤…」
典子 「どうしたら…いいの…これ…」
周作 「わか…りません…」

外でバイクが発進する音。突然金縛りが解ける。

典子 「おわ!動ける!」
花音 「解けた!」
周作 「きっとレイさんと距離ができたからですよ。」

玄関チャイムが鳴る。

典子 「え?誰?」写真

外から花村の声がする。

あきほ 「すみません!どなたかいらっしゃいますか?!」
花音 「この声って…」

典子がドアを開けるとあきほが現れる。

典子 「花村さん?」
あきほ 「やっぱりここか。」
周作 「なんで花村さんが?」
あきほ 「仁志先生は?」
典子 「みっちゃんはいないけど。」
あきほ 「この部屋の人は?」
花音 「潤?」
典子 「今、出てったけど。」
あきほ 「今のバイクか…」

下手にサス。満が出て来る。周作だけ声が聞こえる。

「周作さん…」
周作 「え?満君?」
典子 「みっちゃん?どこどこ?」
「よかった、聞こえるんですね?」
周作 「聞こえますがどうして?」
花音 「聞こえる?何が?」写真
「僕は一時的に意識を飛ばす事ができるんです。」
周作 「意識を?」
花音 「周作さん?」
「今僕は天星会に捕らえられ、悪霊に洗脳されかけています…」
周作 「天星会って…」
あきほ 「え?」
「みんなに知らせて下さい…警察にも…」
周作 「わかりました、すぐに!」

下手サスと共に満、消える。

花音 「周作さん、どうしたの?」
周作 「今、満君の意識と話しました。」
花音 「意識?」
周作 「満君は潤さんが向かった天星会ってとこに囚われて、悪霊に洗脳されかけてます!」
典子 「ちょっと何それ?!」
あきほ 「遅かったか…」
典子 「助けに行こう!」
花音 「でも天星会って…」
あきほ 「連れて行きます。私の車に乗って下さい。」
周作 「ありがたい。」
典子 「じゃ、私だけウチの前で降ろして。バイクに乗り替えてついてく。」
あきほ 「え?あ、はい。」
周作 「警察にも連絡を。」
あきほ 「わかりました。行きましょう!」
花音 「そうだ、周人にも…」

みんなあきほについて行く。花音スマホをかけながらハケる。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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