「インヴィジブル・ファイア」シーン３０ 「インヴィジブル・ファイア」シーン３０トップページ > ページシアター > インヴィジブル・ファイア > シーン３０ 【公演データ】
照明、全体明かり。第七消防隊の消防署。
らくすけ 「姫との連絡は？」
せんた 「ウンともスンとも…」
めい 「本物の姫との連絡がつかないと…」
せんた 「ニッチもサッチも…」
めい 「なんとか会って話ができないかなぁ。」
角田が現れる。
角田 「会わせてやろうか？」
らくすけ 「どわすれ！」
めい 「戻って来れたの？！」
せんた 「お前今、会わせてやろうかって…」
めい 「姫に会えるの？！」
角田 「連れてきた。」
せんた 「え？！」
めぐみ、宇崎、麻耶、里子が出て来る。
角田 「彼女が姫の、本物の生まれ変わりだ。」
せんた 「この人が？」
めぐみ 「初めまして。宇崎めぐみです。」
めい 「ちょっと待って！この人…」
らくすけ 「姫とうり二つだ！」
めぐみ 「え？そうなんですか？」
角田 「ああ、私も驚いた。」
せんた 「姫！いや、めぐみさん！僕らと一緒に消防隊を！」
めぐみ 「ごめんなさい。それはできない。」
めい 「どうして？」
めぐみ 「皆さんの活動は決して悪い事ではないけど、傷つく人もいるの。」
らくすけ 「悪い奴を懲らしめてるだけだよ。」
めぐみ 「それが過激すぎると、いずれ皆さんは恐怖の対象になってしまうわ。」
せんた 「僕らは何百年も我慢していたんだ。多少過激でも、きっとたくさんの人を救えるさ！」
めい 「姫ならわかるはずよ！」
めぐみ 「でもそれは…」
麻耶 「やってみるか。」
里子 「え？何を？」
麻耶 「本物の姫を呼んでみる。」
角田 「そんなことができるのか？」
麻耶 「私一人の力では無理だけど、俊宏君に協力してもらえれば。」
宇崎 「僕が？」
麻耶 「めぐみさんの肩に手を置いて。」
宇崎 「はい。」
宇崎、めぐみの肩に手を置く。麻耶は宇崎の肩に手を置く。
麻耶 「行くわよ。はっ！」
風の様な音がして。照明が揺れると、めぐみ、催眠術にかかった様になる。
めぐみ 「みんな…」
角田 「姫なのか？」
めぐみ 「どわすれ、せんた、めい、らくすけ…やっと会うことができた。」
せんた・めい・らくすけ 「姫！」
めぐみ 「あの時はほんとうにごめんなさい。私、どうかしていたの。大勢の人に迷惑をかけて…地獄に行っても仕方がないと思っていた。」
角田 「僕らこそすまない…姫や姫の家族に、何もしてやれなかった…」
めぐみ 「いいえ、全部私のせい。でもやっとあの世の許しを得て生まれ変わることができました。」
せんた 「何百年も待った甲斐があったよ。」
めい 「私たち、姫とこの仕事を続けたいんだ。」
らくすけ 「一緒にやろうよ！」
めぐみ 「いいえ。それはできない。」
せんた 「どうして？」
めぐみ 「この魂はめぐみさんのもの。めぐみさんが望まないことを無理やりやらせてはダメ。」
めい 「続けられないの？消防隊。」
せんた 「せっかく生きがいを見つけたのに…」
らくすけ 「どうしたらいいんだ…」
めぐみ 「簡単な事よ。」
せんた 「え？」
めぐみ 「現実世界に戻って、めぐみさんと一緒に仕事をすればいい。」
めい 「現実世界で…」
めぐみ 「めぐみさんは人を助ける事を強く想っている人。あなたたちは彼女の力になればいい。」
せんだ 「力に…」
めぐみ 「そして彼女は私。ずっと一緒にいられるわ。」
らくすけ 「ずっと一緒に…」
せんた 「わかった！そうするよ！」
角田 「せんた。」
めい 「それが姫の望みなら！」
らくすけ 「めぐみさんの力になる！」
角田 「みんな…」
めぐみ 「ありがとう。みんな…」
また風の様な音がして、照明がゆれる。めぐみ、元の意識に戻る。
めぐみ 「あ、戻った。」
麻耶 「成功ね。」
宇崎 「ありがとうございます！」
麻耶 「俊宏君の力のお陰よ。」
せんた 「めぐみさん。僕ら、これからはめぐみさんの力になります！」
めぐみ 「あ、ありがとう。なんか急に友達増えたみたいで嬉しい。」
せんた、斧を掲げる。
せんた 「ワンフォーオール！」
らくすけ・めい 「オールフォーワン！」
せんた 「世界の平和のために！そして…」
３人 「めぐみさんのために！」
麻耶 「あれ？なんか焦げ臭くない？」
里子 「まずい！現実世界で火災が広がったのかも！」
角田 「すぐに戻ろう！」
宇崎 「みなさん！協力して下さい！」
せんた・めい・らくすけ 「ガッテンだ！」
全員足早にハケる。
（作：松本じんや／写真：はらでぃ）
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