△ 「インヴィジブル・ファイア」シーン13


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明転するとダブの作戦室。エミリと愛が打ち合わせをしている様子。上底はソワソワしている。
そこへ、麻耶、めぐみ、御厨、里子が入って来る。

めぐみ 「ほんとにごめんなさい…」写真
里子 「いいお兄さんじゃない。」
麻耶 「立派に育ったもんだ。」
めぐみ 「え?」
麻耶 「あ、いや、消防士なんて立派じゃない。」
めぐみ 「ええ、まあ…」
御厨 「おお!こいつは凄い部屋だ!」
里子 「警視庁の狭い部屋よりは。」
瀬名 「今回使用するのはこの作戦室と、隣のメディカルルームになります。」
里子 「エミリさん準備はどう?」
「凄いですよ。一夜にしてとんでもない装置を作っちゃったんです。」
瀬名 「いえ、愛さんや、これから来る助っ人の方の能力もお借りしますが。」
御厨 「その助っ人はまだか?」
麻耶 「そろそろ来るはずです。」
上底 「ソワソワソワソワ…」
御厨 「なにソワソワ言ってんだ上底。」
上底 「だって、ほんとにヤバイやつなんだよ。」
めぐみ 「上底さんがそこまでビビるなんて、なんだか私も怖くなって来ました。」

電気がビリビリいう音。

御厨 「ん?何の音だ?」
上底 「うわ!来るぞ!みんな気をつけろ!」写真

パシーンという音とともに眩しい閃光。

全員 「うわああ!!」

灯りが戻ると中央にひざまずくトモエが現れる。

めぐみ 「え?この人が助っ人?」
麻耶 「今のテレポーテーション?」
トモエ 「ハァイ!」
トモエ以外 「ハァイ。」
トモエ 「WHPOアメリカ本部から助っ人に参りました、トモエと申します。ナイストゥミーチュ。」
トモエ以外 「ナイストゥミーチュ…」
めぐみ 「癖強そう…」

トモエ、上底に気づき近づく。

トモエ 「オウ!久方ぶりぶり!元気してた?お兄ちゃん。」
めぐみ 「お…」
トモエ以外 「お兄ちゃん?!!」
トモエ 「そう。友吉は実の兄。」
御厨 「マジか?」
上底 「マジ、実の妹…」
トモエ 「本名は上底友江と申しますよ。」
麻耶 「妹がいるなんて初耳!」
めぐみ 「ヤバイ奴って、妹さんのことだったんですか?」
トモエ 「ヤバイ奴?」

トモエ、上底を見る。

上底 「ごめんなさい。」
トモエ 「私、ヤバイ奴じゃないよ。」
上底 「ごめんなさい。」
トモエ 「超!ヤバイ奴ですよ!」
上底 「そうでした超ヤバイ奴でしたよ…」
里子 「えっと、どこらへんが超ヤバイのかしら?」
トモエ 「私の能力、実は体ごとサイバースペースの世界に入れるんですわ。」
「え?!じゃ?例の、世界で一人しかいない超能力の持ち主の?」
トモエ 「ダッツゥライ!オンリーワンでナンバーワン!」
「私も魔族なんでそれできます!」
トモエ 「ワーオ!イツクー!!魔族、素敵です!」

トモエ、愛と握手。

めぐみ 「ヤバイというか凄いじゃないですか!」
上底 「いやヤバイんだって…」
トモエ 「そう、もっとヤバイのは、この能力のせいで、世界中から監視されてるって事ですわ。」
御厨 「世界中から?」
トモエ 「やろうと思えば世界中の秘密情報を手に入れる事ができちゃいますので。」
里子 「え〜っ?!!」
上底 「こいつも世界征服できちゃう系なんです…」
トモエ 「だからそんな事させないように、いつもサテライトが狙ってるよ。」
めぐみ 「サテライト?」
トモエ 「衛星レーザー兵器。」
「衛星レーザー兵器って…」
麻耶 「あの『AKIRA』に出てきたみたいな?」
上底 「そう、衛星からレーザーぶち込む兵器。」

みんな一度頭上を見上げ。トモエから一歩引く。

上底 「ヤバイだろ?」
トモエと上底以外 「ヤバイ。」

トモエ、どや顔でサムズアップ。

瀬名 「でも、今の技術じゃ宇宙からレーザーを確実に個人に当てるなんてできないはずです。」写真
トモエ 「そうそう、当たらなければどうという事はない。」
御厨 「シャアか?」
トモエ 「ィヤー!お兄ちゃんと仕事するの、ぐちゃぐちゃ楽しみにしてたよ!」
上底 「めちゃめちゃでしょ。」
里子 「仲良さそうだけどね。」
上底 「いや、中が悪いとかじゃなくて、こいつの能力強過ぎるから、けんかになるとマジで死を覚悟しなけりゃならないんですよ。」
トモエ 「あれは子供の頃の話よ。若ハゲの至りよ。」
上底 「若気ね。」
トモエ 「もう大人よ。ダイジョブ!」

トモエ、サムズアップ。上底、引きつりながらサムズアップ。

麻耶 「ぎこちない。」
御厨 「上底がたじたじなのが面白すぎる。」
瀬名 「初めまして、株式会社ガッティーノの瀬名エミリです。あなたのお噂は兼ねがね。」
トモエ 「あなたが天才プログラマーの?イツプレジャミーチュー!早速システムを!」
瀬名 「これです。」

瀬名、ゴーグルを渡す。トモエ、装着。

トモエ 「ワオ、イツグレイ!こんなすごいシステムみたことないです!」
瀬名 「皆さんにもお渡ししますが、前回のシステムとはかなり違います。」
里子 「見た感じ変わらないようだけど。」
瀬名 「まず、今回、システムの補助に『マードレ』が協力します。」
めぐみ 「え?マードレが?」
麻耶 「スーパーAIが味方なら心強い。」
めぐみ 「凄い!凄い!」
「今回はVRを使わず、まだ実用化されていない『ブレイン・ジャーニー』システムを使います。」
めぐみ 「ブレイン・ジャーニー?」
瀬名 「意識をサイバースペースに送るシステムです。」
麻耶 「じゃあ、我々もトモエさんみたいに、コンピューターの中で動けるって事?」
瀬名 「トモエさんや愛さんのように体ごとではなく、意識だけですが。」
里子 「体はこっちに残るのね。」
「そして、タイムリミットもあります。」
瀬名 「約一時間。人によって誤差はありますが。リミットを超えると精神的ダメージを受ける可能性もあるので注意も必要です。」
御厨 「なんか怖いな。」
瀬名 「そのためにマードレに補助してもらいます。」
里子 「早速作戦の内容を。」
瀬名 「今回は私と愛さんで作戦を練りました。」
「僭越ながら。」
瀬名 「目的は消防隊と角田さんの行動の真意を探ること。」
「そして父を見つけること。」
瀬名 「今回は、消防隊を探しに行くのではなく、おびき寄せます。」
めぐみ 「おびき寄せる?」
「偽の炎上を同時多発に起こして、混乱に乗じて情報を収集するんです。」
瀬名 「みなさんには被害者役をやって頂きます。私は犯人役です。」
「もし、サイバースペース内で戦う状況になれば、私と里子さん、そして未知数ですがトモエさんの3人で応戦します。」写真
トモエ 「私は秘密兵器ね。」
瀬名 「そしてネット内に我々の安全地帯を設けました。」
「マードレの作ったアプリが我々の基地になります。」
里子 「危険な場合はそこに逃げ込むって事ね。」
めぐみ 「そのアプリって…」
瀬名 「『アニマル・ノア』です。」
麻耶 「アニマル・ノアが我々の基地になるんだ。」
めぐみ 「なんか嬉しい!」
御厨 「なんかよくわからん。」
瀬名 「まずは慣れてもらうために、メディカルルームで軽く練習してから作戦開始しましょう。」
めぐみ 「なぜ医務室に?」
「ブレインジャーニーを使っている間、皆さんの体はベッドの上ですから。」
上底 「あぁ、そういうことね。」
瀬名 「じゃ、行きましょう。」

みんな動き出し、ゆっくり暗転。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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