△ 「インヴィジブル・ファイア」シーン11


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上手サスにめぐみ、下手サスには麻耶。

めぐみ 「警視庁が使えなくなり、本部を我々の職場、ダブの日本支部に移す事になりました。場所は東京都多摩市。聖蹟桜ヶ丘駅前のビルの地下。そう、実は今みなさんがいるこのビルの地下200メートルにあるんです。」
麻耶 「でもこの施設、外部の者を入れる時がめんどくさくて、パスワードを使って普通のエレベーターを特殊エレベータに変えなきゃならない。」
めぐみ 「しかも一般のお客さんも利用するから、誰もいない隙を狙って乗らなきゃならない。」
麻耶 「ま、秘密組織ですからしょうがないですが…」
麻耶・めぐみ 「めんどくさい…」
めぐみ 「あ、いらっしゃいました。」写真

照明が明るくなるとオーパ一階のエレベーター乗り場近く。御厨と里子が歩いてくる。めぐみ、手を上げる。

めぐみ 「こちらです!」
麻耶 「ようこそダブ日本支部へ。」
里子 「宜しくお願いします。」
御厨 「なにげに俺はここ来るの初めてだ。」
めぐみ 「そうなんですか?」
里子 「エミリさんと愛ちゃんは?」
めぐみ 「もうすでに下で新しいシステム立ち上げてますよ。」
御厨 「早いな…」
麻耶 「今、エレベーター準備します。」
里子 「ここのエレベーターめんどうなのよね。」

エレベーターは下手寄り。麻耶がボタンを操作しはじめる。上手から宇崎と大久保が現れる。

大久保 「これで全部点検終了ですね。」
宇崎 「ああ…」
大久保 「ん?なんすか?なにか見落としでも?」
宇崎 「いや、そうじゃなんだけど、このビルの構造、前から何か違和感あるんだよね。」
大久保 「あ、曽田さんも似たような事言ってましたよ。確かエレベーターとか地下とか…」
宇崎 「そうそう、そのあたりに何か無理のある作りがあって…」

宇崎がエレベーターの方を見ると、めぐみを発見。

宇崎 「あれ?めぐみか?」
大久保 「え?」

2人、エレベーターに近づいていく。

御厨 「来たか?」
麻耶 「あ、ダメです、4階から人が乗っちゃいました。」
宇崎 「めぐみ?」
めぐみ 「え?!あ!なに?こんな所で何してるの?」
宇崎 「それはこっちのセリフだよ。」
大久保 「めぐみさんお久しぶりです!」
めぐみ 「あ、大久保さんお久しぶりです。」
宇崎 「うちらはここの消防設備点検に。」
麻耶 「どなた?」写真
めぐみ 「あ、兄とその同僚です。」
麻耶 「お兄さん?あ、あの時の…」
めぐみ 「職場の先輩の服部さん。」
宇崎 「あ、いつも妹がお世話になっております。」
麻耶 「いえいえ、とても優秀な妹さんで助かってます。」
宇崎 「そちらは?」
めぐみ 「あ、えっと、こちらはその…」
里子 「市役所のものです。こちらも。」
御厨 「あ、はい。多摩市役所の職員です。」
めぐみ 「そうそう、この上の公民館でネットゲームのイベントがあって、その打ち合わせで。」
麻耶 「ええ、そうなんですよ。すみませんいつもめぐみさんを夜遅くまで…」
宇崎 「いや、良かったです!」
麻耶 「え?」
宇崎 「仕事とかウソついて、てっきり悪い虫でもついたのかと…」
めぐみ 「ちょっとお兄ちゃん!」
麻耶 「妹思いのいいお兄さんですね。」
宇崎 「あの、めぐみ、なんか仕事場のもの壊したりしてませんか?」
麻耶 「は?」
宇崎 「パソコンとかコピー機とか空調機とか?」
めぐみ 「壊すわけないでしょ!何言ってんのよ!」
麻耶 「ええ、何も壊してませんよ。」
宇崎 「そうですか、それは良かった…」
里子 「あ、エレベーター、来たみたいですよ!」
麻耶 「行きましょう。では失礼します。」
めぐみ 「今日も遅くなるから!」

里子、御厨、麻耶、めぐみ、そそくさと下手にハケる。宇崎、ため息。

大久保 「あの…めぐみさんて、ああ見えて結構バイオレンスな感じなんですか?」
宇崎 「え?」
大久保 「キレると電化製品壊しちゃう系の?」
宇崎 「いや、まあ、昔ちょこっと…」写真
大久保 「え〜…人は見かけに寄らないなぁ。」

彼らの後方に白い服の女性が現れ、宇崎をチラッと見て通り過ぎる。宇崎がそれに気づく。

宇崎 「あ…」
大久保 「え?なんです?」
宇崎 「大久保、先に戻ってくれ。俺ちょっと用事済ませてから戻るわ。」
大久保 「あ、はい。じゃ。」

大久保、怪訝そうに立ち去る。宇崎、女性を追う。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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