△ 「インヴィジブル・ファイア」シーン3


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照明が上手サスに変わり、去った宇崎を見送るように宇崎めぐみがサスに入る。

めぐみ 「ども!私は宇崎めぐみ。あの心配性の…失礼、妹思いの消防士は私の兄。いい加減妹離れしてほしいもんです。まあ心配の原因は、私が持っている普通じゃない能力のせいでもあるんですが…。え?どんな能力かって?えっと、わかりやすいので言えばこんなのです。(手かざし)はっ!」写真

めぐみの手かざしで照明が変わる。

めぐみ 「よっ。」

別の方向に手かざしするとまた照明が変わる。

めぐみ 「ほい。」

正面に手かざしすると。客電がつく。

めぐみ 「あ、失礼。」

手を振ると元の照明に戻る。

めぐみ 「これはけっこう分かりやすいやつで、もっと細かい技とかも…」

下手サスが着くとめぐみの上司、服部摩耶(はっとりまや)が立っている。

麻耶 「ま、これ、俗に言う超能力です。」
めぐみ 「あ、私の上司の服部麻耶さんです。組織に入った時から凄くかわいがって下さってる素敵な上司で…」
麻耶 「そういうのいいから。(咳払いして)我々は超能力者による犯罪を超能力者によって阻止する組織…」

字幕『WHPO世界高度能力者機構 通称『ダブ』』

麻耶 「WHPO世界高度能力者機構 通称『ダブ』の日本支部エージェントです。」

字幕、ゆっくりフェードアウト。

めぐみ 「兄は私が超能力者って事は知ってますが、仕事はプロクラマーって事になってるんでエージェントだって事は知りません。一応秘密組織なんで。」
麻耶 「今回我々は、捜査の協力をするために警視庁の公安部に呼ばれました。」
めぐみ 「今、巷を騒がせている『ネット消防士』の件らしいのですが、この騒ぎ、最初に知った時からどうも妙な胸騒ぎがしていて、今回の要請には自ら志願させて頂きました。まだ新人なんですけどね…」

照明が変わると警視庁の待合室。めぐみはそわそわ。麻耶はスマホをいじっている。

めぐみ 「結構待たされますね。」写真
麻耶 「いつもこんなもんよ。」
めぐみ 「そうなんですか。でもやっぱり緊張しますよね。警視庁の本部って…」
麻耶 「ハイハイ、今ご飯あげましゅね〜。」
めぐみ 「え?ご飯?」
麻耶 「あ、ごめんごめん、ゲーム。」
めぐみ 「え?ゲームやってたんですか?!余裕ですね。」
麻耶 「いやこれ今ハマっててね。アニマル・ノア。」
めぐみ 「え、うそ?!私もハマってます!」

後ろから公安8課の客間里子(かくまさとこ)が入って来る。

麻耶 「お〜、めぐみちゃんもハマってたか。」
めぐみ 「なに育ててます?」
麻耶 「コアラ。」
めぐみ 「(スマホを覗き込み)あ、かわい〜!」
麻耶 「めぐみちゃんは?」
めぐみ 「レッサーパンダです!」
麻耶 「レッサーパンダもかわいいよね!」
めぐみ 「そうなんですよ!」
里子 「私はチャボ。」
麻耶 「チャボ…え?チャボなんて…」写真

麻耶、めぐみ、後ろの里子に気づき固まる。

里子 「いますよ。チャボ。」
麻耶 「失礼。全然気づかなかった。」
里子 「ま、座敷童の血も入ってますからね。」
めぐみ 「座敷童?」
麻耶 「うちの新人エージェントの宇崎めぐみ。」
里子 「公安8課の客間里子。『時止童(とどめわらし)』っていう妖怪です。宜しく。」
めぐみ 「すごい!初めて本物の妖怪さんにお会いしました!宜しくお願い致します!」
里子 「人間の血も4分の1入ってますけどね。じゃ、行きましょう。」

3人ハケる。暗転。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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