△ 「宇宙海賊とヒミツの星」シーン8


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照明、上手の手前のみに。ヘル・キティーのコックピット。

ゾネス 「よ〜し!このままブッ飛ばして食らいつけ〜!」写真
パール 「アイアイ!」
ルビー 「あれ?笑いが止まってる!」
パール 「ホントだ、良かった〜!」

アラームが鳴る。

パール 「わ!まずいです!ブラッディー・スカル、ワープします!」
ゾネス 「ワープする前に食らいつけ!」
パール 「駄目です!間に合いません!」
ゾネス 「ワープされたら追いかけようがなくなっちまうだろ!」
ルビー 「巻き込まれたら木っ端微塵になりますよ!」
パール 「回避します!!」

爆音と閃光と悲鳴。

パール 「フゥ…助かった。」
ゾネス 「ああも〜くっそお!また逃げられた〜〜っ!!!」

ゾネス、コックピットで暴れる。

ルビー 「落ち着いて下さい!!」
パール 「コックピットで暴れると危険です!!」
ルビー 「はいはい落ち着いて〜深呼吸しましょう。ひっひっふう〜。」
ルビー・パール 「ひっひっふう〜。」
3人 「ひっひっふう〜。ひっひっふう〜…。」
ルビー 「…落ち着きました?」
ゾネス 「落ち着いたけど、なんか違くね?これ?」
パール 「あれれれ??」
ゾネス 「なに?」
パール 「貨物室に何か乗ってます。」
ゾネス 「モニター、ポチッとな!。」
パール 「ポチッとな!」

パールがボタンを押すと上手奥が明るくなる。

ゾネス 「誰だこいつら?!」
ルビー 「あ、さっきの乗客たちですよ!始末しましょうか?」
ゾネス 「待て、役に立つ奴がいるかもしれない。見に行こう。」
ルビー 「役に立たない奴は?」
ゾネス 「外に放りだせ。怪しい奴もな。パールも自動操縦にしてついて来い。」
パール 「アイアイ。」

3人、コックピットから貨物室へ。照明、上手全体に。

ロー 「どうしたもんかね?」
テル 「臨機応変で行きましょう。」
ライム 「誰か来る。」

女海賊3人入って来る。

ルビー 「動くな!」
ゾネス 「海賊船に密航とはいい度胸してるじゃない。」
ヴァイス 「間違って乗り込んだんです。」
ゾネス 「そりゃ運が悪かったね。全員今すぐ宇宙に放り出したいところだけど、利用できる奴は生かしてやってもいい。何か言いたいことは?」
アハト 「さっきのコントが見たいぞ。」写真
ゾネス 「お前からぶっ殺す。」
ヴァイス 「待って下さい!」
ルビー 「動くなって言ってんだろ!」
ヴァイス 「この子は、クライン王国のアハト王子です!」
ゾネス 「なに?」
パール 「嘘つけ。王子が一般客と一緒にいるわけないだろ。」
ヴァイス 「疑うのならIDを。王子。」
アハト 「ほい。」

アハト、腕を差し出しパールが読む。

ゾネス 「嘘なら速攻殺す。」
パール 「え?!うそ?!」
ゾネス 「やはり嘘か。」
パール 「いや違う違う、嘘じゃなく本物です!」
ゾネス 「本物?こいつが?」
アハト 「さようじゃ。」
ヴァイス 「もし王子に何かあれば、あなた方と我が国は戦争になります。」
ルビー 「戦争…」
ヴァイス 「申し遅れました。私はクライン王国家老兼王子の世話役、ヴァイスと申します。」
ゾネス 「面白い。とりあえずキープにしてやる。」

ゾネス、次はジローに

ゾネス 「お前は?」
ジロー 「僕はジロー・スズキです!お会いできて光栄です!」
ゾネス 「は?」写真
ジロー 「実は僕、昔から宇宙海賊になるのが夢だったんですが、両親に反対されまして…」
ルビー 「ま、賛成する親はいないわな。」
ジロー 「サラリーマンやってたんですがどうしても夢を捨てきれなくて、仕事辞めて海賊になろうと。」
パール 「わざわざ脱サラして宇宙海賊?バカなの?」
ジロー 「ゾネスさん!僕を仲間に入れて下さい!」
ゾネス 「うちは男子禁制だ。」
ジロー 「承知の上です!お茶くみでも皿洗いでもパシリでもなんでもします!」
ゾネス 「残念だが間に合ってる。ルビー、外に放り出せ。」
ルビー 「アイアイ。」

ルビー、ジローを連れて行こうとする。ライム、我慢しきれず。銃を構える。

ライム 「待ちなさい!」

ゾネス達も構える。

ゾネス 「おっと、正義感の強いお姉さんだね。あんたは?」
ライム 「ジャスミン探偵団のライムよ。」
ヴァイス 「ら、ライム?!」
ライム 「お、お久ぶり。」
ヴァイス 「うそ、全然顔が違う!」
ライム 「その話はまた後で。」
ゾネス 「お〜これはこれは、あの有名なジャスミン探偵団の。」
ルビー 「ライムってあの…」
パール 「元銀河連合諜報部員の?!」
ロー 「ねえ…」
テル 「わかってる…」
ゾネス 「あんたも残念ね、3対1じゃ勝ち目はない。」

テルとローも銃を構える。

テル 「これで3対3だけど。」
パール 「なんだお前ら?!」

シンドバッドも銃を構える。

シンドバッド 「じゃ、これで逆転。」
ルビー 「サラリーマンまで!」

ヴァイスも銃を構える。

ヴァイス 「一応僕も持ってます。」
アハト 「わらわもなんかくれ。」
ヴァイス 「どうぞ。」

ヴァイス、ペロペロキャンディーを渡す。アハト構える。

アハト 「てい!…ん?これどうやって使うのじゃ?」
ヴァイス 「構えていれば大丈夫。」
ルビー 「ふん。武器を持ってりゃ勝てると思ってんのか?」
パール 「宇宙海賊をなめんな。」
ロー 「生憎うちらも素人じゃないんで。」
ゾネス 「何者だ?」
テル 「こうなったら隠しててもしょうがないわね。私は銀河連合特務捜査官のテル。」
ロー 「同じくロー。」
ライム 「特捜?」
テル 「あなたの後輩です。」
ロー 「お噂はかねがね。」
ゾネス 「(シンドバッドに)お前もか?」
シンドバッド 「いえ、私はこういうものです。」

シンド、名刺を渡す。ゾネス受け取る。

ゾネス 「あ、どうも。…バウンティー・ハンター シンドバッド…って賞金稼ぎ?!」
シンドバッド 「はい。」
ルビー 「どうします?手強そうな敵ばっかりですよ。」
テル 「確かに敵同士だけど、ここは一つ、手を組むってのはどうかしら?」
ゾネス 「ハハハハ!!うちらを撲滅しようとしてるあんたらと手を組めって?」
ロー 「ここで無駄に血を流すよりずっと賢い手だと思うよ。」
ゾネス 「うちらになんの得がある?」
テル 「協力すれば、今回に限り連行を見逃してあげるわ。」
シンドバッド 「それは残念。この方たちも結構な賞金になるのですがね。」
テル 「もう一つ、あなた、スライスの居所を知りたいんじゃない?」
ゾネス 「あいつの居所わかるのか?!」写真
テル 「ええ。」

ロー、発信機を取り出す。

ロー 「さっきの騒ぎの最中、発信機を海賊たちに取り付けたのさ。」
テル 「我々もスライスを追っている。目的は一緒じゃない?」
ゾネス 「ちっ…足元見られてるみたいでむかつく…」
ロー 「でも悪い話じゃないよね?」
ルビー 「ちょっとタ〜イム!」

ルビー、パール、ゾネスを連れて後ろへ。

テル 「ライム先輩も手を貸して頂けませんか?」
ライム 「いや、しかし私もジャスミンを探さないと…」
シンドバッド 「なら協力すべきです。」
ライム 「どういうこと?」
シンドバッド 「ジャスミンさんたちも今スライスたちと一緒です。」
ライム 「なんでそんなこと?」
シンドバッド 「私の発信機、ジャスミンにもつけさせて頂いたもので。」
ライム 「え?」
シンドバッド 「有名人ですからね。船で見かけてすぐつけました。良い情報源になるかと思いまして。」
ロー 「抜かりないね。」
シンドバッド 「それで食べてますので。」
ライム 「わかった、そういう事なら手を貸すわ。」

女海賊3人前にまわる。

ルビー 「どう考えたってうちらを利用して最後に捕まえる気ですって!」
ゾネス 「百も承知よ。それでも今はスライスを見つけるのが最優先だ!」
パール 「どうしてそこまで…」
ゾネス 「もやもやして気持ち悪いんだよ!早くあいつとの勝負にケリをつけたいんだ!」
ルビー 「いつになく燃えている…」
ゾネス 「とにかく今は乗ったフリして最後は裏切ればいい。」
ルビー・パール 「なるほどっす。」

3人、みんなの前に戻り

ゾネス 「お前らの条件は理解した。話を聞かせてもらおう。」
テル 「ではまずは奴らのワープを追いかけましょう。ロー、受信機。」
ロー 「あいよ。これをこの船にセットしな。」
ゾネス 「パール。」
パール 「アイアイ。」

パール、受信機を受け取ってハケる。

テル 「それと、(ヴァイス、アハトを指さし)彼らはだけ別の部屋に移せる?」
ゾネス 「ルビー、VIPルームへお連れしろ。その脱サラくんも。」
ジロー 「え?いや、僕にもお手伝いさせて…」
ゾネス 「足手まといだ。」
ジロー 「ですよね…」
アハト 「え?!うちらだけのけ者か?」
ルビー 「特別待遇でございますよ。」
アハト 「つまらん!」
ヴァイス 「ではお部屋で武器の使い方のお勉強でも。」
アハト 「おお、それは面白そうじゃ!」
ルビー 「ついて来な。」
ヴァイス 「はい。」

ルビーに連れられながら

アハト 「で、結局これはどんな武器なんじゃ?」
ヴァイス 「キャンディーです。」
アハト 「キャンディーか。…キャンディーじゃとお?!」
ヴァイス 「欲しいですか?」
アハト 「いらぬわ!」

アハト、ヴァイスにキャンディーを返す。4人ハケる。暗転。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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