「宇宙海賊とヒミツの星」シーン９

トップページ > ページシアター > 宇宙海賊とヒミツの星 > シーン９　【公演データ】

明転すると、ブラッディー・スカルの一室。椅子に座って寝ているアーモンド。
シーン２と同じ様に、傍らにはジャスミンとフェンネルがいる。アーモンドが目覚める。

アーモンド「ううっ…」
フェンネル「気が付いた。」
ジャスミン「アーモンド？大丈夫？」
アーモンド「…あれ？僕…寝てた？…あれれ？フェンネルさん？」
フェンネル「ええ。」
アーモンド「…そうかこれって治療か…え？じゃ、もしかして今のは全部夢？！」
ジャスミン「アーモンド。残念だけど夢じゃないわ。」

僧侶２人がフラフラ出て来る。

コメッツ「うう…海賊とは本当に乱暴でございますね…」
マルティネス「コメッツ。命がある事に感謝じゃ、これも御仏のお導き…」
アーモンド「なんだ…夢なら良かったのに…。」
ジャスミン「ほんとね。」
アーモンド「ここは？って言うかなんでフェンネルさんがいるの？」
ジャスミン「ここはスライス海賊団の宇宙船。」
フェンネル「私も騙されて連れて来られたの。少し前に。」
アーモンド「騙された？」
フェンネル「簡単に言えば治療に呼ばれた。キャプテン・スライスの。」
アーモンド「スライスの？病気なの？さっき見た時はピンピンしてたけど？」
フェンネル「それが…」
アーモンド「ひどい事されてない？治療しないと殺してやるとか言われたんでしょ？」
フェンネル「いえ、そうではなくて…」
アーモンド「許せない！銀河最強だろうがなんだろうが、絶対やっつけてやる！」
ジャスミン「落ち着いてアーモンド。実はそうじゃないらしいの。」
アーモンド「そうじゃないって？海賊は海賊だろ？僕みたいにコールド・スリープにされた人たちを売り飛ばして儲けてる最低の奴らじゃないか！」

メイ、ロジャー、バーディー、ハルバールが入って来る。

メイ「アーモンドさんの言う通りです。」
アーモンド「アンナちゃん…いや、ほんとはメイちゃんなんだよね…」
メイ「宇宙海賊はみんな最低。でもうちの海賊団は少し違うの。」
アーモンド「違うってなにが？コールド・スリープ・カプセルを奪ってないとでも？」
メイ「いえ、奪っているわ。」
アーモンド「じゃあ同じじゃないか！」
メイ「でも売り飛ばしてはいないの。」
アーモンド「売らないでどうしてるんだよ。」
メイ「それは…言えない…」
アーモンド「ほら見ろ！海賊なんて嘘つきばっかりだ！」
ジャスミン「アーモンド…」
ロジャー「ジャスミンさん、アーモンドさん。まずは我々の本当の依頼をお聞き下さい。」
ジャスミン「こちらもそれが聞きたかったところよ。」
バーディー「お願いだ、キャプテンを助けてくれ…」
ハルバール「キャプテンがおかしくなってしまって…我々どうしたらいいかわからなくて…」
フェンネル「私には治療を。あなた方には原因の究明を依頼したいって。」
アーモンド「助ける？海賊なんか助けたらまた悪い事するじゃないか！ジャスミン、助けることないよ！自業自得だよ！」
ジャスミン「アーモンド、これはそんな単純な話じゃなさそうなの。」
アーモンド「助ける気？！もしかして報酬が高いの？そのお金は悪い事して手に入れたお金じゃないか！僕はごめんだね！絶対手伝わない！」
メイ「アーモンドさん、あなたは別なの。」
アーモンド「別って？」
メイ「推理とは別に、あなたの能力が必要なの。」
アーモンド「僕の能力？」
ジャスミン「アーモンドのジニアスはまだ覚醒していないわ。本人さえまだ知らないの。」
メイ「それがわかるのです。キャプテンには。」
アーモンド「え？」
ロジャー「そして、あなたのご両親の情報も。」
アーモンド「僕の…両親の情報…？…ふん！そんな事言ってどうせ僕を騙すきだろ！」
フェンネル「それが…嘘でもなさそうなの…」
アーモンド「え？」
メイ「とにかく今からキャプテンに会って下さい。」
バーディー「今はキャプテンなのか？」
ハルバール「さあ？運が良ければキャプテンかも。」
マルティネス「あの、もし。我々はどうなるのだ？大事な用があるのだが。」
ロジャー「火星の寺院に呼ばれて布教活動ですか？」
コメット「え？なぜその事を？」
メイ「すいません、それも嘘の情報です。」
コメット「は？」
メイ「最初からここに連れて来るつもりでした。マルティネスさんの能力も必要なので。」
コメット「師匠の能力？」
マルティネス「その嘘には気づかなんだ…私もまだまだだな。」
メイ「ではキャプテンの所へ。」

メイを先頭に全員ハケる。

（作：松本じんや／写真：はらでぃ）

＜前｜一覧｜次＞

表紙更新話題紹介戯曲日誌公演実験稽古人物関連連絡目次

トップページ > ページシアター > 宇宙海賊とヒミツの星 > シーン９　【公演データ】