△ 「宇宙海賊とヒミツの星」シーン6


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パンを食べて来た人たちが次々に戻って来る。

アーモンド 「いや〜美味しかったですね〜。」写真
アンナ 「天然素材の焼き立てパンなんて久しぶりに食べました。」
アーモンド 「僕も多分久しぶりです。食べた記憶はないけど、すごく懐かしい味がしました。」
アンナ 「それも千年前の記憶ですね。」
アーモンド 「千年前は天然素材のパンしかなかったですからね。」

アハトがよそ見をしながら走って来てアーモンドにぶつかる。2人コケる。

2人 「わあ!」
アハト 「いたたた…気をつけい!」
アーモンド 「ぶつかって来たのはそっちだろ!」

ジャスミン、ライム、ショーンが近づいてくる。

ジャスミン 「大丈夫?」
アーモンド 「大丈夫だけど…」
アンナ 「お怪我はありませんか?」
アーモンド 「はい!平気です!」

アハトが間に入る。

アハト 「主!名はなんという?」
アンナ 「え?あ、アンナです。」
アハト 「アンナか。可愛いのぉ。結婚してやっても良いぞ!」
アーモンド 「なななななに言ってんの君?!」
ライム 「なんだこのクソガキ?」
アハト 「クソガキとはなんだクソババア!」
ライム 「なんだとぉ!」

アハト、後ろから追って来たヴァイスにつかまる。

ヴァイス 「王子!」
アハト 「あ、しまった!」
アーモンド 「王子?」
ライム 「あんたが保護者?」
ヴァイス 「はい申し訳ありません。」
ライム 「いったいどういう教育してん…」

ライム、ヴァイスの顔を見て息を飲む。

ヴァイス 「…あの、どうかされました?」
ライム 「あ、いや、いやいやいや…」

ライム、ジャスミンの後ろに隠れる。

アハト 「焼き立てパンを食べに行っても良いと言うたではないか!」写真
ヴァイス 「食べ終わったらすぐに部屋に戻るという約束です。」
アハト 「少しぐらいよいではないか!」
ヴァイス 「では火星行きは取り止めます。」
アハト 「ふん!やれるものならやって…」

ヴァイス、モバイルで通信。

ヴァイス 「こちらヴァイス。至急迎えの船を…」
アハト 「待て待て!わかったからやめい!」
ヴァイス 「では戻りましょう。」
アハト 「くっそぉ、今に見ておれ…」

アハト、ヴァイスに連れられてハケる。

アンナ 「ほんとに色んな人がいますね。」
アーモンド 「むかつくやつもね。」
アンナ 「星でも見ましょうか。」
アーモンド 「はい!」

ライム、ホッとする。

ジャスミン 「なに?」
ライム 「いやなんでも。」
ジャスミン 「まるで元カレにでも出くわした様なリアクションして。」

ライム、焦って口をあんぐり。

ライム 「か〜〜っ!」
ジャスミン 「え?そうなの?」
ライム 「いや…まあ…その…」
ジャスミン 「珍しいわね、そんなにうろたえるなんて。」
ライム 「え、あ、はい…」
ジャスミン 「って言うかあんた顔変えてるんだからバレないでしょ?」
ライム 「まあ、そうなんですけどね…でもなんであいつこんな所に…」
アンナ 「宇宙って広くてきれいですね。」
アーモンド 「そうですね。」
アンナ 「あ、あれ彗星かしら。」
アーモンド 「あ、ホントだこっちに来るみたいに見える。」
ルビー 「来たわ。」
パール 「時間通り。」
ルビー 「さすがキャプテン。」
アーモンド 「あれ?ホントにこっちに来てるぞ。なんだあれ?」

急に船内にアラームが鳴る。

アーモンド 「なんだ?」写真
アナウンス 「緊急事態。緊急事態。海賊船が接近しています。」
アーモンド 「海賊?!」
ジロー 「き、来た!!」
アナウンス 「乗客の皆さんは係員の指示があるまでその場で待機願います。」

後ろに映像。客船に迫る海賊船「ヘル・キティー」。

ライム 「あの海賊船は!」
ジロー 「へル・キティーだ!ゾネス海賊団の船だ!!」
ジャスミン 「ゾネス?」
ジロー 「銀河一狂暴でキュートな女性海賊団です!!」
テル 「あれ?」
ロー 「おかしくね?」
シンドバッド 「予定と違いますね。」

アハトが飛び出して来る。

アハト 「どこじゃどこじゃ?!宇宙海賊はどこじゃ!」

ヴァイスが追って来る。

ヴァイス 「王子!その場で待機だって言ってたでしょ!!」
アハト 「あれが海賊船か!初めて見るぞ!」
ライム 「まずい、この船、コントロールを乗っ取られてます。」
ジャスミン 「とりあえず様子をみましょう。」
アンナ 「怖い…」
アーモンド 「大丈夫、僕が守ります。」

アラームが止まり照明が変わる。中央にルビーとパールが立ち天井に銃を撃つ。全員悲鳴。

ルビー 「はい見なさんちゅうも〜く!」
パール 「この船は我々が乗っ取りました。」
アーモンド 「乗っ取った?」
パール 「せっかくの船旅の邪魔をしてごめんなさいね〜。」
ルビー 「私たちはゾネス海賊団のルビーと!」
パール 「パール!」
ジロー 「本物だ〜…」
ルビー 「そしてただいま到着したのが」
パール 「我々のボス!」
ルビー・パール 「キャプテン・ゾネス様だ!」

ゾネス、見えない。乗客たちキョロキョロ探す。ゾネス、ルビーとパールの間を割って登場。

ゾネス 「邪魔!」
ルビー 「しゃあせん!」
ゾネス 「ってかいつも邪魔!」
パール 「しゃあせん!」
ゾネス 「こう言うの登場が肝心だって言ってるでしょ?」
ルビー・パール 「しゃあせん!」
ゾネス 「後で反省会。」
ルビー・パール 「うっす。」写真

ゾネス、乗客に

ゾネス 「私が銀河一の女海賊、キャプテン・ゾネス様だ!」
アハト 「小さい。」

ヴァイス、慌ててアハトの口を塞ぐ。

ゾネス 「誰だ今言ったの!」
ジロー 「かわいい!!」
ゾネス 「ありがとう!」
マルティネス 「我々をどうする気だ?」
ゾネス 「大丈夫、おとなしくしてれば手は出さん。」
ルビー 「お宝をうちの船に積みかえれば終わりだ。」
マルティネス 「仲間がいるのか?」
パール 「運ぶ作業はこの船のコンピューターに任せてるわ。」
ルビー 「船中の電子頭脳はもうこっちの手の内よ。」
ライム 「中々やりますね。」
ジャスミン 「ええ。」
ルビー 「あれ?おかしい…」
パール 「どうした?」
ルビー 「作業が進んでいない。」
ゾネス 「なに?!どういうこと?!」
ルビー 「って言うか、お宝が違う宇宙船に運ばれてる!」
パール 「まさかそれって…」
ゾネス 「またあいつじゃ…」写真

大きな音と共に船が揺れ、全員悲鳴。映像、客船のすぐ脇の空間が歪み、巨大な宇宙船がワーブして来る。

宇宙海賊船 「ブラッディー・スカル」
コメッツ 「うわあ!今度はでかいのが来ました!」
ジロー 「ぶ、ブラッディー・スカル!!スライス海賊団の船だ!!」
アーモンド 「スライス海賊団?」
ライム 「まずいですね。」
ジャスミン 「まさか最強の宇宙海賊に出くわすなんて…」
アーモンド 「え?最強?」
ルビー 「どうしますキャプテン?」
パール 「いったん引きますか?」
ゾネス 「バカ言いなさい!!」
ルビー・パール 「バカ!!」
ゾネス 「バカ言うな!」
パール 「どっちでしょう…?」
ゾネス 「…もういい…」
ルビー・パール 「しゃあせん…」
アハト 「中々面白いコントじゃ!」

ヴァイス、慌ててアハトの口を塞ぐ。

ゾネス 「誰だ今言ったの!」
ジロー 「かわいい!!」
ゾネス 「ありがとう!」

再びドーンという揺れで全員の悲鳴。照明が変わる。

ルビー 「来ますよ!」
ゾネス 「ふん!ちょうどいい。今日こそ奴を地獄に落としてやる。」

ゾネス達、剣も抜き中央の入り口に構える。が両脇にいた船のコック(ハルバール)と
ウエイター(バーディー)、乗客のドクター・ピヨが銃を抜き、ゾネス達に構える。

バーディー 「残念だがそれはできねーぜ。」
ゾネス 「何っ?!」
ハルバール 「おとなしく待っててちょうだいませ〜。」
ゾネス 「きさまら!」
ピヨ 「我々はスライス海賊団だ!!」
パール 「仲間が先に潜入してたのか!」
バーディー 「俺様は武器作りの天才バーディー!」
ハルバール 「飯作りの天才ハルバール!」
ピヨ 「薬作りの天才ドクター・ピヨ!」
ルビー 「天才天才腹立つわ〜!」
ゾネス 「スライスはどこだ!!」

下手台上にスライス影登場。

スライス影 「ここだぜお嬢ちゃん。」

一瞬スライスにスポット。ガシーン!というキメ音。

ゾネス 「スライス!」
ジロー 「キターーーーッ!!!」
アーモンド 「あいつがキャプテン・スライス…」
ゾネス 「今日こそ地獄に落としてやる!!ルビー!パール!ザコは任せた!」
ルビー・パール 「アイアイ!」
バーディー 「無駄無駄。」
ルビー 「なんだと?」
パール 「調子こいてんじゃ…あれ?」

パール、ルビー、動きが遅くなる。

ルビー 「なんだこれ…」
パール 「体が…重い…」
ゾネス 「は?!」

スライス海賊団、ルビーとパールの攻撃を余裕でかわす。他の乗客たちも次々に動きがスローになる。

アーモンド 「うわ!僕もだ!」
ジャスミン 「しまった!薬よ!」
ライム 「まさかさっきのパン…」
ハルバール 「正解で〜す。焼き立てパンの中に薬を入れました〜。」
ピヨ 「その薬を作ったのがわたくしです!ドヤ!」
ゾネス 「こしゃくな真似を!だが私はパンを食べてはいな〜い!」

ゾネス、スライスに向かって行く。バーディー、ハルバール、ピヨの3人がゾネスに銃を向けるが
スライスが手でストップの合図。

スライス影 「ここは差しで勝負いたしましょう。」
ゾネス 「望むところだ!」
スライス影 「者ども、お客様に危険の無い様。」
3人 「アイアイサー!はい下がって下がって〜。」

3人、乗客を下がらせる。

ゾネス 「地獄に落ちろ〜!!」

ゾネスとスライスの戦いが始まる。そこへパンを食べていなかったウエイターが出て来る。

ウエイター 「お客様!今のうちにこちらへ避難を!」

しかし乗客はゆっくりしか動けない。

テル 「あ!あのウエイターやっぱり!」
ロー 「え?誰?」

ゾネスとスライスはあちこち動き回り戦い、アンナのすぐ横を剣がすり抜ける。

アーモンド 「アンナちゃん!」
アンナ 「大丈夫です!」
ジャスミン 「え?今…」
ゾネス 「何だこの違和感…」写真
スライス影 「少しは腕を上げたかな?お嬢ちゃん。」
ゾネス 「ふん!お前は少し鈍くなってるぞ!」

ルビーとパールの動きが元に戻る。

ルビー 「あ、動きが戻った!」
パール 「ホントだ!」
ルビー 「やるよ!」
パール 「あいよ!」

ルビー、パール、バーディーとハルバールに襲い掛かかり乱戦。

ピヨ 「ありゃりゃ、ちょっと効き目が弱かったか。改良の余地があるな。」

他の乗客も次々動けるようになる。

アーモンド 「あ、戻った!」
ウエイター 「さあ皆さんこちらへ!」

乗客、次々にハケて行く。少し遅めにパンを食べたテル&ロー、僧侶二人は中々動けない。
ロー、テル、動ける様になる。

ロー 「おお!やった動ける!今のうちに奴らの船に!」

テル、去ったウエイターが気になる。

ロー 「テル!なにやってんの!」
テル 「え、ええわかってますって。」

ロー、テル、アハト、ヴァイス去る。

コメッツ 「お師匠様!」
マルティネス 「慌てず急がずだ。」
コメッツ 「急げません!これも業ですか?」
マルティネス 「まさに業だ。」

コメッツ、マルティ動ける様になる。

コメッツ 「おわ!戻りました!」
マルティネス 「ゴゴッゴー!」

マルティ、ものすごい早さでハケる。

コメッツ 「お師匠様!早い!」

コメッツ、追いかけてハケる。ピヨのモバイルにアラーム。

ピヨ 「お!お宝積み終わったみたい!」
ハルバール 「そろそろ戻りましょうか。」
ピヨ 「バーディー!例のやつ宜しく!」
バーディー 「おうよ!」

バーディー、女海賊3人に銃を撃つ。

女海賊3人 「うっ!!」

3人、一度動きが止まる。が、すぐに笑い出す。

ゾネス 「貴様何をした?!アハハハハ!」
バーディー 「どうだ!俺様の改造したプラズマガス弾は!」
ルビー 「プラズマガス弾?アハハハハ!」
ピヨ 「その笑いガスを作ったのがわたくしです!ドヤ!」
パール 「笑いガス?!アハハハハ!」
スライス影 「それじゃ今日はこの辺で失礼。」

スライス一味、去ろうとする。

ゾネス 「待てスライス!アハハ!逃げるのか!アハハハハ!」写真
バーディー 「ああ逃げるぜ。」
ハルバール 「銀河連合軍を呼んでありますからね〜」
ルビー 「何?アハハハ!」
ピヨ 「あんたたちも早く逃げな〜。シャ〜ラバ〜イ!!」

スライス一味去る。

ゾネス 「待て!卑怯だぞ!アハハハ!」
パール 「キャプテンまずいです!アハハハ!」
ルビー 「逃げましょう!アハハハ!」
ゾネス 「次こそ絶対に地獄に落としてやる!アハハハ!」

ゾネス、パールとルビーに抱えられる。3人、大笑いしながらハケる。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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