△ 「宇宙海賊とヒミツの星」シーン2


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機械が止まるような音がして明転すると、ヘルメットの様なものをつけたアーモンドが座っている。
傍らにはジャスミンと姉で医師のフェンネル・セナがいる。

アーモンド 「うう…。」写真
フェンネル 「戻った。」
ジャスミン 「アーモンド。」
アーモンド 「う〜…。」
フェンネル 「すぐには反応できないわ。」
ジャスミン 「ホントに大丈夫なの?姉さん。」
フェンネル 「戻ってすぐはみんなこんな感じよ。」
ジャスミン 「アーモンドもアーモンドよね、まだ無認可の治療のモルモットを志願するなんて。」
フェンネル 「モルモットは言い過ぎよ。臨床試験はもう100件以上行ってるんだから。」
ジャスミン 「本当に後遺症とかないの?」

フェンネル、クスっと笑う。

ジャスミン 「何よ。」
フェンネル 「まるで母親。」
ジャスミン 「失礼ね。せめて姉って言いなさいよ。」

アーモンド、意識が戻る。

アーモンド 「あれ?なんだこれ?」
ジャスミン 「アーモンド!」

フェンネル、アーモンドのヘルメットをはずす。

ジャスミン 「お帰り、アーモンド。」
アーモンド 「ただいまジャスミン。」
フェンネル 「何か思い出せた?」
アーモンド 「え〜っと…え〜っと…」
フェンネル 「落ち着いてゆっくりでいいわよ。」
アーモンド 「あ!そうだ!思い出せました!少しだけど!」
ジャスミン 「ほんと?」
アーモンド 「コールド・スリープに入る前日の記憶です!」
フェンネル 「前日。」
アーモンド 「友達がいました。翌日に同じくコールドスリープに入るウィルという男の子と、その婚約者のリズ。」
ジャスミン 「友達ね。で、パパとママは?」
アーモンド 「いや…いなかったです…。」
ジャスミン 「そうか…」
アーモンド 「あ、でも明日来るって言ってました!コールドスリープされる日にはパパもママも来てくれたんです。多分!」
フェンネル 「なるほど、まずまずの成果だったって事ね。」
アーモンド 「はい!ありがとうございますフェンネル先生!この治療、ほんとに凄いです!さすがジャスミンのお姉さんです!」

アーモンド、立ち上がろうとしてフラつく。

アーモンド 「おお…」
フェンネル 「三半規管が正常に戻るまで30分くらいは安静にしててね。」
アーモンド 「はい。」
フェンネル 「こちらこそ感謝してるわ。あなたのおかげでかなりいいデータが取れそうよ。」
アーモンド 「もっと受けたいです!」
フェンネル 「それはまだちょっと。」
アーモンド 「え?」

フェンネル、装置を片付け始め、帰る支度をしながら

フェンネル 「連続して受けると精神に支障を与える可能性があるの。それに、この後すぐ次の患者さんの所にこれ持って行かなきゃならないし。」
ジャスミン 「けっこういるんだモルモット。」
フェンネル 「患者さん。」
アーモンド 「そうですか…」
フェンネル 「心配ないわ、アーモンド君。今日の成果から見て、パパやママを思い出せるのは時間の問題。焦らずゆっくりとね。」
アーモンド 「はい。」
フェンネル 「じゃ、私はこれで。」
ジャスミン 「気を付けて。」
フェンネル 「あんたこそ。アーモンド君、またね。」
アーモンド 「また。」

フェンネル、ハケる。

アーモンド 「いや〜!ホントにすごいよブレインジャーニーって、フェンネルさんって天才だよ!」
ジャスミン 「ジニアスだからね。」
アーモンド 「パパとママの事はわからなかったけど、ものすごく近づけた気がするよ。」
ジャスミン 「そうね。姉さんも「時間の問題」って言ってたし。」
アーモンド 「楽しみ過ぎる〜!」

アーモンド、立ち上がってまたフラつく。

アーモンド 「おお…」
ジャスミン 「はしゃぎ過ぎちゃだめよ。」
アーモンド 「はーい。」

ジャスミンのモバイルからチャイムの音。

ジャスミン 「あら?依頼人が到着したみたい。」
アーモンド 「え?早くない?予約時間の30分も前だよ。」

ライムが入って来る。

ライム 「暗証番号と宇宙船の登録番号は合ってます。例の大富豪の娘に間違いないですね。」
アーモンド 「え?誰この人。」写真
ジャスミン 「ライム。」
ライム 「ライム。」
アーモンド 「え?!ライムさん?また顔が変わってる!」
ライム 「変幻自在のライム様だからね。」
アーモンド 「先に教えてくれなきゃ誰だかわかんないよ。」
ライム 「元気そうだね後輩助手。ちゃんと仕事してる?」
アーモンド 「してますよ、先輩助手。」
ジャスミン 「しばらくこっちで仕事してくれるって。」
ライム 「やっぱり太陽系は落ち着くわ。」
ジャスミン 「ごめんね銀河中走り回らせて。」
ライム 「それが仕事ですから。」
ジャスミン 「そうそう、すぐに準備するから依頼人部屋に通しといて。」
ライム 「了解。」
アーモンド 「僕も行くよ。」
ジャスミン 「あんたは休んでなさい。」
アーモンド 「もう大丈夫だよ。」

アーモンド、立ち上がろうとしてまたフラつく。

アーモンド 「おお…」
ジャスミン 「30分安静にって言われてたでしょ。」
アーモンド 「プ〜…じゃ、30分後に行く。」
ジャスミン 「ちゃんと回復してからね。」

ライム、ジャスミン、ハケる。アーモンド準備体操をする。暗転。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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