トップページ > ページシアター > 迷い子なカミサマ > エピローグ5 【公演データ】
下手明かり。下手から神道が出て来る。下手台からトワが出て来る。
トワ 「道浩(みちはる)さん。」
神道 「え?あ、神様、まだそんなかっこうを…」
トワ 「神様じゃないよ。私だよ。」
神道 「え?…トワ?本物の?!」
トワ 「うん。」
神道 「どうして?どうしてここに?…え?…まさか君も…死んだのか?」
トワ 「まだぴんぴんしてるよ。」
神道 「え?じゃ…」
トワ 「神様の計らいで、ほんのひと時だけ。」
神道 「神様の…」
トワ 「今、私は眠っていて、これはただの意識。」
神道 「意識?」
トワ 「本当は私はここにいないんだって。」
神道 「そうなのか…でも嬉しいよ。」
トワ 「私のせいで、道浩さんがすごく苦労したって。」
神道 「君のせいじゃないよ。僕が勝手に…」
トワ 「あきらは元気でした?」
神道 「ああ、小説家として結構頑張ってるよ。」
トワ 「良かった。それだけが気がかりで。」
神道 「あいつにも苦労かけてしまった。ひどい父親だった。」
トワ 「悔いのある人生だった?」
神道 「…いや、悔いはないよ。君と出会えて…あきらを世に残せた。」
トワ 「よかった。」
神道 「もう行くのか?」
トワ 「ええ、また会えるわ。」
神道 「あまり…早く来なくていいから。君も、悔いのない人生を。」
トワ 「うん。ありがとう。」
二人、微笑み暗転。
(作:松本じんや/写真:はらでぃ)