△ 「迷い子なカミサマ」エピローグ6


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パトカーのサイレン。全体明かり。六本木東署。上手から幸恵が出て来る。下手からあきらが出て来る。

あきら 「叔母さん!」写真
幸恵 「ああ、ごめんね届けられなくなって。急に色々入っちゃって。」
あきら 「こちらこそ、財布ごめん。」

幸恵、あきらに財布を渡す。

幸恵 「はい。」
あきら 「ありがとうございます。」
幸恵 「ちゃんと持ち歩いてるのね。父さんの免許証。」
あきら 「あ、いや、まあ…」
幸恵 「あんなに父親の文句ばっかり言ってたのに。」
あきら 「それがなぜか、もう全然…っていうか、なんか清々しい。」
幸恵 「え?なにそれ?」
あきら 「僕にもわからないんだけど。…あれ?クオカードは?」
幸恵 「え?なかったけど。」
あきら 「落としたかな?…」

上手から熊耳が走って来る。

熊耳 「警部!」
幸恵 「どうした?」
熊耳 「さっき、公園にいた二日酔いっぽい男覚えてます?」
幸恵 「ええ。」
熊耳 「あの男、意識がはっきりしたんですが、運転中に車が突然バラバラになって、自分は放り出されたと。」
幸恵 「車って、あの公園でちらばってた?」
熊耳 「ええ、持ち主らしいんですが、どうにも妙な事ばかりで。」
幸恵 「妙な事?」
熊耳 「まず、車の車種ですが「トヨタ 」って書いてあって…」
幸恵 「トヨタ?聞いたことないわね。」
あきら 「外国の車?」
熊耳 「調べてみたんですが、どの国にもそんな車の会社はないんです。」
あきら 「何それ?」

平泉も上手から出て来る。

平泉 「それだけではないんです。所持品のスマホにも「ソニー」って。」
あきら 「ソニー?」
平泉 「そんな会社も存在しませんでした。」
幸恵 「どういうこと?」

上手から鈴木が出て来る。

鈴木 「先輩!」
平泉 「どうした鈴木?」
鈴木 「あの男、取り調べ中に逃げ出して…こっちに来ませんでした?」
平泉 「え?!来てないけど…」
鈴木 「あの男、変なんですよ!」
熊耳 「変って?」
鈴木 「初対面なのに、僕の名前を知ってたんです。」
熊耳 「え?」

中央下手ハケから男が出て来る。

鈴木 「あ!いた!君!」
「あ〜っ!ラノベ作家の神田あきら30歳本名神明!」
あきら 「え?あ、はい…」
「その叔母の神幸恵!あきらの母親代わり!」
幸恵 「え?なに?」
「同僚の熊耳志々雄!平泉麻衣!」
熊耳 「ちょっと君…」
平泉 「なんで私たちの事…?」
「決まってるだろ!みんな僕が生み出したキャラクターなんだから!」
全員 「はあ?!!」
「そうか、ここは僕の書いた…小説の世界なんだ!」

舞台中央に、サス、あきらが入る。

あきら 「…あれ?これってどこかで…」写真

下手と上手にもサス。それぞれ新任神様と閻魔が入る。

新任神様 「やれやれ…」
閻魔 「行きますか…」
新任神様 「それでは皆さん。」
閻魔 「またお会いしましょう。」

2人同時に右手を上げ

2人 「Three、Two、Оne…」

パチンと指を鳴らすと同時に暗転。幕が閉じる。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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