△ 「迷い子なカミサマ」シーン1


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字幕「2028年10月31日 ハロウィン 東京」上手サス。男が立っている。男の名前は神(じん)明(あきら)写真

あきら 「僕の名前は神明。神様の神に明るいと書きます。いや、でもこの名前、厳(おごそ)か過ぎちゃってどうも…。歳は今年で30。仕事は小説家…といっても僕の書く小説はSFやファンタジーが多くて、ライトノベル、通称ラノベなんて言われるジャンルに入ります。あ、でもラノベとしてはそこそこ売れていて、アニメやゲーム化された作品もちょいちょい…」

携帯が鳴る。下手にサス。明の叔母、幸恵(さちえ)が立っている。

あきら 「あ、ちょっと失礼。」

携帯に出る。

あきら 「はい、僕です。」
幸恵 「あきら、大丈夫?」
あきら 「あ〜ごめん携帯のバッテリー切れてて。」
幸恵 「良かった、また熱出して死にかけてるかと思って心配したよ。」
あきら 「それ、子供の頃の話でしょ。」
幸恵 「ま、とりあえず生きてて良かった。」

幸恵、ストップモーション。

あきら 「この人は叔母の幸恵。父の姉。警察関係の仕事をしています。僕が3歳の時に母親が失踪。父親は僕が高校生の頃放浪の旅に出て行き、3年前に外国で事故死。実質この幸恵おばさんが母親替わり。ずっと僕の世話をしてくれてました。」

ストップモーションが解け

幸恵 「昨日財布忘れてったでしょ。」
あきら 「え?(ポケットを確かめ)あ!ホントだ。どうしよう。」
幸恵 「これから仕事でこっち出て来るって言ってたよね?」
あきら 「うん。六本木で試写会の後、インタビューあるから。」
幸恵 「近いから届けるよ。」
あきら 「お〜、ありがとう。」写真
幸恵 「でも今こっち、ちょっと変な騒ぎがあって騒然としてるから早めに出た方がいいよ。」
あきら 「変な騒ぎ?ハロウィンじゃなくて?」
幸恵 「いや、テロじゃないかってネットで流れちゃって、もう大騒ぎ…」
あきら 「テロ?まじかよ。」
幸恵 「とにかくこっち着いたら電話して。」
あきら 「はい。」
幸恵 「気を付けて。」
あきら 「おばさんこそ。じゃ。」

あきら、電話を切り

あきら 「地下鉄か…間に合うかな?」

足早に上手にハケようとして戻り客席に

あきら 「あ、ちなみに名前がおこがましいので仕事では「神田あきら」ってペンネーム使ってます。(腕時計を見て)お、やばいやばい。」

あきら、上手にハケる。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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